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Trader Kaibe氏インタビュー「トップランナーが語るExpert Advisorの勝ち方・始め方」

Trader Kaibe氏 FXインタビュー「トップランナーが語るEA(Expert Advisor)の勝ち方・始め方」

当サイト限定マネーパートナーズタイアップ

EA(Expert Advisor)開発者で最も有名な人物の一人、Trader Kaibeさんはロビンスカップ(FX大会)準優勝の実力者。

そんなEA界の第一人者に、EAの魅力や運用のポイントを教えていただきました。

EA運用のスタイルは千差万別なれども、初心者にとってはKaibeさんのスタイルがお勧めです。

聞き手・本文◉編集部

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強制ロスカットなどで退場を余儀なくされる

―KaibeさんといえばEA(Expert Advisor)のスペシャリストですが、まずはどんな投資の経験を辿ってきたか教えてください。

 FXを始めたのは2006年末からでした。そのころはスワップトレードが全盛で、高金利通貨買いで保有してスワップポイントを受け取る戦略が主流でしたね。豪ドルやNZドルの金利が6~8%という時代でしたから。

 ドル円は120円以上の水準で、世の中的には123円、124円とどんどん上がっていくという論調でした。その影響を受けて、相場はどんどん上昇していくんだと楽観視していたんです。ところが、2007年夏のサブプライム・ショックで、強制ロスカットに追い込まれました。資金300万円とコツコツと積み上げた利益のほとんどを、あっという間に失うこととなったんです。

―サブプライムショックで手痛い失敗を経験しているんですね。そこからどう復活していくのでしょうか?

 いったんFXから距離を置くんですが、それでも再起のためにお金を貯めながら、情報収集と勉強を続けました。転機は、2008年にあるシステムトレードを知ったことです。初期資金25万円でFXを再スタートして、9か月後には1600万円にまで増やすことができました。

―シストレと出会って、再起したんですね。

 ただ、そのシステムトレードは、1年後にはボラティリティが低下してしまって、利益が出なくなりました。それから別の手法を探すことになって、MT4のEAに出会います。独学で勉強を始めて半年後には、EAのプログラムを組めるようになりました。

 それからEAで稼げるようになったんですが、そこに立ちはだかったのがFX会社による注文拒否や約定拒否でした。結局、EAを使い続けることが難しくなって、裁量トレードへ転向するものの結果が出なくて。そのため2015年ごろに、FXから撤退しました。

FXから撤退するも華麗に復活を遂げる

―稼げるようになったのに、FXから撤退せざるを得なかったと。

 そうですね。その後は日経平均先物に移行して、シストレをしていました。2015年、2016年には、年利150%の成績が出せたんですが、2017年からボラティリティが低下してしまい、こちらも勝てなくなりました。また撤退を余儀なくされてしまったのです。

―FXもダメ、先物もダメで、八方塞がりですね。どうしたんですか?

 結局は、またFXに戻りました。いろいろなトレードを経験する中で、FXで試したい手法のアイデアも生まれていたんです。そして、2017年9月にそのトレード手法のEA化に成功しました。それこそが、ロビンスカップで準優勝したEAです。

―ロビンスカップは、どんな戦いだったんですか?

 裁量トレーダーが多く参加する中、私はその自作EAで挑戦しました。結果としては、利益率45.18%の成績で準優勝となりました。大会のスタートから比較的好調をキープして、最後の週までトップを走っていました。言い換えると、最後の週に逆転されたんです。

 ちなみに、私は最後の週にEAの稼働を止めていて、成績が伸びることはありませんでした。その間に、優勝した方が追い抜いていったんですね。

―非常に悔しい展開でしたね。

 最後にEAを止める決断は私が下したので、これも自分の実力だと思っています。ただ、当時は一般的に「EAは稼げない」といわれていました。そんな世の中の雰囲気を変えられたことに、意義があったと思います。

EA運用のメリットと選び方のコツは?

―Kaibeさんがお考えになる、EAのメリットは何でしょうか?

 トレードの訓練をしていない人間は、利確は早く、損切りは遅くなってしまう傾向があります。結果的に大きな損失を被ってしまうようになっているんです。これは人間の本質的な心理がそうなっているからです。

 ところが、EAだとそれを克服できます。有名な『投資苑』という本では、投資で勝つための条件として三つの「M」があると説いています。メソッド、マインド、マネーマネジメントのMなんですが、EAならこれらを揃えることができます。

 メソッドについては、EAのロジックですね。マインドについては、トレードが自動的に行われるため、人間の不安定なメンタルは関係なくなります。マネーマネジメントについては、EAはテストによって最大ドローダウンや利益をシミュレートできますから、ロットのコントロールをしやすくなります。

―EAを運用するにあたって、初心者が気になるのは、どんなEAを選べば良いかです。アドバイスをお願いします。

 まず「EAのロジックに優位性があるか」ですね。ロジックがある程度分かり、それが優位性ありと判断できるものがお勧めです。逆に言えば、ロジックが分からないものは不安要素にしかならないですね。

 次に、「自分の好みに合っているか」です。どんなに優秀なEAでも、自分の考え方や相性と合わなければ、長期的に運用するのは難しいです。それと「パフォーマンス内容」です。バックテストやフォワードテストをチェックし、特に後者では過剰最適化かどうかを確認したいところです。

EA運用の王道はステップを踏むこと

―では、そうした観点でEAを選んだとして、実際にEAを運用する上での注意点はありますか?

