編集部より
2025年12月22日発売(予定)のFX雑誌『外国為替』vol.17に掲載する対談記事の一部です。実力派トレーダーとFX界の重鎮が出会うとどのようなトークになるのか…?! 皆さまにいち早くお届けしたく、記事の冒頭部分を一部、フライング投稿します。
目の前の値動きに一喜一憂せず、感情を揺らされずに済む「持続性の高いトレード」を追求してきた黒田雄士(相場師クロ)さん。『外国為替』にも幾度となく寄稿いただいた彼が、FX界隈の有名トレーダーと対談します。
二人目のゲスト、FX界の重鎮YEN蔵さんとは、株取引やトレードへの考え方など、何かと相通じるものがあるようです。発展途上のトレーダーへ思うことや、日々情報発信に努める意義まで、相場と向き合う彼らの姿勢が改めて浮かび上がってきました。(文:佐野雄二)

YEN蔵(えんぞう)氏プロフィール
米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨を始めとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。「YEN蔵」の名で為替市場に対するコメントなどで多数のアクセスを集めている。

相場師クロ(黒田雄士)氏プロフィール
FX専門コンサルティング会社CEO|オーケーインテリジェンス合同会社。「相場は感情で動くが、勝つのは構造を読む者」が信条。SMA・水平線を軸にした短期デイトレ。焦らず、整え、安定して稼ぐ質実剛健のトレードスタイルが特徴。
株取引とFXは似ているようで違っている
黒田雄士(以下黒田) YEN蔵さんも、株取引をされているんですか?
YEN蔵 今のメインは株ですね。黒田さんは資金投入の割合をどうされていますか?
黒田 株に比重が寄っています。現物の株を持って、長いと1年以上持つと思います。
YEN蔵 私の場合は、決算から次の決算ぐらいの期間で保持していることが多いです。持ち越すこともありますが。決算やレポートを見て、格上げなどが出た銘柄を取って、それを調べて、良さげなのを持っている感じです。決算だと噴き上がることがあるじゃないですか。ここで調べて良さげだったら、次の決算を狙うようなイメージです。
黒田 あんまり動いていないうちに、とりあえず買っておくんです。上がっていても良いはずなのに放置されている銘柄をピックアップして、ちょっとずつ買っておく。
YEN蔵 最近みんなよく見ているからか、放置されている銘柄ってなくないですか?
黒田 プライム銘柄だとやっぱりないですね。そこそこ出来高があって「なんでこんなに低迷してるんだろう」という銘柄を虎視眈々と狙っています。
YEN蔵 株は、情報交換する人がいっぱいいるので、「みんなで調べる」といった意識がありますよね。
黒田 私も日々勉強させてもらっています。FXのように本当にテクニカルを黙々と研究していれば良いっていうのとはずいぶん違うなっていうのは、勉強し始めた1年ぐらいで分かってきました。
YEN蔵 株ってバリエーションがありますよね。その会社のデータが出ていて、IRで社長の話も聞けるし、調べる対象は多岐にわたります。割安な株にしても既にあるデータを調べて初めてそうだと分かるわけですが、株のほうが時間をかければチャンスは大きいんじゃないかな、と思っています。
黒田 ただ、株取引は資金力勝負な面があって、参入障壁が高いですよね。その点、FXは資金が少なくても参加できるから、ハードルが下がる。それで入る人も多いけど、独特の難しさがあるので、勝てる人が少ないのだと思います。
YEN蔵 FXでレバレッジを思い切ってかけられる人は良いけど、私の場合はチキンだからあまりレバレッジをかけられないです。「けっこう買ったな」と思っても最大で12倍ぐらいです。株の場合は、逆に3か月から半年ぐらいの、決算から決算ぐらいの期間なら資金効率がそんなに悪くないので、比較的勝負しやすいと思っています。
黒田 長期投資であれば、株のほうが相性が良いと私も思っています。逆にFXは長期投資よりも短期投資向きかな、と。為替相場では相場を動かす材料がコロコロ変わるじゃないですか。今(10月上旬)は高市新総裁になって円安株高の流れになっていますが、また違う材料でガツンと動くかもしれません。でもそれって「なってから」じゃないと分からないし、いつ何が材料になるのかも正確には分からない。そうなると、ファンダメンタルをいくら勉強してもFXでは使い物にならないことがある、というところが難しいと思います。
YEN蔵 FXではトレンドが意識されますが、トレンドは時間軸の取り方によって違ってきますよね。115円から161円までいくような大相場は滅多にないけど、5分足で見たらトレンドって毎日いっぱい出てるじゃないですか。動く値幅が30pipsでもトレンドですから。私がいつも言うのは、5分足で勝負するのか、15分足で勝負するのか、1時間足で勝負するのかを決めない優柔不断は良くない、ということです。5分足のトレンドを狙っているのに、5分足のトレンドが崩れて、1時間足ならどうだろう、とフラフラしてしまうのはダメですよね。だから、FXは時間軸を決めて勝負するのが良いと思います。
黒田 私の場合、時間軸で勝負する考え方がしっくり来なくて、時間足を役割分担させてみたんです。1時間足で目線を決めて、4時間足と日足で、目線の方向に対して仕掛けても良いかどうかを、空間があるかという観点から見つけて判断します。デイトレに十分な空間があるのならばOKと判断して。そして、5分足と15分足のMA(移動平均線)の当たり方の組み合わせで4つぐらいパターンを作って、どれかにハマったら、目線と一致しているときにトレードする。この規則性だけでトレードしていたらとりあえず負けはしないだろうってルールを作ったんです。
YEN蔵 デイトレードでも4時間足まで見るんですね。
黒田 4時間足で見ていても、MAを表示させていると、MA同士の間に30~40pipsしか空いていないとか、動きやすさが見えてくるんです。日足ぐらいまで見ておくと、その日1日で動きそうな幅が把握しやすくなります。YEN蔵さんはどうですか?
YEN蔵 私は15分足と1時間足でトレードしています。1週間の中で2日か3日ぐらい、1時間足でトレンドができることがあり、そこで1時間足を見てトレンドが出た方向に、15分足の押し目や戻りで入ります。もちろんトレンドが出ないときはパスします。
黒田さんは5通貨の動きを見ているんでしたよね。例えば東京時間だと、仲値を過ぎれば目立った指標がなく、ロンドン時間に入ってくるとポンドが指標で動く傾向があります。そういうときは勝負しますか?
黒田 指標は避けてますね。値動きがブレてしまうことが多いので。朝のうちに必ず経済指標はチェックしておきます。指標が過ぎて何もなければ、また良い形が出てきたときにエントリーを検討します。元々損切り幅が7~8pips程度なので、スプレッドに切られて損切りされるのは避けたいですね。
勝つために必要なルールの一貫性

