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グランビルの法則で目線を決め、MAのパターンで伸びる波の値動きを捉える[相場師クロ]

グランビルの法則で目線を決め、MAのパターンで伸びる波の値動きを捉える[相場師クロ]

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相場師クロ氏のプロフィール
相場師クロ(黒田雄士)氏プロフィール

FX専門コンサルティング会社 / オーケーインテリジェンス合同会社CEO。為替から株までやる相場師。FXはSMA・水平線軸のテクニカル、短期デイトレ、月利回り命。株式は需給分析ベースのロング&ショート。

本文◉yuko チャート提供:TradingView

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グランビルの法則とSMAを利用した多通貨・短時間のFXトレード手法

 クロさんに、グランビルの法則とSMAを利用した多通貨・短時間のFXトレード手法を解説していただきました。なお、この記事中の「MA」は「SMA」を指します。

「僕が普段からずっと使ってきて、発信しているテクニカル分析とトレード手法を解説します」とクロさん。

「最初にチェックするのは1時間足です。20SMAと現在の価格の位置関係を確認し、グランビルの法則の何番(図①参照)と想定するかによって、その通貨ペアにおける『目線』(売買の方向)を決めます。

 次に、目線方向に対する4時間~日足の中で邪魔者(SMAや気になる水平線)を確認し、何pipsの空間があるかをチェックし、エントリーの可否を決めます。

 1時間足で『目線』を決められなかったり、4時間~日足チャートで邪魔者が多く、空間が狭いときはトレードしません」

3本のSMAの収縮からの脱出でエントリー

「エントリーでは5~15分足チャートを見ます。『キレイに大きく動く手前』でエントリーしたいので、その兆候である『SMAの収縮』(図②を参照)が起きているところを見つけます。そして、SMAの収縮から拡散に向かう値動きを『三つの波』(図②参照)で捉えます。三つの波とは、①『収縮したSMA』を脱出する動き、②小さなプルバック(押し・戻り)、③プルバックの次に起きる上昇・下降の大きな波です。僕のトレード手法では、②のプルバックの終了候補でエントリーします。利益確定と損切りについては、基本的に含み益がどこまで伸びるかは『想定できても、その通りになる保証はない』という考えなので、リスクリワードバランスを考えて『pips固定』でやっています。

 リスクリワードの目安は1:2~3で、それ以上は狙いません。必ずそうしなければいけないわけではないのですが、勝ちきれずにその後変なトレードをするくらいなら、取ったリスク(損切り幅)に見合った利益をしっかり確保することが大事と考えています。

 損切りラインは10pips程度で、通貨のボラティリティによって多少調整します。ユーロ系はやや小さく、ポンド系はやや大きくなります。重要なのは、損切りはあくまでも、『想定が崩れる』ところに『決めたpips幅の損切りが置けること』。想定した3波の発生はないと判断できるところです」

ルールを守ることが成功する第一歩

 このFX手法を使う上でのポイントや気をつける点はどこだろうか。

「『利確は早く。損切りは 〝超〟 早く』がポイントです。ただし、それはチキン利食いや損切り貧乏を意味するものではなく、十分な検証とテストを重ねた結果に基づいて『必要最小限の損切り(=必要経費)』を徹底し、『必要経費に見合ったリワード』を得ることです。その第一歩として、利益確定も損切りも『ルールを決めて、必ずそれを守ること』を徹底します。決して損切りを粘って損失を増大させたり、欲張って利益確定の先延ばしをしてはいけません」

 あくまでも、検証とテストの結果に基づいて決めたルールを一貫し、守り続けることが大事とのことでした。

FX手法で使用するテクニカル指標

図①グランビルの法則(Granville Chart Theory)

図①グランビルの法則(Granville Chart Theory)

グランビルの法則は、テクニカル分析の1つで、移動平均線の傾きと価格の位置関係から売買のタイミングを判断する方法だ。サインは買いと売りで4つずつの計8パターン。この図では、G1、G2、G3、G4’が買いのサイン。G4、G1’、G2’、G3’が売りのサイン。

図②SMA Simple Moving Average(単純移動平均線)および3波理論 Elliott Wave Theory

図②SMA Simple Moving Average(単純移動平均線)および3波理論 Elliott Wave Theory

SMAは最もポピュラーなテクニカル分析の指標で、終値の平均価格を線で結んだものである。ラインの傾きにより、トレンドの方向と強さを読み取ることができる。また、多くの市場参加者に意識されやすいテクニカル指標であるため、レジスタンスやサポートとして機能することが多い。

3波理論はエリオットの波動理論の一部で、価格の動きを3つの波として捉える分析方法。トレンド発生時の波形は、①動き出しの1波、②押し・戻りの2波、③押し・戻り後に来る一番大きな波である3波で構成されると想定する。

この手法では、同時に描画した期間の異なる複数のSMA同士の位置関係を利用してチャートを分析し、トレンド発生時の3つの波を察知する。

トレード手法の基本情報

狙う通貨ペアクロス円、ドルストレート、日経225先物にも適用可
表示するチャートの時間軸日足~4時間足(値動きの空間把握)、
1時間足(目線の決定)、15分足~1分足(エントリーのセットアップ)
使用するインジケーター水平線、SMA(期間:20,40,50,100)
平均的なポジション保有時間3時間以内
(東京・ロンドン・ニューヨークの各市場を跨がないイメージ)
平均的な利益確定の値幅25~30pips
平均的な損切りの値幅10pips程度
(スプレッド、ボラティリティにより2~3pips程度の差あり)

