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証拠金とロスカットの関係~初心者が最初に理解しておきたい仕組み~

証拠金とロスカットの関係~初心者が最初に理解しておきたい仕組み~

FXを始めたばかりの人が最初に戸惑いやすいのが、「証拠金」と「ロスカット」という2つの言葉の関係です。「証拠金が足りなくなるとロスカットされる」といわれても、なぜそのような仕組みになっているのか、具体的な数字のイメージまでできている人は意外と少ないのではないでしょうか。

証拠金やロスカットの仕組みは、口座を開設時に目を通すFX会社の説明資料やウェブサイトに必ず記載されている基本事項です。しかし、専門用語が並ぶ説明を一読しただけでは、「結局、自分のお金は何が起こったらどうなるのか」というイメージが湧きにくい人も少なくないでしょう。

本記事では、この2つの言葉が指すものと、それらがどうつながっているのかを、具体的な数字の例を交えながら整理していきます。

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そもそも「証拠金」とは何か

証拠金は取引の「担保」

FX取引の正式名称は「外国為替証拠金取引」です。名前の通り、取引の中心にあるのが「証拠金」という仕組みです。

FXでは、手元にある資金よりも大きな金額の取引を行うことができます。これを可能にしているのが「レバレッジ」です。証拠金はそのレバレッジ取引を行うための担保にあたります。日本国内の個人向けFX取引では、金融商品取引法に基づく規制により、レバレッジの上限は25倍と定められています。これは、行き過ぎたレバレッジによって投資家が過大なリスクを負わないようにするための制度です。

仮に1ドル=150円だとします。10万円を証拠金として口座に預け、レバレッジ25倍にして取引をするとすれば、理論上は最大250万円分の取引が可能になります。実際に1万通貨(1万ドル)の取引をする場合、想定元本は150万円(150円×1万ドル)ですが、証拠金取引では全額を用意する必要はなく、必要な証拠金はレバレッジ倍率で割った金額、つまり150万円÷25=6万円程度で済む、という考え方です。

証拠金は、単なる「取引の元手」ではなく、この規制の枠組みのなかで取引の担保として機能しているものだと理解しておくとよいでしょう。

ちなみに、この「25倍」という上限は最初から決まっていたわけではありません。国内の個人向け店頭FX取引では、2010年8月に金融庁の規制によってレバレッジ上限が50倍に、その約1年後の2011年8月にはさらに引き下げられて上限25倍となった経緯があります。

規制が導入される以前は、レバレッジは実質無制限でした。業者によっては数百倍を超えるような高レバレッジで取引できたこともありましたが、こうしたハイレバ取引は、値動き次第では預けた資金を大きく上回る損失が生じるリスクが問題になります。レバレッジをかけすぎて大きな損失を被る投資家が後を絶たず、投資家を守るために規制がかかるようになって、現在の水準に落ち着いてきたのです。証拠金やレバレッジの仕組みは、こうした投資家保護の考え方の延長線上にあるものだと捉えると理解しやすいでしょう。

証拠金維持率という物差し

証拠金の状態を測る指標として使われるのが「証拠金維持率」です。これは、口座に入っている証拠金(含み損益を反映した「有効証拠金」)が、取引を維持するために必要な証拠金に対してどれくらいの余裕があるかを示す割合です。以下のような計算式で考えます。

証拠金維持率(%) = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100

先ほどの例で、実際にこの数字がどう動くのかを見てみましょう。必要証拠金が6万円の取引に対して、口座には10万円を証拠金として入れていたとします。取引を始めた時点では、有効証拠金10万円に対して必要証拠金6万円ですから、証拠金維持率は「10万円÷6万円×100≒166%」です。

ここで、為替相場が思わぬ方向に動き、含み損が3万円発生したとしましょう。有効証拠金は10万円から3万円を差し引いた7万円まで減り、維持率は「7万円÷6万円×100≒116%」まで下がります。さらに含み損が拡大し、有効証拠金が3万円まで減ってしまうと、維持率は「3万円÷6万円×100=50%」です。このように、含み損が膨らむほど証拠金維持率はどんどん下がっていく、という関係になっています。