編集部 黒田さんはいつも「一貫性」と言っていますが、あらためて「一貫性」とはどういうことか、教えていただけますでしょうか。
黒田 「ルールに一貫性がないと勝てない」という話をよくしています。あらかじめ作った型のとおりに淡々と作業すれば良いんだから、その仕組みをさっさと作るのが先決です。それで勝てなければルールの一部を週末に修正して、翌週また走らせれば良い。
また「トレードのときは何も考えるな」という趣旨のことも言います。そうでないと一貫性が保てません。成行注文で入ろうとすると、定めたルールでなくその場の判断で取引しちゃうわけで、一貫していないですよね。
私の所に来て勉強してくれている人には、成行でトレードするのを一回全部やめて指値で入るルールを作ってもらって、そのルールで決めたらそれで入ってもらうようにしています。一貫したルールにした結果、そんなに負けなくなったよね、となればそれがひな形になるので、それをブラッシュアップしてもらうようにしています。
YEN蔵 微調整するっておっしゃってますが、1週間ごとに調整するんですか?
黒田 だいたい2週間ぐらいですね。それぐらいの期間のパフォーマンスを見て、負け方に共通点があったとしたら、それをやらないようにルールを修正して、来週にもう1回やってみる。それであまりにエントリー回数が減るようなら、入れてはいけないルールだったと判断して、また差し戻して…と行ったり来たりしながら、ルールを修正していきます。だいたいそれを2週間の履歴で変えていって、あるとき安定したら、ルールを固定して2~3か月回してみる、という感じでした。
YEN蔵 誰しも成功するには自分の手法があると思うんですよね。それは何でも良いですが、早く自分のエッジのある方法を見つけないと生き残れません。だからまずは、自分の勝ちパターンを見つけることが大事だと私は言っています。
勝負する時間軸を決めるっていうのが一つの方法ですし、どのテクニカルをどう組み合わせるかもそうです。それが決まっていればストレスがないですよね。ルールどおりにしていれば24時間ずっとチャートを見ている必要もないですし。為替相場は24時間動いているので、できたら私はトレードを自動化してしまいたいと思っています。為替を全部自動化して、株に専念できたら良いな、と。
黒田 ルールを1から作ろうとすると、絶対に1からの試行錯誤になってすごく時間もかかります。だから、ある程度実績のある人のひな形を真似して、その中で自分の生活スタイルに合った形にアレンジしていけるようなブラッシュアップができると一番手っ取り早いでしょうね。
YEN蔵 それはありますよね。結局は誰かのやり方を自分流に落とし込むのが、何事も効率的だと思います。だいたい失敗するのは、自己流を発揮してルールを破っちゃったりとか、ポジションを持ちすぎちゃったりとか、たまたま運悪く大きなニュースが出たとか、いろいろあると思うんです。ただ、勝つのは難しくても負けないことはできると思うんですよね。
私の大好きな言葉に、元プロ野球監督の野村克也さんの「勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議の負けなし」というものがあります。損切りを置くなどして大負けしなければ「不思議の負け」は防げるわけで、そこさえ守って、あとは自分のやり方をいろいろ試行錯誤して良いんじゃないかと思います。
黒田 最初は大崩れしないのがルール構築の第一歩だと思うんです。大きく負けてないなら、あとはそれをベースに磨きをかければいつかトントンからプラスに変わりますし、粘れるようになれば技量も上がっていきます。いきなり喧嘩を売りにいって退場してしまうと、また1からやり直しになって、辛いですよね。
※先出し記事はここまでです。お二人の対談の続き、全文は2025年12月22日発売(予定)のFX雑誌『外国為替』vol.17の誌面でご覧ください!
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