ポーカーはステークス(掛け金額)が違ってもゲームの内容は全く同じです。数百ドルから参加できる最も安いテーブルから、数万ドルを持ったプレイヤーがひしめく高額なテーブルまで、ゲームの本質は全く変わりません。
しかし実際にカードが配られると、状況は全く同じでも、賭ける金額によって感じる緊張や不安は大きく異なります。このような、ベットする金額によって感じる心理的なプレッシャーのことを「マネープレッシャー」といいます。
マネープレッシャーの感じ方は、人によってかなり差があります。100ドルのオールインで緊張する人もいれば、1万ドルをオールインしても何も感じない人もいます。その人が持っている資金の大きさや、緊張や不安を感じやすい性格かどうかによって変わる部分です。
僕が今までに感じた最大のマネープレッシャーは、約6000ドルを持って10/20ドルのテーブルに座っていて、QQ(クイーンズ)が配られたときです。プリフロップ(最初の2枚)で自分のレイズに対して相手からリレイズされ、さらにレイズを返したところ、相手からもう一度レイズされました。
QQはポーカーで3番目に強いハンドですが、プリフロップで何度もレイズしてくる相手はAAやKKを持っていることも多いため、判断に迷うスポットです。ここではコールを選択して、すでにポットは2000ドルを超えました。
フロップ(最初の3枚)は全てローカード(9以下の数字)で、AAとKK以外には負けていない状況です。相手のさらなるベットに対してコールして、4枚目のターンもローカードです。相手のオールイン要求のベットにやむなくコールしたところ…相手のハンドはペアではなくブラフのAKでした。5枚目のリバーも何も落ちず、QQが勝利して1万ドル超のポットを獲得しました。
ポーカーや麻雀のような不確定要素のある競技では、長期的に利益が出る選択肢を淡々と積み重ねていくことが重要です。マネープレッシャーはゲームの内容に悪影響を与えることが多く、大金を失いたくないという気持ちからベットの金額が安くなったり、相手のブラフに降りすぎてしまったりとプレイが消極的になる原因となります。
熟練したプレイヤーは、マネープレッシャーを利用して相手を降ろすのが上手です。例えば100ドルしかないポットに対して、いきなり500ドルや1000ドルといった特大のベットを繰り出すことで、相手の中程度以下のほとんどのハンドを強引にフォールドさせることができます。
トレードでは、ベットする金額を決めるのはいつも自分です。感情に惑わされずに正しい売買判断を行うには、マネープレッシャーを感じないロット数で取引したり、失ってもいいと思える範囲内で損切りの金額を設定することが大切です。
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)