ひっそり暮らしたがる億トレが多い中、FX会社のセミナーやメディアへの協力を惜しまないためためさん。
スキャ勢、ガチ勢と称される、本当に稼いでいる人たちの中でも、一目置かれる存在です。
この企画では、通算10億円を超える利益を稼いだためためさんの、知られざる胸のうちに迫ります。
お酒を酌み交わしながら行ったインタビューの臨場感と、ためためさんの言葉を堪能していただくべく、関西弁の口調をそのままに記事を編成しています。
聞き手◉蛯澤路彦
一口にブレイクと言っても狙うタイミングはさまざま
―ためためさんはご自身のトレードについて多くのメディアで発信しています。単純化していうと、売り買いが攻防しているライン（帯）の決着がつくところ、いわゆるブレイクアウトを狙うと。そんな説明で合っていますか？
ブレイクアウトというか、ブレイク前からブレイクするところにかけて、めちゃくちゃ乗っかりますね。何でかいうたら、方向感が出るから、そこに枚数をぶち込めるってことです。
―教科書的なブレイクアウトって、ブレイク後の流れに乗ると思うんですが、ためためさんのエントリーは普通の人より早いってことですか？
早いね。逆にブレイクした後はあんまりやらへん。ブレイクまでの動きが、僕は一番攻めやすい。
―へえー。ブレイクに向かいそうだというのは、1分足の動きを見るんですか？
ブレイクするかどうかは、1分足よりももっと大きな流れで見ますね。
―どうロットを入れていくんですか？
チャートの動きを見て、雰囲気を探りながら入れていきますね。ブレイクするかどうかは、誰にも分からへんから。上ブレイクを狙っているとして、上がっている時に入れるのか、下がっている時に入れるのか、いろいろあるよね。いきなり全力じゃなく、チャートと相談しながら入れていきます。
―利確はどういうルールですか？ よくおっしゃってますが、雰囲気ですか（笑）？
それは、ローソク足がビュって伸びたときです（笑）！ ロスカットを巻き込みながらのブレイクで利食います。どこで売りが入ってきて、どこで買いが入ってきてってのは、流れを見てれば分かるわけですよ。そこを耐えるか、耐えへんかの選択なだけで。耐えるってことは、要は勝つと思ってるわけでしょ。勝たへんと思って、危なかったらすぐ逃げるし。その感覚は、経験でしかないですね。
―スキャルの人って、ためためさんのようにポジションを積んでいくのが一般的なんですか？
スキャ勢は、入ったらすぐ出ますから、刻まへんですよ。でも、僕はそれと全然違って、ポジションを積んでいく。
―同じスキャルといっても、そんな違いがあるんですね。
僕は100枚入れて10pips取って10万円、なんてのは求めてないから。100枚以上入れなあかんのですよ。だから、普通に積みます。秒スキャやなく「分」やったら、枚数入れていく時間がある。問題は、どこで枚数入れるかやね。
ただ、なんぼ秒スキャしてもFX業者に許されるなら、秒スキャが一番楽で堅いと思います。紛れがない。それをずっと回転させるのが、一番資産を増やす方法やと思う。今チャレンジャーの子は、そうすべきだと思うよ。
成功したいなら資金を全部張れ！
―帯の考え方がトレードの原点にあると思うんですけど、それを確立したきっかけは何だったんですか？
きっかけというか、チャートを見ていればビョイーンって伸びてるローソク足があるじゃないですか。何でここが伸びるんやろ、跳ね返るんやろというのを、チャートで見ていっただけですね。
―伸びるところ、跳ね返るところが水平線であり、帯だったんですね。では、そういった局面にロットを突っ込めるようになったのは、どんな経緯を辿るんですか？
ロットを突っ込める一番の要素っていうのは、そのレートに来るまでのチャートの形で決めてます。経験値がすごい大事だと思ってて、自分がこうやろって思うところに張って、どんどん自信をつけてやから。いきなり枚数張るのは難しいと思います。
―ロットをガンガン突っ込めるというのは、ためためさんの勝負師的な個性なんですかね？
ギャンブルはようやって来ました。僕はギャンブルが得意ですけど、それはそのゲームでどうすれば勝てるのかを、ずっと研究してやってるからです。FXで稼いだのも一か八かでやってきたわけではないからね。色んな失敗と成功体験があって、それを研究して枚数が増えていっただけの話です。張れるかどうかの自信持つためには、経験やからね。
―いろいろな積み上げの結果なんですね。
バックテストの結果だけで、枚数張れるわけはなくて。フォワードで成功して、失敗しての繰り返しだと思うよ。一つだけいうなら、そのフォワードで踏み出さへん奴は、一生大きくは成功しない。
