みんな元気か? マッスル武藤だ! 前回は、ゴールドのトレード手法について解説したけど、理解してくれたか? 海外勢が使用しているのは50日と200日の単純移動平均線だから、これらを使ってトレンドを把握し、押し目買い・戻り売りをすればよいという話だったが、意外に単純だろう。トレードは、実は単純に考えた方がうまくいく。複雑なツールを組み合わせても、苦労が多いだけで実入りは少ないだろうな。
ところで、3月に入ってゴールドが急伸したけど、なんで上がったかわかるか? 3月1日に急伸しているのだが、これはそれまでの高値を超えたため、ストップ注文で買い上げたからだろう。まさに、チャートの節目を狙って水準を切り上げるような買いを入れてきたことになるな。また、その前日の2月29日には50日移動平均線を上回って引けていた。これで新規にロングを積み上げ始めた可能性もあるだろう。
つまり、前回解説した重要な移動平均線をブレイクアウトの考えで利用したことになる。それまで押さえつけられていた重要な移動平均線の水準を上抜けると、今回のように急伸することがある。これもまた、トレード手法の一つといえる。
これも単純な発想ではあるが、相場とは所詮そんなものだ。重要なのは、上昇した理由を探すことではない。相場が動き出したら、すぐにアクションを起こすことである。まずポジションを保有し、上昇の理由はあとから考えればよい。これは、著名投機家のジョージ・ソロス氏の手法でもある。稀代の投機家が成功した方法なのだから、間違いないだろう。
ところで、今回のゴールドの急騰の背景には何があったのだろうか? 今は金上場投資信託(ETF)には断続的に売りが出ている。欧米の投資家が保有していた金ETFを売却して、株式を買っているからである。
しかし、よく調べてみると、先物市場では投機筋がゴールドを買い上げている。実際にCOMEX金先物市場で投機筋は大量の買いを行っていたことが判明している。相場急伸の背景は「投機筋の買い」があり、と推測した通りだったわけだ。このように、上昇の理由はあとから調べればわかることである。
トレードで成功するには、重要な節目の水準を超えた時にすぐにアクションを起こせるかどうかだ。相場変動の理由を考えるのは、アクションをとったあとで十分だ。理由を考えてばかりいて、頭でっかちになっていると、いつまでもうまくいかないぞ! 今回の事例をよく理解し、次のチャンスに生かしてほしい。次回もゴールドのトレード手法について解説するから、楽しみにしとけよ。じゃあまたな!
FX雑誌「外国為替」vol.12
発売:2024年8月22日(木)
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