秒スキャ1本で3億円の資産を作った、今最も勢いがあるスキャルパーへのロングインタビューを敢行!
どんな勉強方法で現在の技術を身につけたのか、狙うべき「点」はどう定めるのか、そしてFX業界が目指すべき姿とは?
スキャルピングでの成功を目指す全ての短期トレーダーに読んでいただきたい、雑誌とWEB横断の大型企画となりました。
聞き手◉鹿内武蔵/本文◉星村侑希
※サイト初掲載:2023年2月22日、全文公開更新:2023年5月2日
平井聡士さんの「3億円」までの軌跡
2017~2018年にかけて、暗号資産(仮想通貨)で取引デビューするも、200万円以上を失う
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テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を学ぶも、結果が出ない時期が続くが、田渕直也さんの本から気付きを得る
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スキャルピングで成功しているトレーダーの生配信をきっかけに、本格的にスキャルピングに参戦
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2020年に4000万円、2021年に2000万円、2022年に2億6000万円を稼ぎ、3億円トレーダーに!
超短期の秒スキャをメインにトレード
─平井さんの運用スタイルはスキャルピングがメインと聞いていますが、具体的にどのようなトレードをされているんですか?
「通貨ペアはドル円のみです。スキャルピングの中にも分スキャ、秒スキャなどがありますが、僕はほとんどが秒スキャで、超短期のトレードになります。基本的なトレードスタイルは順張りで、ブレイクアウトと呼ばれる手法になると思います。高値・安値付近でそこから抜けていく動きを狙います」
─超短期売買では、このやり方が王道なんでしょうか?
「逆張りのスキャルもあるんですが、順張りと逆張りのどちらが当てはまりやすいのかは時と場合によります。2022年から今に至るまで大相場だと思いますが、大相場はボラティリティが比較的高く、抜けた後に伸びるので、順張りで取るのが王道かと思います。
順張りはこれから起こることを予想していくトレードなのに対して、逆張りは伸びたバネが縮む力を狙うような、事が起きた後に飛び込むトレードになります。
ボラティリティがあって抜けることが多い大相場では、順張りに軍配が上がりますが、事実を待って抜けたところに飛び込む方が勝率は上がるイメージが僕の中にあります。逆にブレイクが伸びない相場もあって、例えば2018年や2019年がそうですね。同じものを追いかけたとしても、日々の変化に調整しながら合わせていくスキルが非常に問われます。
僕の中では全部つながっているんですが、やり方が表と裏みたいに全く変化することはありますね。分かりやすい例でいうとキリ番です。ラウンドナンバートレードと言われるものですが、一番基本となるのはやはりファーストタッチ逆張りです。教科書的に表現するなら、キリ番は利確にも損切りにも使うので板が厚くなる。1回目ではその板を食いきれないので、基本的にファーストタッチははね返るメカニズムを持ちます。勝てるポイントのことをエッジと表現しますが、エッジの場所はだんだん移り変わっていきます。例えば2023年1月の相場は、キリ番ファーストタッチブレイクアウトを狙った方がエッジが出ています。
3か月前までだったらファーストタッチ逆張りをするところで、今は順張りをしているので、真逆のことをしているんですが、僕としては同じものを狙っています。トレードはあくまでつながっているんです。
同じポイントでも反応が違うことになりますが、大事なのは抵抗があるか。要は大衆心理なんです。今まではいつもこういう動きをしていたな、というポイントがあって、それとは違うことが1回起こると、『前回と違う動きをしたし、ちょっと怖いな』という発想になり、それまで自信満々に入ってきていた玉が減ります。そうなると、また新たな事象が起きる可能性が意識されて、エッジの場所が変わっていく感じです」
─去年から今までの相場で短期売買がやりやすかったのは、中長期のトレンドがあったからなのか、ボラティリティが高いからなのか、あるいはその両方があったからなのかを教えてください。
「中長期のトレンドに対して、目線がないわけではないです。ですが、スキャルピングの特性としては、大衆の目線と逆に進んでくれた方が、抜けたときに伸びることが多いです。逆にトレンドの順方向に進んでいくような超短期トレードは、勝率は高いけどボラティリティは出にくいです。
先ほどの質問に答えるならば、トレンドも見てはいますが何といってもボラティリティが正義ですね。変動幅が重要なんです。
皆さんが想像するよりも僕らははるかに短期目線なので、トレンドと逆方向でも、5分間くらいの値動きで抜ける可能性があれば入ります。鳥の目、虫の目という言葉がありますが、僕らはもう完全に虫の目です。目の前の動きを追いかけます」
─起きてから寝るまで、どのようなライフスタイルですか?