―大きく成功したいなら、踏み出せと。
僕が関わった人間には、資金を全部張れといってます。資金が数百万円あるのに1枚、2枚でやってても意味ないから。100万円負けてもええやん。勝って、負けてっていう経験を積みなって。実際に僕の周りでは、いま相場が良いからめちゃくちゃ成功した子もいっぱいおるんですよ。1枚のトレードじゃ、相場で経験値を稼いでるとはいえない。本気で痛い金額を張らへんと、成長はないと思ってます。
スキャ勢にとってのゴトー日と仲値
―スキャ勢の人は、ゴトー日とか仲値とかをどう捉えているんですか？ 特別に意識するのか、平常通りなのか。
ゴトー日に関しては、上がるっていうアノマリーが、昔はあったわけやないですか。で、今そのアノマリーが通用するかっていうと、通用せえへんわけですよ。上がったら「ゴトー日やから」になるし、下がったら「もう通用せえへん」って。そういう状況って、もう通用してるとはいえへんですよね。だから、ゴトー日に関しては、特別な意識はないです。昔と比べて個人投資家の弾もデカくなってきてるし、相場が変わってきてますしね。
仲値に関しては、それは昔から一緒じゃないですか。仲値に向かっていく時間というのは、みんな意識してやってると思うよ。積極的にポジションを取るやつもおるし、逆に僕は仲値に近づけば近づくほどポジションを取らなくなる。
―ポジションを取らなくなるというのは、何か理由があるんですか？
仲値に向けてみんながやるから、スプレッドがぶわっと広がりますよね。そこでは戦わない。僕はスプが狭くて、枚数を打ち込めるところが主戦場やから。仲値は枚数を打ち込めるところでも何でもないからね。
―主戦場はどこなんですか？
僕は秒スキャじゃなくて、「分」の波が来そうなときに、枚数をめちゃくちゃ入れていくっていうスタイルです。
―それは仲値通過後に来るんですか？
通過後の方が好きですね。
―主戦場においては、ずっと集中してるんですか？ それとも多少は抜くところもあります？
その日その日で、違いますね。僕はファンダをほとんど入れへんくて9割がテクニカルやから、チャートが分かりやすい方向、僕がついていける方向の形をしているときに集中して、どっちか分からへんというときは集中せんわけですよ。自分のテクニカルと時間帯が合えば、おもくそ入れます。
チャレンジャーは努力するのが当たり前
―局面に応じて集中したり、抜いたりしているとのことですが、では1日単位だとどうでしょう？ 毎日が真剣勝負なんですか？ それとも、チャンスがなさそうな日は抜くこともあるんですか？
基本的に真剣勝負ですけど、オンオフはありますよ。動くきっかけがイベントのこともあるし、イベント前には膠着することもあるし。
―前日に遊んだとか飲んだとかの理由で、今日じゃなくて明日稼げばいいや、みたいなマインドになるものですか？
それはチャレンジャーなのか、もうチャレンジする必要がないのかですよね。チャレンジャーなんやったら、本当に稼げるここ最近の相場で休むのはアホや。最低でも15時間は張り付くべきだと思う。僕は2020年のコロナ相場のときは、朝8時から次の日の朝5時まで張り付いとったし、そんな感じで最初の1か月はやってた。
―コロナ相場では、相当儲かりました？
うん、月で1億円以上儲かった。やればやるほど儲かるから。
―ここ最近の円安相場はどうですか？
なかなか稼げてますよ！ コロナ相場と遜色ないくらい稼げてる。
―相場が動くと調子が良いんですね。ちなみに、ここ数年の成績ってどうだったんですか？ この年はいけた、どうやっても駄目だったとか。
僕が負けたのって、2018年の年末から2019年くらいなんですよ。2018年は2億円近く勝てとったんやけど、ラスト2か月で1億円近く負けて、2019年は普通に1億円負けた。そのときは相場もめちゃくちゃ悪かったですけど、自分のメンタルが一番あかんかったです。
2018年のラストから結局、5～6か月で2億円近く負けたのかな。これ以上資産を減らしたらあかんから、そっからトレードを抑えるやんか。それで抑えて生きながらえとったら、2020年のコロナ相場が来て儲かったって感じですね。
―スキャルピングで稼ぐ生活をしていて、衰えみたいなのって感じます？ 判断力とか、加齢に伴って劣化している部分を感じるとか。今と同じ事が、向こう5年、10年できるのか？
僕はもう逃げ切れるくらい稼いでいるから、反応スピードで勝負してへん。また違った戦い方ができるから。衰えとか、危ぶむとかは感じたことないです。
