大事な資金を投じるならば、少しでも勝てる可能性は高めたいもの。
そのためにはトレード手法の検証が欠かせません。
シンプルな導入、分かりやすい操作感、そして短時間で検証を行えるのが、トレーダーの心強い味方「トレードトレーナー」。今回はより発展的な内容として、トレードアイデアの本格的な検証を行いました。
STEP.1|検証をする意味をおさらい
外国為替編集長のシカウチです。今回はTrade Trainerの操作方法解説を通じて、FXのトレードにおける検証について考えていきます。後半では、実際の相場、チャートを用いた手法アイデアを公開し、優位性があるかを検証しています。
①そもそもなぜ検証が必要なのか?
まず、なぜ検証が必要なのか。今回はTrade Trainerを用いた裁量トレードの話ですが、あえて自動売買の話をします。FXの自動売買は、主にMT4やMT5というソフトにEAというプログラムを当てはめて行います。このとき、そのEAを過去の相場で作動させて、実際にどういう成績になるかバックテストするのが基本です。
このバックテストで、成績がマイナスだったEAで実運用をする人はいませんよね? これまでの相場で負けているんですから。
このバックテストの裁量トレード版が、検証だと思ってください。「こうやったら儲かるかも?」というアイデアが、本当に儲かるのかを試します。
本当に儲かるのなら、実運用を検討すればいいし、ぜんぜん儲からないならやり方を見直す必要があります。というか、儲からないアイデアに実資金を投じるのは怖くありませんか?
そう感じるのなら、本気のトレードをする前に検証はするべきです。
②今回検証するアイデアはこちら
私はボリンジャーバンドが好きなので、バンドウォークが発生しているときに、短い時間足で押し目や戻りを拾ったら勝てるんじゃないかというボンヤリしたアイデアがありました。日足などの上位足で1σと2σ間の値動きが続き、ボラティリティが拡大している場面で、15分足など下位足で押し目買いや戻り売りを繰り返したら、勝てるんじゃないかと。
とはいえ、上位足のバンドウォークは頻繁に発生しているため、精度を上げるためにボリンジャーバンドの幅の拡大、およびRCIの長期線を使用します。
また下位足の押し戻りを拾う条件として、RCIの短期線を用います。また、損切りは直近の高安値の少し先に置き、損切り幅の1.5倍の利益幅を取ることにします。
今回検証するトレード手法
<環境認識>
●日足のボリンジャーバンドで、ローソク足4本以上バンドウォークしている
●RCI52が80%を超えてから戻っている
●ボリンジャーバンドのバンド幅が広がっている
<エントリー>
●15分足でRCI9が80%を超えてから戻ったらエントリー
●直近高値や安値の先に損切りを置く
●損切り幅の1.5倍の利食い幅を設定
STEP.2|検証の環境を整える
①今回使用するカスタムインジケーター
デフォルトのMT4にはRCIは入っていないため、カスタムインジケーターとして外部からRCIを追加します。今回は「keys_RCI3」を使わせていただきます。
[MT4/MT5インジケーターRCI(6本まで表示)を無料ダウンロードできる!LINEアラート付き]
またボリンジャーバンドのバンド幅は、目視もできないことはないですが、インジケーターとしてシンプルに視覚で判断したほうが分かりやすいので、以下をインストールさせていただきました。
[ボリバンの幅をオシレーターにした「Bollinger Bandwidth histogram (mtf + alerts)」]
このようにTrade Trainerでは、最初からMT4には搭載されていないインジケーターでも、多くのものが使用可能です。
②検証の設定をする
外国為替vol.13に掲載された手順でTrade Trainerのセットアップが完了したら、検証の環境を設定します。
あらかじめ2024年秋の相場を見ていて、ユーロドルで綺麗なバンドウォークが発生していたことを記憶していたため、9月1日から検証を開始。環境認識をするための日足(D1)を開いたあと、売買用の15分足(M15)も開いて2画面体制で進めます。
検証のセットアップが完了すると、上のような画像になると思います。MT4の初期設定ではチャートは黒いですが、雑誌に載せるときは白いほうが見やすいので、一部の色は変更しています。
STEP.3|条件に合致したら売買してみよう!
①日足の環境認識
検証を開始して日付を進めていくと、10月に入ったころからユーロドルに綺麗な下降バンドウォークが現れました。-1σと-2σの間の価格帯で下落しており、なおかつバンド幅は拡大傾向。さらにRCI52が天井に張りついていたところから、ゆっくり下げ始めました。加えて、日足でダブルトップができており、そのネックラインでサポレジ転換まで起きているという、役満クラスの下落サインです。
ただここまでは、日々チャートを見ていて知っていました。「ユーロドルは綺麗に下げたよね」という記憶があったので、まさにそのとおりの形です。まだ環境認識段階なので、利益を取っていくのはこの先の下位足での操作となります。
②15分足でエントリーと決済の設定
日足が条件を満たしたので、15分足でRCI9が80%を超え、そこから内側に戻ったら売りを入れます。損切りの位置は、直近高値の少し先です。
③15分足でエントリーと決済の設定
先に損切りの位置を決めると、そこからリスクリワード比率を自動計算して、利食い位置を決めることができます。1.5倍の利食い幅を取る場合の設定例です。
STEP.4|それ以降の検証結果と結論
①それ以降の売買とまとめ
そこから同条件で複数ポジションを持たないという条件で検証を続けたところ、あっさり4連勝してしまいました。
今回はあくまで1回の下げに対しての売買に過ぎず、もっと期間を広くして検証していけば詳細かつ現実的なデータが取れると思います。ぜひみなさんもTrade Trainerをいじり倒して、勝てる手法を見つけてください。
まとめ
繰り返しますが、「少なくとも過去の相場で利益が出た」という根拠がある状態で、実資金投入をするべきなのは、裁量も自動売買もまったく同じです。情報商材などで、誰か有名な方の手法を買うのも良いでしょう。そのとき、いきなり大金を投じるのはナンセンスです。どういう入手経路だろうと、「本当にこのやり方に優位性があるのかな?」と疑う視点を持ちましょう。
また検証データを蓄積することで、勝率や利回り、最大ドローダウンなどが分かるため、その手法の性質を深く理解できます。苦手な相場の展開が分かったり、売買ポイントを変更するなど手法の進化につながる可能性もあるかもしれません。
よくある質問で、「こういった検証をデモトレードでしてはいけないのですか?」というものがあります。デモトレードはリアルタイムで進行するため、1年分のデータを集めるには実際に1年かかります。非常に効率が悪いんです。デモは検証の一つ次の段階で使うほうが良いでしょう。すなわち、検証で優位性がありそうな手法を見つけたら、実資金で本気運用をする前にデモトレードで実際に動かしてみることで、実運用の感覚をつかむことができます。
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FX雑誌「外国為替」vol.14
発売:2024年12月23日(月)
定価:980円(本体891円)