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試鋳貨(しちゅうか)貨幣の試作品|アンティークコインのきほん[ゆったり為替]

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試鋳貨とは

 世の中には数多くの種類のコイン(貨幣)があり、わずかな枚数だけ発行されたり何億枚も流通したりしてきました。通貨当局はこれらのコインをいきなり生産するのではなく、正式発行前に試作品を作ってチェックします。これは試鋳貨と呼ばれ、流通目的でないので独特の特徴があります。

 最大の特徴は、製造数の少なさです。デザインや質感などをチェックするために作るので、少数だけ作れば十分です。発行枚数は少ない例が多く、一般のコインに比べて希少性が高くなります。そして、希少性が高ければ高額になりがちで、破格の高値をつける例が珍しくありません。さらに、代々の所有者が大切に保管してきたため、高いグレード(品質)を維持している例が多いのも特徴です。手に入れる機会があったら、次世代に確実に受け継げるよう大切に保管してください。

旧1円銀貨の試鋳貨

試鋳貨と旧1円銀貨

 旧1円銀貨の試鋳貨を見てみましょう。明治新政府は江戸時代の三貨制度(小判など)を廃止し、西洋型の通貨制度「円」を導入しました。この際にも試鋳貨を製造しています。明治時代には西洋の先進技術を積極的に導入したイメージがありますが、すべて西洋から採用したというわけではありません。(株)日本コインオークションによると、この試鋳貨のデザインは英国の彫刻家により作られたものの、 表面の龍は加納夏雄の彫刻が採用されました。この龍は天皇を象徴しており、日本の職人技術が高く評価されていたことがわかります。

加納夏雄

江戸時代から明治時代にかけて活躍した金工師。数多くの作品を残しており、東京国立博物館にも複数が収蔵されています。

 試鋳貨と旧1円銀貨を比較すると、旭日やその周囲のデザインが大幅に異なることがわかります。また、龍がある面を見ると、書体もわずかに違います。試鋳貨の文字はやや弱い一方、旧1円銀貨は力強いです。

 なお、試鋳貨のデザインが採用されずに旧1円銀貨のデザインが新たに作られた経緯が知りたいところですが、記録が残っておらず不明の模様です。さらに、円そのものについて、なぜ円という名称が採用されたのか、資料が残っていないためこちらも不明です。3種類の説があり、直感的には「形が円い(丸い)から」というのが有力に感じます。

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月足トレードを実践する超長期トレーダー。FXで2013年に退職・独立。現在はFX以外に仮想通貨とアンティークコインで日々生活中。
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