スキャ勢、ガチ勢のツイッター事情
―スキャ勢って、Twitterを使っている方が多いですよね。Twitter活用術といいますか、今FXに興味を持っている人へ向けて、こんな人を見た方が良いよというのがあればアドバイスをお願いします。
フォロワー1万人を超えている奴は、偽物しかおらんね（笑）。もうそれが一番シンプルだと思う。
―まあ、それは極端に言い過ぎだということで（笑）。本物だっていますからね！ でも確かに、いわゆるガチ勢って、フォロワーが多くないですよね。ひっそり暮らしているというか。
普通に情報発信してて、良心的なフォロワーがついていった場合、数千人くらいに落ち着いてますね。僕が今、7800人くらいでしょ。僕の仲間でも多くて9000人くらいちゃうかな。もっと少ない人もおるしね。
―スキャ勢のツイートを見ていて不思議に思うことがあるんですが、なんで偽トレーダーのことを蛇蝎のごとく嫌って、しかもそれを口外してるんですかね？ 金持ち喧嘩せずじゃなく、わざわざ煽ってる（笑）。
それは簡単ですよ、僕らは利益を上げてるけど、その裏ではめちゃくちゃ苦しんでるわけですよ。今の収入を得るまでに、いろんなぶっこき（損切り）があるし、1回の失敗を何か月もかけて取り返したりとかね。その苦労を乗り越えて、今があるんですよ。
それに対して、偽物は何の苦労もしていないのに、しゃーしゃーと金儲けやっとるから嫌われてるんじゃないかと思いますけどね。そういう気に食わんやつは消えろと思う。そいつらがおらんかったら、こっち側（億トレ）にたどり着く人らがおったかもしれへんし。
ためためさんのFX御殿が億トレの登竜門に!?
―スキャ勢の仲の良いコミュニティって、どう形成されていったんですか？ 本物も来れば、変なのも来ると思うんですが、そこのスクリーニングはどうやっているんですか？
FXに限らず、一般生活と一緒じゃないですかね。みんな人付き合いにフィルタリングかけるでしょ。オンラインでやり取りして、この人に会いたいと思うかどうか。そこでまず会いたいと思わへんかったら、何も始まらないわけで。会いたいと思わせて、いざ会ってみたら、次会わへんことも当然あるし、思った通りの人でそっから長い付き合いになる場合もあるし。
―ためためさんの仲間は、憧れの対象になっています。どうすれば仲間に入れますか？
どうやったら僕らの仲間になれるかってことですか？ それは基本的に、なれないんじゃないですかね、クローズドやから。でも、新しい子とちょっと絡みたいってところはあるんですよ。僕らはもう成功しているから、新しい子は僕らを敬って、気持ちよくさせてくれるんですよ（笑）。そういう敬ってくれて、成長している子は、目に掛けてあげたいってのはある。
―これを読んだ若きチャレンジャーが、アプローチしてくることもあると思います。会うかどうかの判断基準は？
ツイートの内容なり、DMのセンスなり、おもろいかどうかを見てますね。FXの腕は関係なく。それでいうと前に僕が気に入った子がいて、「三日後にウチ来れるか？」って聞いたら、「行きます」と。絶対に成り上がりたいという気持ちを感じたその子は、すごい成長を遂げたよ。ウチに遊びに来た後に、4000万円くらい稼いだのかな。
―すごい、億トレにとっての登竜門みたいになってるじゃないですか！ ためためさんはよく「チャレンジャーだったらこうやるよね」「こうすべきだよね」っていうお話をされます。それはご自身がFXにチャレンジして成功したことを、後進へ伝えたいという想いがあるんですか？
いや、そこまで大げさに考えてへんけど、縁がある子にはそういうことを与えているだけですね。縁があって、実際会ってみて、助けてもええかなって子は助けてる。
―どんなことを教えているんですか？
チャレンジャーのときは、全力で行けって話です。全力で行くってのは、寝る間を惜しんで努力して、持てる財力を投げうって、相場にかけろよということ。大きな資産を築くために、リスクをとって行動しろと。
今の相場やったら、FXで月利数百パーセントはいけるから、ほんまに。100万円で始めた種銭が、1年後に1000万円というのは全然可能やから。僕らの仲間内で一番すごい子は、今年の始めが200～300万円で、今は3億円弱ある。
―えーっ！
月利300％、400％はいけるからね。単利でさえ、年で5000％とかになって、そこに複利が効いたらもっとヤバいよね。僕も最初にぐわーって億稼ぐときは、そんな感じやった。なんぼでも金が増えていって、張れる枚数も増えていって。それは全力で行ったからですね。
