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【第1回】AMSER流ドル円の解釈|トレーディングアルゴリズムの裏側[林貴晴]

【第1回】AMSER流ドル円の解釈|トレーディングアルゴリズムの裏側[林貴晴]

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データ分析ではっきり見えた時間帯による値動きのクセ

 AMSER株式会社の林貴晴です。この連載を通じて、「AMSER」的なトレーディングアルゴリズムに対する視点や考え方をご紹介いたします。

 AMSER(アムサール)とは、ケルト語で「時間」を意味する言葉です。私がEAの開発を始めた初期から、トレーディングアルゴリズムにおいて時間が非常に重要な要素であることに気づき、これを社名として採用しました。今回のテーマである「AMSER流ドル円の解釈」では、時間、すなわちAMSERを軸に、ドル円の世界を切り取ってご紹介していきます。

 私が初めて耳にした、アルゴリズムトレードに関わる噂は、「日本時間に円が強くなる」というものでした。もしこれが真実ならば、日本時間が始まったらドル円を売り、終わったら買い戻すことで勝てるはずです。ただし、ここで一つの疑問が浮かび上がりました。具体的に日本時間の「始まり」と「終わり」とは、いつなのでしょうか?

 答えを見つけるべく、私は過去10年以上のデータをエクセルで解析しました。その結果、目の前に広がったのは、まるで新しい世界のような光景でした。私が見つけたパターンは、ニューヨーク時間の終わりと共にドル高になり、2時55分と3時55分の二つのピークから円高になるというものでした。この二つのピークは夏時間の影響を受けているため分かれており、実際には日本時間で9時55分のことでした。

ドル円を時間帯ごとの変化で見ると、明らかに偏りがあることが分かる。日本時間の9時55分が頂点となり、そこから後には下落していきやすい。
日本時間の9時55分、ロンドン市場が始まる日本時間の夕方、そして米国の経済指標が集中する日本時間の21~22時ごろの時間帯に、ボラティリティが拡大することが確認できる。

ボラティリティが急激に変化するタイミングが存在

 この発見を基に構築し公開した9時55分のショートエントリーは、今でも多くのトレーダーに利用されています。そして私も、仲値EAやアノマリーEAとして、これを活用しています。

 しかしながら、ドル円の動きに一定の傾向が見えてきたとしても、その動きの強弱、すなわちボラティリティにも注目する必要があります。動きが大きいときと小さいときで、TP(取引の目標利益)を調整することによって利益を増やすことができます。

 時間帯による高値と安値の比の平均を計算すると、日本時間9時55分、ロンドン市場開始直後、そして米国の指標発表の時間帯、この三つの時刻に注意を向けるべきという結論に至りました。もちろんTPだけでなく、得意なロジックも変わってきます。ボラティリティが大きいときはトレンドフォローが、小さいときはオシレーターが効果的な傾向があります。

 また、スプレッドが一定の幅にあり安定しているときは、ボラティリティが上昇することで相対的に手数料が低くなり、トレードの大きなチャンスといえるでしょう。

相場の変化タイミングで取引の手法も変化させる

 相場は一定ではありません。時間帯によっては、動きの方向や強さが変わることが示されています。時間をうまく活用することで、日本時間9時55分のような特定のタイミングで取引戦略を変更することが可能です。

 例えば、この時間にポジションを閉じる、あるいはロジックを変更する、また直前はエントリーを避けるなどの方法が考えられます。実際、私が開発した初期の「AMSER」というシステムは、特定の時間に取引を行う単純なものでしたが、第三者によるフォワード試験の結果、2か月で+100%以上の利益を得ることができました。

 当時、市販されているEAの取引数は1日1回あるかないかという状況でしたが、このシステムは毎日6~7回程度の取引を行っていました。時間を緻密に分析することでより精度の高い高頻度取引を作成することができ、トレーディングにおける大きな武器となります。

 次回の連載では、これらの分析から生まれた具体的なトレーディング戦略や、その実践法について深掘りしていきます。AMSERを意識することで、あなたのトレーディングライフをより賢く、確かなものにしていきましょう。それでは、次回もお楽しみに。

ABOUT ME
林貴晴(はやし たかはる)
アメリカ合衆国ニューヨークのマンハッタン地区生まれ。S&P500、SMI、FTSE100に上場する著名な製薬会社で活躍後、株式会社ゴゴジャンの部長として金融業界に転向。その後現在は複数の会社役員を務めている。業界における常識や流行を問わず、独自の道を貫く姿勢が強く、ロットコントロールや時間(AMSER)を用いた投資戦略は大きな評価を得ている。
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