多くのFX会社では、この維持率が一定の水準、たとえば100%を下回ると警告(ロスカットアラート)が出され、さらに低い水準、たとえば50%を下回ると、後述する(強制)ロスカットが発動する仕組みになっています。具体的な水準はFX会社によって異なるため、口座開設先のルールをあらかじめ確認しておくことが大切です。

なお、証拠金維持率が低下している状態では、新しくポジションを持つための注文が受け付けられないケースもあります。これは、すでに余裕が少なくなっている状態で、さらにリスクの高い取引を積み増すことを防ぐための仕組みです。既存のポジションを保有したまま新規の取引を追加したい場合には、証拠金維持率がどの程度あるかを事前に確認しておく必要がある、という点も覚えておきましょう。

証拠金維持率が下がっていくイメージ図
証拠金維持率が下がっていくイメージ図。上記の例(166%→116%→50%)を、警告ラインとロスカットラインとともに図示したもの

ロスカットはなぜ発動するのか

ロスカットの仕組みと発動基準

ロスカットとは、証拠金維持率があらかじめ定められた水準を下回った場合に、保有しているポジションの一部または全部が強制的に決済される仕組みのことです。

先ほどの例の続きで考えてみましょう。含み損がさらに拡大し、証拠金維持率が50%まで下がった時点で強制決済を行うルールのFX会社だったとします。この場合、投資家が何も操作をしなくても、システム側が自動的にポジションを決済し、それ以上含み損が拡大しないようにします。この仕組みは投資家自身が任意で設定するものではなく、口座を開設したFX会社があらかじめ定めたルールとして、システム上で自動的に発動する点が特徴です。

なお、警告が出る水準(この例では100%)とロスカットが執行される水準(この例では50%)の間には幅があることが一般的です。この間に証拠金を追加で入金したり、ポジションの一部を自分の判断で決済したりすることで、強制的なロスカットを避けられる余地があります。

また、ロスカットが執行されたあとの扱いも会社によって違いがあります。相場が急激に動いた場合、ロスカットの決済価格が想定よりも不利になり、結果として口座残高がマイナスになってしまうことも理論上は起こり得ます。この際、不足分の入金(追加証拠金、いわゆる「追証」)を求める会社もあれば、個人向け取引ではマイナス分を投資家に請求しない「ゼロカット」という対応を採用している会社もあります。いずれの仕組みを採用しているかは口座開設先によって異なるため、この点もあらかじめ確認しておくと安心です。

ロスカットは「投資家を守るための仕組み」

ロスカットと聞くと、「強制的に損失を確定させられる、できれば避けたい出来事」という印象を持つ人もいるかもしれません。しかし制度としての本来の役割は、含み損がそれ以上膨らみ続け、預けた証拠金を超える損失(いわゆる借金状態)に陥ることを防ぐ、投資家保護のための仕組みだという点を押さえておく必要があります。

日本のFX会社は、金融商品取引法に基づく規制のもとで、こうしたロスカットルールの整備を求められています。相場が急変した場面でも投資家の資産が際限なく目減りし続けないよう、いわば「安全網」の役割を果たしているのがロスカットだと言えるでしょう。

もちろん、値動きが極めて激しい局面では、想定していた水準よりも不利な価格でロスカットが執行されてしまう可能性もゼロではありません。実際、2015年1月にスイス国立銀行が、それまで維持していたスイスフランとユーロの上限レートの防衛策を突如撤廃したことをきっかけに、スイスフランが短時間で急騰し、EUR/CHFが暴落した局面がありました。この時の出来事はスイスフランショックといわれています。

