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Iolite(アイオライト)編集長コラム[八木紀彰]

暗号資産の一時大幅下落も許容範囲内の調整か?|Iolite(アイオライト)編集長コラム[八木紀彰]

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ビットコイン下落の背景に米国の不透明感あり

※FX雑誌『外国為替』vol.17(2025年12月22日発売)より転載 最新号の目次・お知らせはこちら

 2025年10月88日、ビットコインは最高値を更新。しかしその後は、例年のUptober(上昇の10月)とは様相が異なり、月間リターンはマイナスに沈んだ。このビットコイン急落には、複数のマクロ要因が絡み合っている。

ビットコイン/円 日足チャート

 1つは米連邦準備制度(FRB)の金融政策だろう。10月末のFOMCで、パウエルFRB議長は「利下げは既定路線ではない」と明言。市場が期待していた早期利下げ観測が打ち消され、ビットコインを含むリスク資産全般に売り圧力がかかった。

 加えて、トランプ政権による中国への追加関税示唆が米中貿易摩擦の再燃を想起させた。投資家のリスク回避姿勢が強まり、約190億ドル(2.9兆円)規模のポジションが強制清算される事態となった。中でも10月10日の18%を超える急落は象徴的であった。

 さらに、米政府機関の一部閉鎖により主要な経済指標の発表延期が相次ぎ、先行き不透明感が強まった。このような流動性収縮環境において、暗号資産はとりわけボラティリティを高めやすい。ビットコインの短期的な価格動向は、暗号資産のエコシステムよりも金融市場の流動性と投資家心理に強く依存しているためである。

 そのほか、国債を担保として極めて短期の資金貸借を行う市場(レポ市場)において、深刻なストレスが生じつつある。国債を担保にした短期資金調達が滞ると、レポ金利が急騰し、資金調達ができない金融機関がポジションを解消せざるを得なくなるという状況も、拍車をかけているようだ。

Code is law DeFiに潜む落とし穴

 11月初旬、DeFi領域でも新たな衝撃が起きた。ステーブルコインxUSDがペッグを外し、0.8ドルまで急落。運営元のStream Financeがオフチェーン運用に失敗し、約9300万ドルの損失を出したことが引き金とされている。xUSDを担保にした複数のプロトコルで債務不履行が連鎖し、その規模は2億8000万ドル超に達しているともいわれている。さらにElixir(エリクサー)社のdeUSDもStream依存のため崩壊を免れず、DeFi市場は混乱に陥った。

 この一連の出来事は、ステーブルコインがDeFi市場の共通通貨として機能している現実と、相互依存性の高さを浮き彫りにした。特に問題視されたのは、CeDeFi(中央集権と分散金融のハイブリッド)に見られる不透明性である。分散性をうたいながら、実態はブラックボックス化した資産運用が行われていた可能性が高い。この構造的な脆弱性こそがDeFiの急所なのではないだろうか。

 DeFiの世界では「Code is law(コードが法律)」という理念が根づいている。プロトコルに書かれたルールが唯一の規範であり、人為的介入は行われない。この哲学は中央集権からの脱却を意味するが、同時に極端なリスクも伴う。

 完全な自律性を掲げるDeFiであったとしても、透明性やリスク管理機構の整備は急務だろう。DeFi市場は、技術と規律をいかに共存させるか。その答えが、暗号資産の未来を左右するだろう。

DATトレンドの隆盛はどこまで

 現物ETF承認を契機に、暗号資産は既存金融にも浸透し始めている。前号ではメタプラネットの戦略に触れ、過熱への警鐘を鳴らした。8月に904円をつけた同社株は、11月中旬の執筆時点で420円前後へ半減している。

 9月の増資による希薄化も需給悪化の一因であり、発行株式は7億株から11億株超へ拡大。既存株主の価値が薄まり、株価は保有資産を下回る「NAV割れ」状態に陥った。

 10月末、同社は発行済み株式の約13%にあたる1億5000万株、上限750億円の自社株買いを決定した。同時に、保有ビットコインを担保に最大5億ドルの融資枠を確保し、必要に応じて資金を調達できる体制も整えた。資金は自社株買いのほか追加のBTC購入や利回り運用に充てる。

 この決定は、単なる株価対策ではなく資本戦略の転換点を示す。同社は「株価が純資産を下回る局面では新株発行を行わず、自社株買いを実施する」と明言。ボラティリティの高い環境下で株主価値を守るという意思表明である。

 一方で、ビットコイン担保による借入れは、相場下落時に財務リスクへ転じかねない。攻めと守りをいかに両立させるかが今後の課題となる。

暗号資産の方向感は依然として上目線

 2025年12月、トランプ大統領は関税で得た政府歳入を財源に、国民一人あたり2000ドルを給付金として還元する構想を掲げている。この「関税配当」は、実質的な財政出動として市場に資金を供給し、FRBによる利下げ観測と重なれば流動性の拡大を促す可能性がある。実現可能性も曖昧なため、あくまで方向感を探る1つの考え方として認識いただければとは思うが、過去米国で給付金が支給された際にはビットコイン価格が急騰した例もある。今回も暗号資産市場にとっては強気の材料となり得ると考え、方向感は変わらず上目線だ。

ABOUT ME
八木紀彰
大学在学中に飲食業務に従事。その経験から、飲食店のコンサルティング事業及び、アミューズメント領域への人材派遣事業を立ち上げ、代表に就任。同時に自身のブランドを確立させる目的からSNS運用を始める。SNSの運用では、合計フォロワー数1万人を達成後に認知度の拡大を受け、自身のアパレルブランドを立ち上げる。2021年9月に株式会社J-CAMに入社。YouTubeやTwitter運用に従事した後、2022年4月より編集長に就任。2023年3月に『Iolite(アイオライト)』を創刊。
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