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特別インタビュー◉波のゆくさきΣArmada「SNSの世論から大衆心理を掴み逆張り勢が狩り取られるタイミングに便乗する!」

特別インタビュー◉波のゆくさきΣArmada「SNSの世論から大衆心理を掴み逆張り勢が狩り取られるタイミングに便乗する!」

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ハイレバレッジの逆張りポジションが狩られるところが狙い目だと語るアルマダさんは、自身のトレードを「性格の悪いトレード」と評します。

しかし同時に、FX初心者に向けて「狩られないトレード」を推奨し、その基本的な考え方についても教えていただきました。

以前は狩られやすいポジション探しにFX会社の板情報(オーダー状況)を利用していたとのことですが、今ではもっぱらSNSに情報を求めているそうです。

アルマダさんが狙う、狩られやすいポジションとは? そして、狩られないようにするトレードとは?

聞き手/本文◉田中タスク

IG証券

逆張りを狩る相場を狙う「性格の悪いトレード」

─最初に、アルマダさんの基本的なトレードの考え方について教えていただけますか?

アルマダ レバレッジの高い投機的な逆張りポジションが溜まっている状況で、そのポジションが狩られるような動きが起きることがありますよね。僕はそういったポジションが狩られる動きを狙うのが得意なので、いわば「性格の悪いトレード」です(笑)。

─つまり、狙い目は逆張りで入ったもののトレンドが転換せず、含み損に耐えているようなポジションということですね。

アルマダ そうです。こうしたポジションは得てしてレバレッジが高いので、相場の逆行が進むとロスカットになるか、大きな損切りを余儀なくされます。すると損切り注文を燃料にして相場はさらにトレンドを加速させるので、その動きを狙うわけです。

─やはり、含み損に長く耐えているポジションが多いほうが、狙える可能性は高いですか?

アルマダ 逆に、成立してから時間が経っていないポジションのほうがさっさと損切りすることが多いので、新鮮なポジションが多いと損切りの動きが起きやすいと見ています。もちろん、長期間含み損に耐えているポジションであっても相場が大きく逆行すれば大きな損切りになる可能性があるわけで、それも狙う価値があります。

─そういったポジションの存在を知るには、オーダーやポジション状況に関する情報を活用されるのですか?

アルマダ 以前はOANDAのオーダーブックを使っていました。他のFX会社にも同様のオーダー情報があると思うので、それを使うとそれぞれのFX会社のオーダーやポジションの状況を把握できます。しかし今ではそれよりもSNSを重視しています。

─なぜFX会社のオーダー情報を使わなくなったのですか?

アルマダ OANDAのオーダーブック然り、他のFX会社も然り、それらは特定のFX会社のオーダーやポジションの状況であり、マーケット全体を示しているわけではありません。それだけだとダマシにつながりやすいと感じたので、今では情報源をX(旧Twitter)などのSNSに求めています。

─今から同様のトレードをする場合は、何から始めるのがいいと思いますか?

アルマダ これから同様のトレードをするのであれば、まずはFX会社が配信しているオーダー情報から入るのがいいと思います。情報の範囲は限られますが、全体像を掴むには今もなお有用です。僕はオーダー情報を卒業しましたが、これから同様のトレードに入学する人は、まずオーダー情報から全体像を掴むことから始めるのがおすすめです。

SNSの「世論」がトレードのヒント

─オーダー情報に代わってSNSを利用されているとのことですが、主にどんな情報に注目されるのですか?

アルマダ 相場が節目に近づいたら、「ここで相場は反転する」ということで逆張りをする投資家が増え、そのトレード情報がSNSに溢れてくるようになります。特に有名な投資家が一斉に逆張りをすると「世論」がさらに説得力を帯びてくるので、個人投資家の逆張り勢もそこに乗っかって入ってくるようになります。僕は、ここがチャンスと見ています。

─相場は「世論」の通りにはならない、と。

アルマダ 世論といってもそれは「逆張り勢の世論」であって、それがマーケットのセンチメントと同じとは限りません。FXのインフルエンサーのような人たちがこぞって逆張りを唱えるようになると、さらに狩られる可能性は高くなってきます。

─インフルエンサーが大きなロットのトレードを報告しているからといって、それが本当とは限りませんよね。単に目立つことが目的のようにも思えます。

アルマダ そうなんです。ロットが大きいと目立ちますからね。そんな人が大きなロットで逆張り宣言をすると、逆張りの世論もさらに過熱します。そもそも、ああいう人たちの言う通りのロット数で本当にトレードを年中やっていたら億単位になるはずなので、本当なの? と思いますね。僕が入るときはせいぜい5ロット程度です。

─そもそもインフルエンサーは目立つことが目的なので、大きな勝負をしていることでロスカットになったとしても、ある意味目的は果たしているように思います。

アルマダ しかし、インフルエンサーのトレードに乗っかってポジションを狩られてしまった投資家は、そうはいきませんよね。なので、個人投資家の皆さんは、目立つ人の情報に乗っかって狩られてしまう側には回ってほしくありませんね。

ファンダメンタルズを無視すれば狩られる

─アルマダさん自身は、トレードで何を重視されているのですか?

