単純な比較ではなくより深くFXを知る一歩
今回の外国為替vol.3では、裁量トレードと自動売買という、二つの取引スタイルがテーマになっています。
とはいっても、両者を比較し、どちらが優れているかを論じたいわけではありません。なぜなら、裁量トレードも自動売買もFXトレードの形態に過ぎず、また自動売買は人間の分析や発想をただ自動化しただけだからです。投資家の想定を超えて利益を出し続ける、魔法のような自動売買は存在しません。
裁量でも自動でも、マーケットのエッジを捉えていなければ負けますし、どちらにとっても資金管理は基本の基本です。
裁量トレードの達人インタビュー
自動売買の達人インタビュー
裁量と自動売買の類似点・相違点を知る
取引スタイルごとの特性をつかんでおく
裁量トレードにチャレンジする上で、ぜひ知っていただきたいのは、ポジション保有時間で、トレードの性質が大きく変わる点です。スキャルピングとポジショントレードは、全く別のトレードといっていいでしょう。
勘違いされやすい点として、トレードの時間軸が短くなるほど、チャートや取引システムへの拘束時間が長くなります。スキャルピングは、トレード自体は短時間ですが、相場を見張る時間は長いです。逆に長期トレードになるほど、売買タイミングの精密さは問われなくなるため、時間に余裕が生まれます。
また、自動売買では、EAを使った中身が見えないタイプと、相場に注文を敷き詰めて機械的に売買を繰り返すリピート系の違いも押さえておきましょう。
EA型は、ある意味トレード手法のブラックボックス化ですから、バックテストや実際の挙動から、どういうロジックなのかを把握することが大切です。あるいは自分で作れば、この点はクリアになります。
リピート系は、自分が設定した通りに動くため、どんな結果になるかはまさに設定次第。事前の計画がほぼ全てを決めます。
2系統の自動売買は全く性質が異なる
自動売買は大きく分けて2つの系統がある。エントリーと決済のルール通りに売買を繰り返し、どういうルールか外からは見えないMT4のEA運用と、相場の一定範囲に等間隔に注文を並べ、値動きがあるたびに利益確定を繰り返すリピート系(下の写真は代表的リピート系、トラリピの設定画面)だ。
前者はある意味裁量トレードの自動化だが、後者は相場が上がるか下がるかはさほど重要ではなく、ボラティリティと資金管理で収益が決まる。両者は全く違う売買と思った方が良い。
自動売買ができるFX会社
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)