あっても使えない!? 億トレのお金の悩み
―先ほど、逃げ切れるだけのお金は稼いだとおっしゃってました。そのあたりのお金の事情を聞いても良いですか？
僕は今、自分で運用してる資産が4億円ぐらいかな。3000枚まで打てる業者に2億円、その他にも3億円入れてて。後の余ってるやつは自分でトレードに使えへんから、プライベートバンカーに運用をお願いしてます。
―他人に運用を任せているのは意外です。そこには全幅の信頼を置いてるんですか？
どうやろう？ 5％ぐらいで運用してくれという指示だけしてます。お願いしているのは、そっちのお金を気にしたくないから任せるでっていうこと。気にするのは、自分のポジションだけで十分やから。
―5％というのはお金、月利ですか？ 年利ですか？
年利です。債券とかをやってるみたいやね。
―年利5％という目標なら、達成してくれそうですね。
まだ分からへんね。実力を見てるところやけど。
―ところで先ほどのお話によると、億トレって自分で運用できる資金に、限りがあるんですね。
100枚張るのに500万円くらいじゃないですか。3000枚までいける業者なら、1億5千万円、今は証拠金が高いから2億円くらい見て口座に入れてます。要するに、各業者が、何枚まで打たしてくれるのってだけですよ。打たしてくれるところがあるなら、なんぼでもいくよ。でも、打たしてくれへんから。
―年々、打てる業者がなくなってきているということに対して、危機感を持っていたり、対策を練っていたりするんですか？
今のメインで取引できなくなったら、ちょっとやり方を変えなあかんかもしれんね。まだ、スキャルに適してない業者を残している（使っていない）というのがあるから。全体的にスタイルを変えなあかんときが来るかもしれない。その時は、くりっく365でもいいと思ってるし。
―ところで、口座が凍結されるきっかけって何なんですか？ 先日、システムで攻略する方を取材したんですが、それは確かに荒っぽいやり方でした。そうしたトレードのしわ寄せが、純粋に裁量トレードしているだけのスキャ勢に及んでいるのかなと。
「システムの疑いあり」ってのは、凍結の常套文句やね。システム勢に狙われやすい局面があって、そういうところのスキャはめちゃくちゃ厳しい。アプローチは違うけど、結局狙うところが似てくるんですよ。やから、秒で決済するのはアカンね。凍結になった人の決済履歴を見ると、だいたい秒でやってるね。
実は優秀な知識人！起業の可能性は？
―FXでお金を稼いだ後に、事業とかやる人もいるじゃないですか。ためためさんは、そちらへ進む可能性はありますか？
ない。趣味に金を使いたい。今は地元でサッカーコーチをやってて、教えている場所の近くに居酒屋がないから、それを作ろうとは思ってます。
―ためためさんは経営の勉強をされてましたよね？
もともと大学に入るときに、ベンチャーとか実業家がはやってたから経営学部に行ったけど、全然勉強せずに遊びまくってましたね。就職する気もなく、起業できたらなってぼんやり思ってるころに、パチンコで月に数十万円稼げるようになってしまって。そっからは惰性でパチンコして、その延長でFXするようになって、今に至ってます。
僕が今から起業しても、それは趣味になってしまうからね。絶対に成功させなきゃいけないチャレンジャーじゃないし、楽しかったらええよっていう全然違う話になっちゃう。まあ、パチンコとかFXとかの回り道をしてなかったら、ビジネスでもっと稼げたとは思いますけど。自分の才能を生かせず、もったいないことしたなあとは思います（笑）。
―ためためさんならビジネスの世界でも才能を発揮していたはずなんですよ、たぶん（笑）。世間的なためためさんのイメージは、パチプロ上がりで、ギャンブルが強くて、口が悪いって感じかもしれませんが、本当は誰よりも知性に優れているんですよね。それをみんなに伝えたいです。
ちゃんと書いといてください（笑）。でも、FXよりも実業の方が難しいと思ってますよ。僕らの周りにはFXで10億、20億円と稼いでいる子がわんさかおって、これは誰にでも達成できることやないけど、それぐらいの人数がいる難易度ではある。かたや、事業で100億円稼ぐにはどれだけの苦労と才能がいるか。まあ、でも実業に行ってても、成功してるやろうけど（笑）。
―そういう強烈な自負心が、成功の秘訣なのかもしれませんね。では最後に、読者にメッセージをお願いします。
全力で行け！
インタビュー日◉2022年7月5日
FX雑誌「外国為替」vol.10
発売：2024年4月22日（月）
定価：980円（本体891円）