アルマダ 特定の宗教はなく、皆が見ているものが何かを意識しながら情報収集しています。例えばファンダメンタルズでは、要人発言など。これってすごく大きなことなのに、無視している人が多いように感じます。「このレートまで来たら絶対に逆張り」と言ってしまっている人も散見しますが、こういう人は明らかにファンダメンタルズを無視しています。

─「このレート」と言っている時点で、チャートしか見ていないということですもんね。

アルマダ テクニカルしか見ていない人や逆張りしかできない人は、どこかでファンダメンタルズに狩られることになります。

─特定の宗教がないということは、ファンダメンタルズもテクニカルも、さらにはSNSの情報なども分け隔てなく分析するスタンスですね。

アルマダ そうです。もし皆がサイコロを見ているのであれば、僕もサイコロで相場分析をします(笑)。皆が何を見ているかが大事で、その認知と逆張り勢の認知、この両者に誤差があることで、そこに狩られる余地が生まれます。

 でも面白いことに、これって常に成立することではないんです。例えば、為替介入。テクニカルしか見ない人であっても、介入には敏感ですよね。ここには乖離、誤差がありません。そういうワンパターンではない投資行動も考慮しつつ、フラットな目線で情報を分析しています。

投資家心理と「世論」、論調が極端なほど狙い目

─先ほど節目に近づいた際の世論に言及されました。このことについて、詳しく解説いただいてもいいですか?

アルマダ 昨年、ドル円で為替介入があったのは150円到達時です。このときはヘッドラインで「もっと円安が進んで160円を目指す」という論調が多く見られました。SNSも同じで、「次は160円」という意見がとても多かったです。しかし、僕はこういう論調が多くなると逆に「150円から動かない宣言」をしていました。150円を超えて初めて語られる「160円説」は論拠に乏しいものが多く、事実相場は150円に戻る動きを見せました。

 以前、ドル円が110円にへばりついていたときと同じです。110円を割り込むと「100円になる!」という論調が多くなって。こういうときは普段逆張り勢だった人たちがこの論調に乗っかって順張り勢になることがあります。普段は20pipsなどの値幅を狙っている人たちが、次の節目を意識することで大きな値動きの話をし始めるんです。そうなったときも狙い目で、僕はその逆をいきます。

─確かに、ドル円が160円を超えたときは「170円説」が見られました。しかし実際には160円を割り込んで150円台後半です(2024年7月18日時点)。

アルマダ 昨年、ドル円は150円にタッチしてからしばらく150円前後で推移していました。これと同様の動きが、130円のときもありました。大きなトレンドの後に、しばらくグズグズするような展開はしばしばあります。こうした節目を超えて「もっと行く」という論調が多くなってくると、普段の逆張り勢が順張りでエントリー、そしてダマシにあって狩られてしまいます。

─こうした動きを、アルマダさんは投資家心理を基に分析されているんですよね。

アルマダ 大きなトレンドの後にグズグズすると、多くの投資家が「もう動かないだろう」と判断してポジションが減ります。ポジションが減ると動きやすくなるため、多くの投資家がポジションを取りたくなる心理が働きます。

 ここで皆が「上だ!」「下だ!」とやり始めると、面白くなります。どちらかに「世論」が形成されてくると、狩られるフラグが立ちやすくなり、狙い目となるわけです。最近はドル円について「〇十年ぶりの円安」と報道されることが多いですが、こうやって円安に注目を集めてくれるのは、僕にとってありがたいことです。

【図1】節目の価格に到達時、「世論」に着目しチャンスを見つける

大きなグローバルマクロ、ドル円はその一部である

─今後のドル円相場について、アルマダさんの見解を教えてください。

アルマダ 目下、意識されているのは米国のインフレです。景気サイクルが上下する中で、米国の景気が本来よりも高いサイクルになってしまっていて、インフレとの戦いも継続中です。米国のインフレはしぶとく、CPI(消費者物価指数)がもう一発高くなれば、ドル円も大きく上昇するでしょう。

 ドル円は数円単位で上がるかもしれませんが、チャートだけを見て逆張りをしてしまうと、高い確率でやられます。

 日銀が積極的な利上げスタンスを示していない上に、米国ではしぶといインフレ。この状況で中途半端な逆張り売りをすると、狩られる可能性大です。

 米国の利下げが鮮明になり、日本が積極的な利上げスタンスになれば、ドル円は下落トレンドになるので、そのときの売りの順張りが狙いやすいのではないでしょうか。

─そうなると、当面は材料不足ですか。

アルマダ 材料不足でも、何かニュースは配信しなきゃいけない。そこで、昔のチャートを持ってきたどうでもいいニュースが多くなります。こうしたニュースを材料にトレードしてしまうと中途半端な逆張りをしがちで、それも狩られる標的になってしまうわけです。

 本当に相場が忙しいときは材料がバンバン流れてくるので、それを基にトレードをすればいいんですが、待てない人ほど安易なテクニカル分析やどうでもいいニュース情報を基にトレードをしてしまう。僕にとってはそれが狙い目となるわけですが、逆の視点でこういうトレードが狙われることを意識してもらえれば、と思います。

─アルマダさんは、ドル円専門です。ドル円の特性や知っておくべきことはありますか?