「8時に起きて取引口座にログインし、8時半くらいからチャンスがあればトレードを始めます。遅くとも、9時ちょうどからはトレードを始め、そこから東京の仲値を超える10時までが一番集中しています。その後、中国市場のオープンがあるので10時半までは大体画面の前にいてトレードします。
10時半以降はボラティリティがなければ止めますが、11時半まではボラがあることが多いのでトレードすることが多いです。11時半から14時半くらいが最もFXが動かない時間なので、そこで昼食を食べます。夜にあまり食べると眠くなるので、皆さんの夕食のようなものを昼に1日1食、食べています。去年の大相場中は昼寝はできませんでしたが、ここで昼寝もしたいと思っています。
15時には東京市場のクローズでボラティリティが上がってくるので、そこからはチャートの前にいて、15時から大体18時、19時のボラティリティが下がるまでトレードをします。19時からは画面を離れ、夕食は食べませんが、5歳の娘がいるのでお風呂に一緒に入ったりという時間を1時間半ほど過ごします。21時前にはトレードに戻り、ニューヨーク市場のオープンを見て25時のFIXまでは必ずトレードしています。
FIX時間以降を僕は残業と呼んでいますが、ボラティリティがまだ残っているようなら残業し、3時か4時に寝ます。これを月曜日から金曜日までフルでやっています。平日は、靴を履かないことも少なくない外出しない生活で、精神的にも肉体的にも負担が大きいので、コントラストとして土日は旅行に行くなどして活発に動いています。あとは自然を見たり、リラックスできるように努めています」
頑張って勉強しているのに全く勝てなかった
─続いて、FX、投資歴を教えてください。初心者時代にどういう勉強をし、また失敗したことなどはありますか?
「投資に興味を持ったのは2017~2018年で、いわゆる出川バブルのときの仮想通貨から始めました。絶頂期より少し早めに参戦したのでビットコインで儲けもしましたが、結局素人なので全部飛ばして200~250万円くらい負けました。
そもそも投資に興味を持つまでの経緯をお話しすると、16歳から32歳までバンドをやっていたんですね。そろそろちゃんと仕事をしないといけないなというときに、自分が今まで生きてきた財産は何だろうと考えました。バンド時代に出会った人たちには誠意を尽くしてきた自信があったし、そのときに培った人脈が一番の僕の宝であり財産だと思いました。僕が何か商売をやるといったら協力してくれる人は少なくないと思い、それを糧にまず車屋を、その後にリサイクルショップのビジネスを始めました。
そして初めて500万円くらいの資金と、時間の余裕も少しできたのですが、そのお金を貯金するのではなく、さらに増やさないといけないという意識がありました。そのときにロバート・キヨサキさんの『金持ち父さん 貧乏父さん』という本を読んで、投資をやってみようと思い、ビットコイン投資を始めました。
ビットコインで負けてからもずっと投資はやりたいと思っていて、金融・経済の勉強に真剣に取り組んでいました。今思うと的外れだったかもしれませんが、日経新聞を読んだり金融の雑誌や本を読んだりしていました。そうしている中で、FXが手数料も安いし少額から始められることを知り、初心者には良さそうだと思いました。
最初は右も左も分かっていなかったので、FXのスクールに入りました。インジケーターを駆使してサインが出たら売買するような内容でしたが、勝てるわけがないんですよね。勝っている人が誰もいないスクールで、思い切り詐欺だったんです。でも、そこでそれなりにFXの楽しさは学びました。
次に熱中したのがファンダメンタルズ分析です。チャートを使ってトレードするのではなく、アナリストのような学問的な勉強をめちゃくちゃしました。今となっては完全に糧にはなっているので大切な時期だったと思います。しかし、ファンダメンタルズ分析に没頭しすぎてしまい、それだけではFXで勝てないことに気づくまで結構苦労しました。ファンダメンタルズ教にどっぷりという感じでしたね。