スイスフランショック時のEUR/CHFチャート
出典:TradingView

この時は値動きの急激さにシステムのロスカット処理が追いつかず、一部の投資家の口座残高がマイナスになった事例が国内外で報告されています。ロスカットは投資家を守るための仕組みですが、「絶対に損失が一定額を超えない」ことまで保証するものではない、という点も併せて理解しておく必要があります。

証拠金維持率を保つためにできる工夫

無理のないポジションサイズを考える

証拠金維持率に日頃から余裕を持たせるための基本的な考え方は、口座に入っている資金に対して、ポジションサイズ(取引量)を大きくしすぎないことです。

たとえば先ほどの例のように、必要証拠金6万円の取引に対して証拠金を10万円しか入れていない場合と、30万円を入れている場合とでは、同じ含み損3万円が発生したときの維持率の下がり方がまったく違います。前者では維持率が166%から116%まで大きく下がりますが、後者では「27万円÷6万円×100=450%」と、依然として大きな余裕が残ります。このように、必要証拠金に対してどれだけの証拠金を余分に入れておくかという考え方(資金に対する取引量の割合)が、維持率の余裕を左右します。

同じ10万円であっても、1万通貨ではなく5千通貨(必要証拠金3万円程度)で取引をすれば、必要証拠金に対する余裕はさらに大きくなります。逆に、同じ資金でより大きな取引量を選べば、その分だけ証拠金維持率は下がりやすくなり、小さな値動きでも警告水準やロスカット水準に近づきやすくなります。「資金に対してどれくらいの取引量を選ぶか」という考え方は、証拠金維持率の余裕度と直結している、という点はぜひ押さえておきたいところです。

証拠金維持率をこまめに確認する習慣

多くのFX会社では、取引アプリやWeb上のマイページで証拠金維持率をリアルタイムに確認できるようになっています。また、維持率が一定水準を下回った際にメールやアプリの通知で知らせてくれる機能を用意している会社もあります。たとえばDMM FXトレイダーズ証券(みんなのFX)ヒロセ通商(LION FX)といった会社では、スマホアプリ上でこうした通知機能を確認できます。具体的な条件や設定方法は会社によって異なるため、口座を開設する際や、普段の取引の中で一度確認しておくとよいでしょう。

いずれにしても、ロスカットが発動する直前になって初めて維持率を気にするのではなく、ポジションを持っている間は日常的に維持率をチェックする習慣をつけておくことが、落ち着いた資金管理につながります。サービスの内容や通知機能の使いやすさはFX会社によって差があるため、口座を選ぶ際の比較ポイントの一つとして意識しておくのもよいでしょう。

証拠金維持率をチェックしやすいFX会社はこちら

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まとめ

証拠金は取引の担保であり、証拠金維持率はその余裕度を示す物差しです。そしてロスカットは、その余裕が失われたときに、投資家の資産をそれ以上の損失から守るために働く仕組みだといえます。

一方で、急激な相場変動の際にはロスカットが想定通りに機能しきらない場合もある、という限界も存在します。だからこそ、「ロスカットされないようにする」ことだけを意識するのではなく、証拠金維持率に普段から余裕を持たせておくこと、そして口座を開設しているFX会社のロスカットに関する規定を定期的に確認しておくことが、FXと長く付き合っていくための土台になるはずです。

今回取り上げた数字はあくまで説明のための一例ですが、「証拠金」「証拠金維持率」「ロスカット」という3つの言葉が、それぞれ独立した概念ではなく、一つの仕組みの中でつながっていることが見えてきたのではないでしょうか。実際に取引を始める際には、口座を開設するFX会社ごとの警告水準やロスカット水準、追証・ゼロカットの取り扱いを一度確認したうえで、自分の資金に見合った取引量を選ぶことを意識してみてください。

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FX「外国為替」編集部
FX「外国為替」編集部。たくさんの投資家の人生が、FXのおかげでほんの少し豊かになる—。そんな未来を目指して2022年8月に『外国為替』を創刊。雑誌は全国の書店およびAmazonで発売しています。
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