みんな、元気か！ マッスル武藤だ！ 前回は、ゴールドの金上場投資信託（ETF）を欧米投資家が売る中、先物市場で投機筋がゴールドを買い上げた話をしたけど、理解できたか？ 実はこの1カ月で、ゴールドを取り巻く市場環境は一変しているんだが、気づいたか？ 今回は予定を変更して、ゴールド市場を取り巻く環境の大きな変化と、金価格が史上最高値を更新した背景について解説するから、しっかりと理解してくれよ！
まず、金価格が1トロイオンス2400ドルという史上最高値を更新した背景だが、すぐに入手できる投資家や投機筋の動向をみると、なんと彼らは一切買っていなかったことが判明した。欧米投資家が金ETFを売り続けている話はしたが、この状況は価格上昇時においても全く変わっていなかった。しかし、先物市場で大量に買い付けていた投機筋は、この間一切買っていない。それにもかかわらず、金価格が史上最高値を更新した背景について、「現物市場での買いしかない！」と踏んで、その動向を調べてみた。そうすると、やはり買っていたのは現物筋だった。中銀は今年第1四半期で290トンの金を購入しているが、これは前年同期の286トンとほぼ同水準だ。中銀は昨年に史上最大の金購入を行ったが、今年も同じペースで買っている。その中心はトルコ、インド、中国だ。
そして、これだけの高値にもかかわらず、宝飾品需要も伸びている。これに驚いた。今年第1四半期は479トンだったが、昨年同時期の489トンとさほど変わらない。また、バーやコインの今年第1四半期の需要は312トンで、前年同期の304トンを上回っている。これだけの需要が高値でも確認できている。金価格が下がらないわけである。これらの現物を購入する向きは基本的に売ってこないため、将来の売り手にはならない。つまり、売りが出ないのだから価格が下がらないというわけだ。
こういう構図になると、金市場はきわめて強い状況になる。投資家や投機筋が指をくわえて見ているうちに、金価格は現物筋の買いであっという間に上がったということだ。そして、売りが出ないのだからさらに下がりづらくなり、彼らが買ってくればさらに上げていくことになる。このような構図では、投資家や投機筋が買い始めると、最後の上昇局面になるだろう。しかし、それはあくまで短期的なものに過ぎないとみている。金相場の大天井はもっと先だろう。数年後には1万ドルになっているかもしれないぞ。今はそれくらいの大相場というわけだ。今の機会を見過ごすと、将来後悔するだろう。それくらいの歴史的な変化が目の前で起きている。
この事実をよく理解し、投資機会に生かしてほしいね！ 次回もゴールドについて深堀りするから楽しみにしとけよ！ じゃぁまたな！
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売：2024年10月22日（火）
定価：980円（本体891円）