そんなときにジュンFXさんに出会いました。出会ったというのは放送で彼を知ったということですが、そこで本当に勝っている人がテクニカルトレードをしている、しかもスキャルピングをしているのを目の当たりにしたんです。自分はファンダメンタルズをこんなに勉強して取り組んでいるのに勝てなかったので、ちょっと違うのではないかと疑問に思うようになりました。
この時期に僕を助けてくれたお勧めの本があります。田渕直也さんが書いている『投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について』という本です。すごく名著で、ファンダメンタルズでは勝てないことがはっきり書かれています。12の誤解のうちの一つがそれですね。
本の中で、テクニカルインジケーターで勝てると思っている人たちの幻想を砕くのに、田渕さんはランダムウォーク理論というものを使って説明されています。インジケーターを使ったり長い時間軸でのトレードはなかなか難しいことが見事に解説されているんです。僕はこの田渕さんと、あとはジュンFXさん、ジジFXさん、カイルさんという3人のトレーダーとの出会いから変わることができました。そして大衆心理の裏をチャートで読み、チャートを使ってトレードするという今の手法にたどり着いたんです」
勝ちトレーダーから情報を盗み、勝てるように
「コロナ禍のときに、カイルさんは毎日ニコ生で朝から夕方まで放送をしてくれていました。僕は昼間はビジネスをやっていたので、同級生だった親友がずっとその放送を聞いていました。彼も億トレーダーで、今日まで僕は彼と二人三脚で歩んできました。そしてその放送をずっと聞き続けるうちに、ブレイクアウトの存在に気がついたんです。そしてそこにエッジがあることを見つけました。
僕はこの人たちから技術を盗んで勝てるようになったんです。ジジFXさんの放送からも、ジュンFXさんの放送からも、カイルさんの放送からも盗んだことは何なのかをはっきり覚えています。そのお三方の放送を、僕と親友と2人で血眼というか、執念みたいな感じで聞いていました。わずかに雰囲気が変わる瞬間があって、喋り方が変わるとか、ある時間にアラームをかけるとか、ちょっと無言になるとか、そういうところから「多分ここでポジションを取ったな」というのを探し続け、順張りのブレイクアウトをどこで入れるか読み解き、そこから研究して勝てるようになっていきました。そうして2020年に最初の勝てる時期が来て、4000万円くらい稼ぐことができました。だけど翌年は苦労しました。頑張ってものすごくトレードしたのに、2000万円しか勝てなかったんです。
でもこの1年間、苦労したおかげでトレードがうまくなり、2022年に大相場がきたときには実力も備わっていて、2億6000万円勝つことができました。2021年の途中から、大相場さえ来ればすごいことになる自信はありましたが、それがすぐに来て本当に良かったと思っています。ファンダメンタルズに拘泥して勝てないときは本当に大変だったので、うれしかったです。
僕は今YouTubeや情報発信をしているので、視聴者からメッセージをもらうことがありますが、同じような罠にはまっている人も少なくないんです。その人らは僕とは違うかもしれませんが、昔の自分を見ているようで心が痛みます。この記事を読んでいる中でそんな人がいるなら、騙されたと思って順張りスキャルピング、しかもテクニカルチャートオンリーでトレードすることをお勧めします。短期トレードが一番簡単だと僕は思っています。他のやり方が勝てないと否定するつもりはないですが、僕にはちょっと難しかったということですね」
スキャルピングは経験の数が圧倒的
─スキャルピングにおける優位性やメリットは何でしょうか。反対に難しさや問題点などはありますか。
