みんな元気か? マッスル武藤だ! 前回は、コモディティの中心的な銘柄のゴールド(金)のトレードについて、FXと同じようにアジア時間、ロンドン時間、NY時間のそれぞれで値動きが変わる場合があることを解説したけど、みんな理解できたか? ゴールドは短期的には為替の動きに連動することから、FXの短期トレードの際に利用できる特徴を生かせば収益機会が増えるので、ぜひ試してほしい。
さて、ゴールドは値動きだけを見てトレードすることもできるが、よくよく考えるとコモディティの一つであり、「現物」が存在する。FXも無論、紙幣という現物があるが、実際に取引する際にはそれを意識している投資家はほとんどいないだろう。しかし、ゴールドはそうではない。実際に金の現物が存在し、それ自体が売買されている。金地金や金コインなどはその代表例であろう。
では、ゴールドの実需にはどのようなものがあるのだろうか。すぐに思い出すのは、需要の45%超を占める宝飾品だろう。指輪やネックレスなどはその代表例だ。その他には工業用需要(6%程度)、投資需要(23%)がある。投資需要では金上場投資信託(ETF)などを通じた金買いも含まれる。欧米勢の金ETF買いの動向は、ゴールドの価格を変動させることがあるから注意が必要だ。この点はまた別途解説する。
そして、近年の金需要で注目すべきは、政府・中銀など公的機関の金買いの動向だ。特に新興国の政府・中銀は、ゴールドの価格が下落したときに買う傾向がある。つまり、価格の下落をサポートする役割を果たしている。そのため、彼らは「バーゲンハンター」と呼ばれる。実際に、ゴールド価格が大きく下げたとき、彼らはしっかりと買いを増やしていることが多い。近年では、外貨準備の管理の際に注意している点として、金利やインフレ動向を挙げるようになっている。つまり、彼らも一般の投資家と同様にインフレを気にしてゴールドを購入しているということ。これは意外だろう。
そもそも、彼らのような新興国は、自国通貨の価値の低下やドル保有のリスクに対してゴールドを保有する傾向がある。それに加え、最近ではインフレも気にしている点は興味深い。世界的にインフレ率の伸びは鈍化しているが、それでもなお主要中銀の目標である2%を上回っている。新興国ではさらにインフレ率は高い。そう考えると、今後も新興国の金買いがゴールド価格を支えそうだから、ぜひ注目してほしい。
次回も金の需要面に関して注目すべきポイントを取り上げるから、楽しみにしとけよ。じゃあまたな!
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)