前週のドル円は、160円台を回復して終わりました。7月末に日米が足並みを揃えて実施した協調介入後初めての160円台です。
15兆3993億円
財務省が2026年8月28日(金)に公表した、7月30日から8月26日までの為替介入の総額です。月次ベースでは過去最大じゃないかと思われます。これだけの資金を投じて円を買い戻したにもかかわらず、長いもみ合いが続いていましたが、ジャクソンホールシンポジウムでの発言で、円は再び160円の壁を越えてしまいました。
月曜から水曜…相場は「待ち」の姿勢
前週の序盤は、動くに動けない地合いでした。週明け8月24日(月)ベッセント米財務長官が対イランの包括制裁を発表。デジタル資産・金・航空・技術・海運の各分野で60を超える団体や個人、船舶が制裁対象となる、かなり踏み込んだ内容でした。ところが原油はさほど上がらず、むしろ前日比マイナス2.24%の85.11ドルまで下落しています。制裁が出たのに供給不安が後退するという、一見すると逆の反応でした。
最重要指標のPCEが示した「まだ下がりきらない物価」
FRBが物価の判断で最も重視するといわれる数字が米個人消費支出物価指数(PCE)です。CPI(消費者物価指数)が「物価状況」だとすれば、PCEは「家計が実際に何にいくら払ったか」に近い、より実態に寄せた物差しです。
8月26日(水)の結果は次のとおりでした。
♦総合(前年比)3.7%
市場予想3.6%を上回る
前月から横ばい
♦コア(前年比)3.3%
市場予想どおり
前月から横ばい
ポイントは「予想を大きく超えた」ことではなく、下がらなかったことです。2%の目標から1.3ポイントも上に張り付いたまま、2か月連続で動きませんでした。発表後の反応は素直で、ドルが買われ、米国債利回りは上昇。市場は「利上げの可能性を引き上げた」という感じでした。
この日はエヌビディアの決算もありました。売上高962億ドルで前年同期比106%増、1株当たりの利益が2.22ドル。ずれも市場予想を上回り、さらにアマゾン・ウェブ・サービスが同社のGPU200万基を購入する計画まで公表されました。
物価の重さを、AI投資の強さが打ち消したともいえます。米国市場ではナスダックなどAI関連が全面高となりましたが、NYダウは+0.20%にとどまり、上昇の裾野は決して広くありませんでした。
ジャクソンホールシンポジウム
週末の8月28日(金)、この日は二段構えでした。まず財務省が為替介入額を公表します。2026年7月30日(木)〜2026年8月26日(水)までに15兆3993億円。7月下旬に164円台に迫っていた円安を止めるために、当局がどれだけの覚悟で市場に手を入れたかが、初めて数字で見えた瞬間でした。2026年7月30日(木)の1日だけで6兆から7兆円規模とみられ、日米が協調して動いたのは2011年以来、15年ぶりのことです。
そして23時頃、ジャクソンホール会議。ケビン・ウォーシュFRB議長にとって、就任後初めての講演です。
議長は「インフレはまだ高すぎる」と発言。今年の夏の物価指標は予想より良かったが、それは基調的なトレンドが意味のある改善を示したことにはならない、基調的なインフレが目標に向かっていると、明確に、そして十分な速さで、確信できなければならない、と続けました。
具体的な利上げ時期は語らず、フォワードガイダンスもあえて示しませんでした。むしろ「もっと静かな中央銀行であるべきだ」「投資家は次の取引の手がかりを、まずFRBに求めるべきではない」と述べています。
しかし市場は、ドル全面高となり、ドル円は159.91円を突破して160.04円まで上昇する展開に。7月末の協調介入以降、初の160円台です。米2年債利回りも上昇。9月のFOMCに対する利上げの織り込みは、講演前の「据え置き7割」から一気に切り上がりました。要するに利上げ側に傾いたということです。
株式市場は意外にも静かで、NYダウもS&P500もナスダックもややマイナスで終わりました。それでもNYダウは3週ぶりの上昇週となっています。

前週の通貨強弱は、週半ばまでハッキリと「ドル売り」に傾いていました。1週間の強弱では米ドルが最弱、豪ドルが最強です。豪州の物価指標が予想を上回り、変動の大きい品目を除いた平均が3.6%となったことで、豪州準備銀行の追加利上げ観測が再燃したためです。ところが金曜のドル全面高で、この構図は一気に巻き戻されました。
金は4,647ドル程と高値圏を維持しており、ドル高とは真逆です。来週からは9月相場が始まりますが、まだまだ流れが見えにくい状況です。8月も残すところ週明け月曜日のみとなり、9月1週目になります。8月31日(月)からの注目すべき材料・指標は次のとおりです。
■8月31日(月)
英休場
■9月1日(火)
18:00~ユーロ消費者物価指数HICP
23:00~米ISM製造業景況指数・JOLTS求人件数
■9月2日(水)
11:00~RBNZニュージーランド中銀政策金利&声明発表
21:15~米ADP雇用者数
22:45~BOCカナダ中銀政策金利&声明発表
■9月3日(木)
21:30~米貿易収支・新規失業保険申請件数
23:00~米ISM非製造業景況指数
■9月4日(金)
21:30~米雇用統計
※9月アノマリー記事もご覧ください。



















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