「スキャルピングのメリットはいくつもあります。一つは成功体験・失敗体験をたくさんできることです。初心者に一番大事なことは、成功や失敗の積み重ねを繰り返すことだと思います。
もしスイングトレードを勉強していて、例えば1年間に30ポジションを取ったとしたら、トレード経験の数は30回ですよね。その間に含み損を抱えて思考停止になる期間などがあれば、1年間で積める経験はもっと少ないでしょう。
僕らスキャルパーは1日で100トレードを毎日しているので、その体験を積む数が圧倒的なんです。そうする中で、『あ、こういうトレードなら勝てるかもしれない』というのが見えてくると思っています。
さらに理想は、トラックレコード分析をすることです。必ずやった方がいいと言っても多分ほとんどの人がやらないと思っていますが…。僕はチャートをキャプチャーして、そこにエントリーとイグジットの場所を矢印で書き込むことをたくさんやりました。そうすることで、トレードで勝てている傾向が確実に見えてきます。
さらにトラレコ分析の偉大なところは、負けているトレードのあぶり出しができることです。いつも無駄なボジションを取っていたとしても、スキャルピングは1日100ポジションも取るのでどれが無駄だったか分からなくなってしまいます。それがトラレコ分析をすると、自分の悪い癖が一発で分かります。だから一気に収支が上がります。勝てるトレードもあるけど負けることも多くて、いまいち収支が上がらないという方は、一度トラレコ分析を試してみてください。収支は上向くと思います。
そして、まだその前の段階で、何が勝てるトレードで負けるトレードかが分からない方は、トラレコ分析の前にとにかくいっぱいポジってみて、『ここなら勝てる気がする』ということに気づくことが重要です。例えば、キリ番に優位性があることは何度も言っていますし、僕以外の人も言っているので、そこでどういう動きをするのかやってみる。そういう経験を積むことが一番大事だと思いますし、その経験を一気に積むにはやはりスキャルピングが圧倒的なんです。
もう少し緻密な話をすると、1ショット1ストーリーが一番シンプルな考え方だと思っています。点という表現を使うと、50対50が崩れている点を狙い、その動きが終わったらクローズするトレードのことです。保有時間が長いほどいくつものストーリーをまたぎ、考えないといけないことが増えてくるので難しくなります。だから本当に一番シンプルな点だけを指して、『ここ!』というポイントを狙い撃つトレードを最初の基本とするべきなんです。
ただ、このやり方はトレードの時間軸が短くなるため、FX会社の口座凍結リスクがあります。またFX会社のスプレッドが広がる時間帯が来ると、1ショット1ストーリーでは大した値幅が取れなくなってしまいます。ドル円の1ショット1ストーリーは、2pips程度の話です。例えば0.8pipsのスプレッドの場合、1ショット1ストーリーのトレードでは絶対に勝てません。現時点で0.2pips程度のスプレッドを提供してくれているFX会社がいくつもあるうちは、1ショット1ストーリーのトレードが一番簡単です。
時間軸が長くなればなるほどまたぐストーリーは増えるので、難易度は上がると考えています。僕は2ストーリー3ストーリーもまたいでトレードすることもありますが、それができるようになるにはやはり1ストーリーの積み重ねが大切です。50対50が崩れる点の1ストーリーを見つけられない人は、スキャルピングで勝つのは難しいですね」
─点とは、例えばキリ番付近に差し掛かったときに、そこで弾かれるか、抜けるかという攻防のようなものを表現されていますか。
「そうです。次のティックがどっちに出るのかくらいの点です。もちろんちょっとノイズ的な動きはするので、逆行の動きに耐えたりはしますが、この攻防の結果がどっちに出るのかが点という意味ですね」
─スキャルピングに口座選択はやはり重要ですか?
