みんな、元気か! マッスル武藤だ! 連日のように過去最高値を更新していたゴールドが、11月に入って高値から下げているな! 上昇基調につられて高値で買った一部の投資家は慌てているようだが、みんなも慌てているんじゃないだろうな! そんな目先の動きに惑わされていると後悔するぞ! 今こそ、ゴールドの本質を見極めないともったいないぞ!
ゴールドに調整が入った理由は簡単だ。11月5日の米大統領選挙でトランプ氏が勝利したからだ。トランプ氏が掲げる政策は、法人税減税・関税引き上げがメインだ。これらの政策が財政悪化を招くと考えられているから金利が上昇し、その結果、ドルが上昇したことで、ドル建てで取引されるゴールドが売られているわけだ。まさに短絡的なものの見方しかできない市場参加者が、米金利上昇とドル高に慌てている。しかし、これらの政策は最終的にはドル安を招く。さらに言えば、共和党政権下では必ずといってよいほどドル安になる傾向がある。その背景には財政の悪化がある。トランプ政権の政策は、どう見ても財政が悪化する。これが最終的にドルの信認の低下につながっていく。しかし、このロジックを理解できていない者が、慌ててゴールドを売っているわけだ。
一方、ゴールドの価格形成において本質的な背景を理解できていない者も多いようだな。ゴールドの価格が上昇しているのは、ドルが大量に供給されているからに他ならない。米国の通貨供給量は増加傾向にあるが、特にコロナショック以降の増加は異常な伸びである。ドルの供給量の増加は、当然のことながらドルの価値の低下につながることになる。このことを理解していれば、現在のゴールドの価格水準が異常に割安であることに気づくだろう。ちなみに、現在の米国の金保有量は8133トンとされている。誰も証明できないのだが、公式にはそうなっている。金本位制の際にドルを金で裏付ける法的要件は40%だったが、現在の通貨供給量にこの裏付け率を当てはめると、現在の米国が保有している金の価値は1トロイオンスあたり2万8000ドルを超える計算になる。裏付け率を半分の20%にした場合でも1万4000ドルになる。つまり、現在のゴールドの価格水準は超割安であり、これから5倍から10倍程度になってもおかしくないということになる。「何を馬鹿なことを言っているのか」と思われるだろうが、理論上はそうなる。
無論、現在金本位制は停止されている(廃止されているわけではない)。米国あるいは他国が金本位制に類似するような制度を導入するか、あるいはそのようなことを示唆すれば、ゴールドは青天井に上げていくだろう。目先の上下動に振り回されている場合じゃないぞ! これからもゴールドをよく見ておいてくれよな! じゃあな!
ゴールド価格と米国のM1の推移
FX雑誌「外国為替」vol.14
発売:2024年12月23日(月)
定価:980円(本体891円)