ポーカーとトレードとの類似点
最近日本でも流行しつつあるポーカー(テキサスホールデム)は、配られた2枚と場に出た5枚のカードを使ってハンドの強さを競い、チップを賭けるゲームです。テーブルのレート次第で、時には1ハンドで100万円以上の大金が動くこともあります。毎年ラスベガスで行われる世界大会では、優勝賞金は約10億円とまさにケタ違いです。ポーカーは一見すると単なるギャンブルのようですが、長期的には実力のあるプレイヤーが勝ち越すことができるスキルゲームです。そして多くの点でポーカーはトレードと似た性質を持っているといえます。
トレードもポーカーも、いかにうまくプレイするか(いつポジションを持ち、いつ利確や損切りをするか)ということばかりに焦点が当てられがちですが、実際に最も重要なことは資金管理です。資金管理というと退屈な話だと感じる人が多いかもしれません。しかし、どんなに自分の腕に自信があっても、短期的な結果は運に大きく左右されるものです。ほんの少しだけ期待値がプラスの場面に、自分の全財産をオールインする人は誰もいないでしょう。しかし、目の前のチャンスを逃したくないという焦りや、今すぐ大金を手に入れたいという欲望から、ハイリスクハイリターンなギャンブルに挑み、そして破産していく者はトレードでもポーカーでも後を絶ちません。
資金管理が重要なワケ

ポーカーの有名なシチュエーションの一つに「コインフリップ」というのがあります。これはクイーン2枚のポケットペア(自分の手のうちでペアになっていること)対エースとキングのようなツーオーバー(相手のペアに対して上2枚を持っていること)のオールイン対決のことを指します。「QQ」VS「AK」の勝率は約56%対44%となるため、運で結果が決まるコイン投げのようなもの、という意味でコインフリップと呼ばれます。
「QQ」の方が少しだけ勝率が高いものの、1回あたりの結果はほぼ運で決まります。しかし、これを数百回、数千回繰り返した場合には、「QQ」でオールインしたプレイヤーが長期的には確実にチップを増やすことができます。ほんの数%の期待値であっても、試行回数を重ねることによって確実にエッジを出すことができるのです。これはトレードにおいても全く同じであり、薄いエッジから利益を得るには多くの試行回数が必要となります。だから1回あたりのトレードの損失額は資金全体に対して非常に小さな割合で設定する必要があります。





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