「めちゃくちゃ重要です。変なFX会社を使うと僕でも勝てないです。僕に限らず勝っている人たちがどのFX会社を使っているかの情報はSNS上に溢れているので、自分なりに調べて答えを見つけてほしいですね」
─口座を選ぶ条件としてスプレッドがあると思いますが、他に何かありますか?
「約定力です。スリッページで大きくレートがずれることがあるので、注文したレートで必ず約定するとは限りません。スキャルピングをやっているとレートに対して詳しくなり、『今ここで押したのに入ってないな』ということがすぐ分かります。それを全部含めて約定力と表現しています。スキャルピングは、FX会社のスプレッドや約定力に大きく左右されるトレードスタイルです。大相場が続いてスプレッドが広がってくれば、スキャルピングは息が長くないかもしれません」
インタビュー日◎2023年1月25日
【以下、サイト限定公開】先入観を捨てて飛び込み、素直に真似できるかが重要
─スキャルピングのポイントで他に伝えたいことはありますか。
平井 スキャルピングの難しさについてですね。FXは間違いなく難しいです。何をやっても難しいですが、その中でスキャルピングが最も簡単だと僕は確信しています。
スキャルピングに抵抗がある人は多いんです。「1分足のチマチマした動きをどうやって狙うの?」って。ノイズも多いし。デイトレードのような、どっちにチャートが進んでいくのかという方向感を当てるものの方が、直感的にイメージしやすいんですよね。
「スキャルピングって難しくないですか?」って質問される方は多いんですが、それには「じゃあデイトレードって簡単なんですか?」と返すようにしています。
つまり、スキャルピングに抵抗があることが最大の難しさじゃないでしょうか。やってしまえばスキャルピングが絶対に一番簡単なのに。
─確かにスキャルピングは特殊な人がやるみたいな認識はあるかもしれないですね。
平井 そこを踏み出せるかが一番の難しさだと思います。見渡してみてくださいよ。本当に勝ってるトレーダーの多くがスキャルパーですから!って、僕は本気で言いたいですね。もし揺るぎようのない事実が1つでも見つかったのならそれは信用できるんです。この業界は勝っているふりをしている人が混じっているので、信用できないことが多いないですか。間違いなく勝っている人が1人でも見つかれば、同じことをやるべきです。少なくともジュンFXさんと僕は同じことをしているので。
─どういう人がスキャルピングで成功しやすいですか?
平井 今の話と関連しますが、先入観などを捨ててきちんとやれる人は強いです。僕はこの質問に関しては、皆さんよりデータを持っているんです。なぜかというと、もともとFXの弟子をとっていて、これまでに20人の人間を勝たせて、5人の億トレーダーを輩出しました。なのでこの質問の答えとしてベストではないかもしれませんが、「頭の良い人」と“エリート”と呼ばれる人間は、あまり勝てないと思います。「僕バカなんです」という人間の方がFXは勝てるようになります。
だけどスーパーエリートは本当に勝ちます。僕のコンサル生でも東大に落ちて会社経営をしている人がいました。学歴というよりも、話していて頭の良さを感じるんですが、そういう人らはすごく勝ちましたね。
ただ中途半端に頭がいい、普通のエリートが一番勝てないです。逆に僕が引き受けた時に、この人は最初は苦労するぞと思った人たちは、最終的にみんなめちゃくちゃ勝ってます。なぜかというと、成功する人は自分が何者でもないと分かっていて、謙虚なんです。だから僕の真似をすんなりしてくれます。「でも、自分はこう思うんだよね」という人が一番勝てないですね。
─中途半端なプライドがある人が勝てないというのはいろんな人が言っていますよね。
平井 本当にそうで、なんでってくらい言うことを聞かないですからね。中には自分だけで勝っちゃうスーパーエリートも存在しますが。その人は放っておいても勝てるようになるので、ここでは関係ないですね。