アルマダ モノの値段みたいに需給だけでは決まらないのがドル円で、実需と投機、さらには債券や株式の市場とも密接に関わりがあります。大きなグローバルマクロの一部なんです。僕がドル円しかやらないのに他のあらゆる市場の動向をチェックしているのは、グローバルマクロの一部であることを認識しているからです。

 自分で作ったヒートマップを基に他の市場動向をチェックして、ドル円への影響を常に分析しています。

 例えば、米国の指数3兄弟とドル円が下がっていれば、何かあったはずです。そんなときは、株式市場の下げが止まるまでドル円は下げ止まりません。その関係性を無視して安易に逆張りをしてしまうと、狩られる原因になります。このカラクリを一つ知っているだけでも、無謀な逆張りはしなくて済むのではないでしょうか。

─自動売買について、アルマダさんの考えをお聞かせください。

アルマダ 人間がやるべきことは人間が、そうでなくても良いものは自動化しています。今回お話をしたようなトレードは裁量でしかできません。その一方で、バックテストをして統計的に有利なものは自動化していくべきです。裁量トレードは心理学、自動売買は統計学です。僕はこれについても特定の宗教を持たず、二刀流です。

【図2】アルマダさんがドル円を分析するときの考え方

●そのニュースがどうでもいいものか、大切なものかを判断
●あらゆる市場をチェックしてドル円をトレードする
●ヒートマップを利用して市場動向を判断する
●無駄な逆張りをできるだけなくす

手法だけでは勝てない。質の高い情報収集を

─読者の皆さんに向けて、勝つためのアドバイスをお願いします。

アルマダ 情報収集において、その本質を意識することが大切です。ボリンジャーバンドやRSIなど有名なテクニカルインジケーターを考案したのは優秀な人たちですが、それぞれの考案者がそれで一大財産を築いたかというと、分かりませんよね。それぞれの手法は優れていてもそれだけで勝てるわけではないからです。

 本当に勝つトレードをしていて資産を築いているのは、ヘッジファンドだけです。彼らはグローバルマクロ分析と自動売買の役割をしっかりと棲み分けて、強みを生かしながら資産を増やしています。基本的には僕と同じ考え方です。

─そのためには情報の取捨選択が重要になりそうですね。

アルマダ SNSにはたくさんのインフルエンサーがいますが、その発信内容が果たして本当なのかは分かりません。それを鵜呑みにするとやられる可能性大です。その意味で信用できるのは、自身が確たる身分でトレードをしている為替ディーラーでしょう。

 トレイダーズ証券の井口喜雄さんは、その代表格です。今ある材料を井口さんほど合理的に発信している人はいないと思うので、大いに参考になると思います。

 この情報一つにしても、ウォッチしている人とそうでない人とでは情報の格差があります。こうしたことを意識して、質の高い情報をしっかりと収集することを心がけてほしいです。

─最後に、読者の皆さんへアルマダさんからのメッセージをお願いします。

アルマダ 最初にお話をしたように、僕のトレードは「性格の悪いトレード」だと思っていますが、それはFXの真実でもあります。上がると思って買ったら下がる、下がると思って売ったら上がると感じることは多いかもしれませんが、そこには今回お話をしたようなカラクリがあります。それを知っていただいた上で、狩られる側ではなく狩る側に回っていきましょう。

インタビュー日◎2024年7月18日

Editor’s Note

①逆張りポジションが狩られる相場が狙い目
②一社のオーダー情報だけではダマシにつながりやすいので、情報源をSNSに求める
③インフルエンサーが唱える「逆張り世論」をチャンスと見ている
④皆が見ているものが何かを意識しながら情報収集している
⑤「世論」の論調が極端なほど狙い目になる
⑥待てない人ほど安易なテクニカル分析やどうでもいいニュースに釣られる
⑦裁量トレードは心理学、自動売買は統計学
⑧質の高い情報をしっかりと収集することを心がけてほしい

ABOUT ME
波のゆくさきΣArmada
専業投資家歴7年目、相場歴8年(バイナリーオプション5年、FX3年)。グローバルマクロ分析、統計学、データ分析、システムトレード設計を行う。裁量トレードと自動売買をどちらも行うが、資金配分が多いのは前者、人に教えやすく多くの人が結果を出しやすいのは後者と語る。
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