■勝率の目安
50〜60%

■トレードの頻度
1日につき2~3回程度

環境認識から取引まで、チャート分析の目的と利用する時間軸が明確に分けられている。多くの通貨ペア、時間帯で利用でき、ポジション保有時間も数時間と短く、取引回数も1日数回とチャンスが多めなのが特徴。

環境認識

1時間足チャート
日足チャート

●1時間足の20SMAでグランビルの法則に当てはめ、『目線』(売買の方向)を決定
●4時間足と日足で、目線方向の邪魔者(MAや気になる水平線)を確認。利確までの空間があるかチェックし、エントリーの可否を決定
●トレードしない条件
①1時間足において『目線』が決められない状況
②4時間~日足の中に邪魔者が多く、空間が狭いとき

エントリー(新規買いの場合)

エントリー(新規買い)のチャート

●5分足・15分足で価格がもみ合い、SMAが収縮(まとまる)
●価格が動き出し、収縮したSMAが拡散(ばらける)
●小さなプルバック(押し・戻り)の候補を決めてエントリー
●プルバックの終わりの目安の1つとして、15分足の40-50SMA、5分足の100SMAタッチがお勧め

目先のトレンドがなくなると、5分足や15分足といった短期足で価格のもみ合いが始まり、複数のMAが狭い水準にまとまっていきます。また、ローソク足とMAが絡み合うようになります。ここから新しいトレンドが発生すると、まずローソク足が先行し、MAがばらけだして、それぞれの距離が開いていきます。ここでのエントリーは押し、あるいは戻りを待って(プルバック)、どれかのMAでの反発を狙っていきます。

決済売買(新規買い→決済売りの場合)

決済売買のチャート

利益確定

●pips固定で設定する
●リスクリワードは1:2~3が目安

損切り

●pips固定で設定する。通貨のボラティリティによって多少の調整あり
●目安は10pips前後(ユーロ系はやや小さく、ポンド系はやや大きい)
●ただし「想定が崩れる」ところに「決めたpips幅の損切りラインを置けること」が重要

同じサイコロを用意するためのセットアップがトレードの鍵

 この手法を用いた、ユーロ円のトレード例。このときの環境認識は、1時間足で20SMAを下から上に抜けており、再度20SMAにタッチしようとしている場面であるため、グランビルの法則のG2と想定し、目線を買い方向に固定しました。続いて、4時間足、日足チャートで、SMAや上位足の4本値(始値、高値、安値、終値)、その他気になる水平線をチェックし、利確目標までのレジスタンスは少なく、空間(値動きの余地)があることを確認できたため、トレード可能と判断。

 グランビルの法則に当てはめることができなかったり、邪魔者が多く値動きの余地がないと判断したらトレードしませんが、この事例では問題なし。

 環境認識で買い方向に目線を固定している中、価格のもみ合いにより5分足の40、50、100の3本のSMAが収縮するパターンを確認。その後、買い方向へのMAからの脱出(①波)があったため、プルバック(②波)を待ち、5分足の100SMAタッチをプルバック終了候補の押し目としてエントリーを検討。

 波の想定が崩れるまでの値幅が10pips程度であることを確認できたら、エントリー。エントリー時に確認した損切りとリワードが1:2~3となるラインに到達したので利益確定の決済を行いました。

相場師クロ氏のメッセージ

実戦例:環境認識│ユーロ円◉日足〜5分足◉2023年7月13日

1時間足チャート
現在地と20SMAの位置関係を確認し、グランビルの法則のG2と想定。目線を買いに固定
4時間足と日足のチャート
利確目標までの間に抵抗線となる水平線・MAが少ないことを確認

1時間足でグランビルの8法則のどれかに当てはまっていたら、日足と4時間足で邪魔になりそうな抵抗がないかをチェック!

実戦例:エントリーおよび決済

5分足チャート
損切りの水準を決められれば損益の比率から利確ポイントも自動的に決定される!

●値動きのもみ合いによりSMAが収縮
●環境認識で決めた買い方向に抜ける値動きを①波と想定
●②波の小さなプルバック(押し目)の終了候補でエントリーを検討
●この例では5分足の100SMAのタッチでプルバックが終了し、③波が発生すると想定
●③波発生の想定が崩れる損切りラインを確認し、10pips程度に収まっているためエントリー
●損切り(リスク)に対するリワードが1:3となるよう設定した利益確定ラインに到達したため、利益確定の決済

1時間足でグランビルの法則のどれかに当てはまりそうなことを確認し、なおかつ日足と4時間足で月足、週足、日足の4本値や目立つ高値や安値、SMAまでの距離が十分あることを確認できたら、短期足でエントリーしていきます。今回は5分足を使いました。トレンドの初動である①の波を確認したら、プルバックである②の波がどのあたりで折り返すかですが、今回は100SMAでの反転を見越してエントリー。損切りは直近安値の先で、ここを下回ったら下降トレンド開始と判断できる水準に置きます。ここまでできたら、あとは損切り幅を基準に利益確定ポイントを決めます。今回は損切り価格までの3倍の値幅としました。

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