とにかく自分はこう思うを捨てられる人、自分が何者でもないと思える人が勝ちます。自信満々に勉強やトレードをしていても、結局勝てていないんだったら、その考え方には何も重みもありませんということなんです。勝ってる人を前に、自分が雑魚だって分かってる人の方がちゃんと勝ちますよね。
もう一つ成功しやすい人でよく僕が思うのは、オタク気質の人です。本当にガーっと入り込む人はやっぱり強いですね。
FXというカルチャーと社会的な地位を発展させたい
─平井さんは積極的に顔や名前を出して活動されていますよね。その理由を教えてもらえますか。
平井 いろいろ理由はあるんですが、ひとつはFX人口を増やしたいからです。ユーザーが増えるほどFX業者も利益を得て、それだけサービスも良くなります。もちろん投資家が増えるほど、配信されるレートも安定します。
だからFX人口を増やすことは、より良い条件でトレードをするために、全員が意識をするべきことなんです。それはカルチャーを守る上でもそうだと思います。
僕はバンドをやっている時に、ひとつ後悔していることがあるんです。例えば「僕バンドを頑張りたいんです」って誰かが言ってきた時に、当たり前のように「いやバンドなんてやるもんじゃねえよ。こんな親も彼女も泣かせるようなことやってろくなことにならんよ」というようなことを言いがちでした。
謙遜からくるのかもしれませんが、それは多分ダメなんだと、フライフィッシングという釣りをした時に気づいたんです。フライフィッシングというのは、自然と融合して、人間と魚の共存みたいなものを哲学として、脈々と受け継がれているすごく美しい釣りなんです。僕がそのフライフィッシングを始める時に、紹介してもらった人に連絡をしたら「フライフィッシングの世界へようこそ」っておっしゃったですよ。
それに僕は感銘を受けて。この人たちはフライフィッシングにプライドを持っていて、新たに入ってくる人を歓迎する姿勢があるんだと。
「これは間違いなくいいものだから、良かったね平井さん。いろんな釣りを経験したんだろうけどよくぞここにたどり着いたね。フライフィッシングは素晴らしいよ」という意味の言葉だったんです。
その時に僕は、なぜバンドマンの頃に「バンドはいいよ。人間力も上がるし。確かにお金には苦労するけど、俺はバンドで人生変わって楽しく生きてるから、バンドはいいよ。お前らも頑張れ」と言わなかったんだろうと後悔しました。そういうことを僕らが言っていれば、今頃ライブハウスにもっと人が多くいたかもしれないですよね。
だから僕は「FXには夢がある。少なくとも僕はゼロから1年で2億6000万円勝ち、今は3億円持ってる。こんな夢のある世界を他に僕は知らないから頑張れよ、ようこそ」って言うべきだと思ってるんですよ。
このカルチャーを残すためにも発展させるためにも、そんな思いを持って露出して活動しています。
あと僕が思っているのは、日本という国はトレーダーに市民権がなさすぎることです。履歴書にトレーダーとは書けずたぶん無職扱いですが、世界にはトレーダーという職業が医者や弁護士と同じように扱われる国があったりします。それを羨ましいとは思うので、FXの人気向上になる活動をしたいと思っています。
ところで、金融界のスーパースター、特にFXのスーパースターはまだ出ていないと思っています。もし時代が変わって、日本人みんながFXをするような世界が訪れるためには、FXのスーパースターの出現が、絶対必要だと思っているんです。
バンドをやっていたから分かることですが、時代を作るのは、憧れなんです。この人みたいになりたいと。そういう意味で、誰もがこの人になりたいというFXトレーダーはまだいないですよね。
FXが世間にもっと認められるためには、社会的に認められているきちんとした人間が、ちゃんと成績を残すことだと思っています。老若男女に認められたスターが、メディアに顔出し、名前出しを当たり前のようにし、人格的にも魅力がないといけません。
