楽して儲けたい。それは全ての投資家の望みといっても過言ではありません。ですが、本当に何もせずに儲けは出ないもの。そこで「不労所得」ならぬ「微労所得」という考え方を提唱されるOnyさんに、そのノウハウをご教示いただきます。
※FX雑誌『外国為替』vol.17(2025年12月22日発売)より転載 最新号の目次・お知らせはこちら

Ony(おにー)氏プロフィール
日系大手IT企業から外資系大手IT企業で働きつつ、FX・米国株を中心に活動するトレーダー。X(旧Twitter)では不定期にスペースを開くほか、「#おにーさんの微労所得」にて日々の実績を配信。ブログ「Onyさんといっしょ」では、トレード戦略別の情報も整理・発信している。
ユロっとおにーv5 コツコツドカンで長期戦
皆さん、こんにちは。今回も微労所得実践道場に目を留めていただき、ありがとうございます。おかげさまで、連載は今回で5回目を迎えました。本連載のメインテーマとなっている「ユロっとおにー」は、EURJPYを対象にしたトレードストラテジーで、稀に大きな損失を許容しつつ、日々利益を積み重ねていくスタイルです。いわゆる「コツコツドカン」型ではありますが、綿密で多角的なバックテストを根拠として、投機を超えた資産運用を目指しています。前回までに基本的な考え方と特徴について触れてきましたが、今回は最新バージョンであるv5を設計する過程で得られた知見についてお話しさせていただきます。
バックテストの評価を生成AIで補助
ユロっとおにーは前述したように「コツコツドカン」型ではありますが、圧倒的な勝率の高さでリスクリワード比の悪さを補うことで、安定的に資金を増やすことを期待しています。以前のバージョンでは2025年初のトランプ相場で大きな損失を被ってしまいましたが、設定の改善を重ねてv5へと姿を変えたことで、期待どおりの安定感を以て推移しています。v5でのフォワード実績は5か月を超え、7割以上のユーザーさんが利益を出せており、中には資金の20〜30%の利益を達成した方もいらっしゃいます。こうした声が、私のモチベーションになっています。
v5で特に注目すべきは、過去22年間のバックテスト結果です。スプレッド20ポイントでの負荷テストにおいても、十分な最終利益額を達成しています。1年あたりの平均利益率も約30%をマークし、レバレッジ25倍環境での運用としては非常に高いパフォーマンスが期待できるテスト結果であると考えています。(この数字はあくまでも過去データによるテスト結果であり、実際の運用において同様のパフォーマンスを保証するものではありません)
ただし、ここでご注意いただきたいことがあります。それは、始まりと終わりだけ見て満足するのではなく、推移全体を分析することが大事ということです。最近は生成AIの発達が著しいため、私はバックテスト結果を作成した後、それを生成AIに評価させるプロセスを経ることで、より客観的に評価できるよう工夫しています。
生成AIに評価させてみると、例えば利益率の高さなどを根拠にストラテジーの優位性を評価し支持しつつも、リスク管理の必要性を指摘してくれました。これはストラテジーを作るうえでとても凄いことなのです。
実際に指摘してくれたことの一つは、ドローダウン%が実運用に耐えうる値かどうかという観点でした。ドローダウン%は数字と体感がかけ離れてしまう典型的な評価指標の一つです。
ストラテジー改善の過程で何度もテストを行っていると、改善の度合いにだけ目が向いてしまい、絶対値への評価が甘くなってしまうことがあります。生成AIを活用することで、オーバーフィッティングを避けつつも妥協を許さない、バランスの取れた改善を進めることができたと感じています。
ドローダウンの現実、恐れをどう乗り越えるか
どれだけバックテストによる根拠を固めても、実運用において同様のパフォーマンスが期待できる保証はありません。実運用でのパフォーマンスを再現するカギとなるのは、「いかにして上手く負けるか。また、負けを覚悟しておけるか」という点です。コツコツドカン型の本質は、稀に遭遇する大損失をどう乗り越えるかにあります。
皆さんも経験があるかもしれませんが、ドローダウンを耐え抜けば回復の見込みが高いとわかっていても、実際に遭遇してしまうと想像以上に怖くなってしまい、ルール外の行動をとってしまったり、運用自体を中断してしまったりすることがあります。
どれだけ良いストラテジーであっても、ルールどおりに継続できず、ドローダウン中に中断してしまえば、「負けて終わってしまう」のです。
いわゆる気持ちの問題なので、直接的な解決策は精神論でしかなくなってしまうのですが、個人的には他の有効なアプローチが存在すると考えています。それは、「バックテストをさまざまな視点から見て、今後の見通しの解像度を上げること」です。
実際に私が行ってみた分析を挙げます(下カコミ参照)。こういった多角的な分析を行って自分の中でシミュレーションを積み重ね、今後の運用における見通しを立てやすくすることで、心理的な恐怖を軽減できるのです。
「コツコツドカン」のストレスを乗り越えるには
【1】
バックテストにおけるドローダウンの回数・ドローダウンの深さ・ドローダウン発生から回復までの期間の関係性を整理してグラフ化し、傾向を読み解く
【2】
1年や2年といった現実的な評価サイクルを設定してテストのサンプル数を確保し、ドローダウンの発生パターンを調べる
【3】
同じ曜日や同じ日付など、実際に周期性のある要素に分解してテストを行ったうえで、各ドローダウンを評価する
ここではユロっとおにーを例として取り上げていますが、この考え方はさまざまなトレード対象に有効な考え方だと信じています。株・コモディティ・FX、どういった対象でも通用するでしょう。ただし過去データのサンプル数が必要となるため、歴史の長いトレード対象であることが前提条件とはなります。
いかがでしょうか。今やさまざまなツールが劇的な進化を遂げており、データを拠り所としたアプローチを比較的簡単に行っていける時代となりました。トレードを行う私たちは人間ですので自分自身の感情としっかり向き合う必要がありますが、一見相いれないように見える「感情とデータ」を上手に用いることが、ひとつの大事なピースになってきているのかもしれません。

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