 EA運用の王道パターンは、デモトレードで試してから小ロットでの実運用に移行し、それからロットを上げて行くステップを踏むことです。さらに、運用方法を定期的に見直していくことも大切です。運用の見直しについては、EAのタイプによって異なります。スキャルピングEAは2~3か月、デイトレードEAは4~6か月、スイングトレードEAは半年~1年ほど運用し、評価に値するデータを集めてからパラメーターなどの見直しやEAの入れ替えを考えます。

―EAは動かしっぱなしではなく、定期的な見直しが大切なんですね。

 そうですね。EA運用で特に注意したいのは、最初の1~2週間で思うような成績が出なかった場合です。せっかちな人だとロットを変えたり、EAを停止したりしてしまうことがありますが、これは判断が早すぎます。資産が減り続ける期間として、半年くらいは覚悟しなければなりません(バックテストの内容によりますが)。私はスキャルEAなら3か月連続でマイナスになった場合に、見直す必要があると考えます。

―EA運用者は、ポートフォリオを組んでいる人が多いようです。ポートフォリオを組むコツは何でしょうか?

 EA同士に相関性がないもの、同じようなタイミングでトレードしないものを組み合わせたいところです。そのためには、押し目買いやブレイクアウトといったストラテジーを分散すること、異なる通貨ペアを選ぶこと、異なる時間軸を選ぶことが大切です。EAを増やしすぎると、かえってパフォーマンスが悪くなることもあるので注意してください。

―EA初心者からアドバイスを求められることもあると思います。どんなことを伝えていますか?

 ナンピンマーチンのロジックを選ばないことですね。〝いつかは破綻する〟性質を兼ね備えているので、初心者が扱うには難しく、高確率で破綻する最悪のロジックだといえます。ナンピンマーチンにも関連するんですが、初心者は高勝率という宣伝文句に惑わされがちです。

 勝率が高くても、損大利小になる設計だと、安定して稼ぐことは難しいです。勝率ではなく、平均利益と平均損失のバランスを確認して、どんな勝ち方、負け方をするのか知る必要があります。EAが優秀かどうかを簡易的に判断する方法があって、「勝率×平均利益」と「敗率×平均損失」を比較してください。前者が後者を大きく上回っていれば、優秀だといえます。

―FX会社選びについては、いかがでしょうか?

 FX会社のトレード環境も重要ですね。スリッページ、サーバー、レイテンシーなど、さまざまな要素を含めて、総合的に評価する必要があります。見た目上のスプレッドが狭くても、全ての取引がその数値で約定するわけではありませんから、実際の約定力を加味したスプレッドを重視する必要があります。

EAは動かし続けるか、適時止めるべきか?

―EA運用者の中でしばしば議論になるのが、「EAは動かし続けるか、適時止めるべきか」という内容です。Kaibeさんはどうお考えですか?

 ロジックにもよります。荒れ相場に弱いEAなどは適時止める方が良いと考えます。EAを止めるのには、二つのメリットがあります。一つは、ドローダウンを減らせる可能性があるということです。トレンドフォロー型のロジックの場合、相場が反転したり、大荒れしたりしたときに弱いです。そのような相場になる可能性が高いときは、EAの稼働を停止することで、大きな負けを減らすことができます。

 もう一つは、EAの動作確認が習慣づけられるということです。私はかつてEAが動いていないことに気づかず大損をしたことがあります。それを防ぐ意味もあります。EAは、完全放置するのではなく、ある程度目にかけて世話をする(適時オンオフする、動作確認する)ことで、パフォーマンスが向上するものだと考えています。

―EAを止めるタイミングは、どのように判断すれば良いのでしょうか?

 VIX指数を確認します。恐怖指数とも呼ばれるこの数値が20以上になっている場合は、相場が荒れる可能性が高いといわれているので、EAを止めて良いでしょう。また、重要な経済指標発表や、要人発言を避けるというのも考えられます。それらのスケジュールは、Yahoo!ファイナンスで確認できます。星五つのイベントは相場に与える影響が大きいので、EA稼働を控える必要があると思います。

―EA運用のいろはについて、いろいろと教えていただきありがとうございました。それでは最後に、読者にメッセージをお願いします。

 FXでお金を稼ぐのは、基本的に泥臭いものです。優位性のあるトレードを、淡々と積み上げていくだけ。一回ごとの勝ち負けに一喜一憂したり、短期的なドローダウンにメンタルを揺さぶられたりすることなく、試行回数を増やすことで、収益曲線が期待値へと収束していきます。SNSでよく見かける爆益などに憧れる必要はありません。自分のロジックの勝ち方・負け方を知って、適度に勝って、適度に負けるのが、相場で長生きするコツだと思います。

インタビュー日◉2022年7月31日

【コラム】FX初心者にナンピンマーチンは危険

 ナンピンマーチンとは、ナンピン(相場逆行時に買い下がっていくこと)と、マーチンゲール(負けたら次の賭け額を倍々にしていく賭け方)を組み合わせた戦略です。資金の続く限りこの戦略は負けませんが、裏を返せば負けるときには資金が尽きるということ。このナンピンマーチンのEAはほとんど負けないため、きれいな右肩上がりの損益グラフを描きます。

 初心者からすれば、高勝率でお金が増えていく素晴らしい成績のように見えますが、実際には破綻が運命づけられているともいえます。その破綻リスクを受け入れつつ、破綻前に逃げ切るような戦略を採るという考え方もありますが、それは初心者には実践することが難しく玄人向けだといえます。

ABOUT ME
Trader Kaibe
EAの優秀さを証明したいとFX大会ロビンスカップ(2017年)に出場し、EAのみで準優勝。その後、EA界を牽引するトッププレイヤーとして精力的に情報発信を行う。某大手企業から独立し、現在はフィンテック業界で起業。 【書籍】IQ162のMENSA会員が教える FX自動売買の基礎と実践(パンローリング)
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