僕は今42歳で、スーパースターになるには年を取りすぎています。だから20代の僕みたいな人間が現れれば、時代を作れるんじゃないかなと思っています。僕に続く若い世代がそういうことをやってくれると思っているので、僕が活動することによって、実名顔出しをするかっこよさも伝えたいです。
もちろん辛いことはあります。まずコストがかかります。家のセキュリティもたくさんつけて、会社兼自宅にして24時間ほとんど家に人を置くようにしたり、ボディーガードが必要だったりでいろいろお金がかかります。家族もいますし。自分がいる場所の発信もできない。
そういう辛いこともありますが、しかし社会的地位は匿名では得られません。ブルームバーグの取材なども、実名が条件ですしね。
スキャルピングの基本は注文の集中の見極め
─最後にメイン手法のベースとなるアイデアや考え方を、これからスキャルピングにチャレンジする方に向けて教えていただきたいです。
平井 50対50が崩れるポイントは抵抗線に存在します。なんといっても抵抗線です。プライスを多く止めている部分や、キリ番などが抵抗線の1つです。その日の高値安値とキリ番は間違いなくトレード対象になります。
抵抗線・抵抗帯はすごく特徴的な動きをするので、そこを順張りか逆張りかのどちらかでトレードする。その間の何でもないところではトレードせず、もう抵抗線の真上だけでトレードすることをぜひやってほしいです。
─抜ける時と反発する時の違いはどこにあるんでしょうか。戦略が正反対になる、そのあたりの考え方を知りたいです。
平井 本当にさまざまなファクターを僕らは一瞬で考えて処理して、どちらに動くかを判断しています。その中で一番分かりやすいもののひとつに、強い抵抗線があります。たくさん止められているとか、大局的に折り返した線が強い抵抗線といえますが、そこには注文がたくさん入っているので、メカニズムから言うとやはり板がすごく分厚いんです。
例えば下から上がってくる場合は、新規の買いで上がってきますが、それを全部処理してもまだ売りが残っているなら、売り注文が分厚く入っています。基本的に強い抵抗線は、ファーストタッチ逆張りが原則です。強ければ強いほどファーストタッチ逆張りという考え方です。そしてセカンドタッチで順張りブレイクアウト。
ではどれくらいの時間軸を指してセカンドタッチ、ファーストタッチかというと、まさにこれはスキャルピングの領域になります。本当のファーストタッチはティックが到達する1回目、2回目はティックが到達する2回目を指します。
メカニズムから考えれば簡単で、上昇に対して売板が分厚いから、ファーストタッチは逆張りの方がエッジがある。いわゆる50対50が崩れます。そしてたくさん入っている反対売買(売り)を消化しきったら、次の上昇でその板を上に突き抜ける可能性が高くなります。
このファーストタッチ逆張り、セカンドタッチブレイクアウトが基本の考え方で、ここに様々な要素を入れていきます。なのでまずは基本に沿ってトレードしてみて、どういう時に例外が起きるのか、どういう時に成功するのかを蓄積していくと勝てるようになると思います。
インタビュー日:2023年1月25日
平井聡士 裁量の心得まとめ
①メインの手法は、抵抗帯を狙う秒スキャ。大衆心理の裏を読み、チャートだけで売買する
②ボラティリティで値動きの反応は全く変わる
③一番の基本は重要な水準に対してファーストタッチ逆張り
④午前中が一番集中する時間帯。夕方と夜のNY時間もトレードをする
⑤スキャルピングはトレード経験の蓄積が圧倒的に早い
⑥均衡が崩れる点を狙う、一つのストーリーから練習していく
⑦口座選びは超重要。スプレッドとスリッページは妥協しない
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)