業界をリードするFXトレーダー、インフルエンサーが自由に議論を交わす中で、現在進行形の為替相場を立ち回る上での有益な情報を、抽出して皆さんにお届けする企画です。
第1回のテーマは、2024年秋以降の為替相場における、リピート系自動売買の有効な活用方法となります。
今号の有識者
サトウカズオ氏プロフィール
専業ブロガー、投資家。会社を辞めたい一心でFXを始めたものの、リーマンショックで損失を計上していったん退場。しかし再開して成功を収め、2019年7月に退職。現在はトライオートFXなどで自動売買をしつつスワップポイントも狙うスタイルを採用しており、8000万円を運用中。
Yuki(ゆうき)氏プロフィール
自営業の専門職として働く傍ら、2010年より老舗FXブログ「為替研究所」を運営する兼業トレーダー。ファンダメンタルズを軸にしながらスイングトレードやリピート系自動売買に取り組む。認定テクニカルアナリストの資格も保有。
もしトラからほぼトラへ。為替相場への影響を考える
編集部 この対談を行っている7月17日の4日前、米国のトランプ前大統領の暗殺未遂事件がありました。この件は相場にどういう影響を与えそうでしょうか?
Yuki トランプさんが秋の大統領選挙で当選する確率は格段に高まったと思います。ただ2016年の「トランプラリー」を思い出したり、また今は円安に文句をいっているものの、アメリカではインフレがまだまだ問題なのも踏まえると、実際に就任したときにどうしてくるかはいまいち読みづらいです。ちなみにサトウさんのメイン通貨であるメキシコペソには悪影響とよくいわれますが、どう思われてますか?
サトウカズオ(以下サトウ) まず今後の相場についてですが…分かりません(笑)。分からないので相場を細かく読まなくても良いトライオートFXなどのリピート系自動売買を運用しています。しかし「もしトラ」から「ほぼトラ」になることで、対中国で高い関税をかけたりして、インフレ上昇圧力が高まり、ドル高になる可能性は高いと思います。メキシコペソでいえば、前回の大統領就任時同様に国境の壁問題などもあり、初動はペソ安、ドル高になるのではないかと。
ただ、トランプさんが前回大統領になったときもそうでしたが、時間が経過することで円の弱さも加わって、メキシコペソ円が盛り返していくことを期待しています。正直なところ、少し前まではメキシコペソ円の運用をストップすることも検討していたのですが、暗殺未遂事件後、トランプ前大統領が勝つ確率が高まった後に市場が再開しても、メキシコペソ円がほとんど下落していなかったことから、むしろこのまま続けた方がいいんじゃないかと。不法移民問題にしても彼は移民を否定しているわけではなく、〝不法〟移民が駄目だといっているわけでして、逆にボラティリティが高まって、利益を積み重ねられる展開にも期待しています。
歴史的に安い位置にあるので買いリピートを狙っていく!
編集部 2022年以降の強烈なインフレで、円絡みの通貨ペアは大きく上昇して、売りの戦略を仕掛けていた人は厳しい評価損と対峙しなければいけませんでした。
サトウ 現在インヴァスト証券がトライオートFXの戦略としてプッシュしている「三大陸」は、豪ドルNZドル、ユーロポンド、米ドルカナダドルと、地理的に近くトレンドが出にくい通貨ペアを組み合わせているため、レンジ相場が維持されやすいメリットはありますね。
Yuki 近隣国通貨同士というのは、通貨ペアを選ぶときの狙い目にはなりますよね。三大陸以外だと、ドルフランが面白いと思っています。
この通貨ペアは、過去の動きを見ても世界的なリスクオフ局面では急角度でガクンと下げるリスクはありますが、そうなったときにはスイス側も自国通貨安になるよう全力でやってくるので、その後に戻すことが多いです。下げたときが「ボーナスタイム」である可能性も非常に高く、そこを自動売買で取れたら非常に美味しいと思います。なので、基本的には自動売買で買いを入れつつ、急落したときには裁量でさらに買っていくのも面白いなと思っています。
サトウ 僕もドルフランは運用していますし、面白い通貨ペアだと思いますね。今のレートは歴史的に見ても下の方にいると思っているので、低い位置に想定レンジを置いて買いのリピートを狙い、上に抜けたらしょうがない、もうそれ以上は追わないという戦略です。
Yuki ドルフランは、ハーフでレンジ上半分で売りを入れるっていうのはやりたくないですよね。支払いスワップはなかなか厳しいですし。
サトウ 同感です。僕もマイナススワップは嫌いですし。
全部の相場で儲けないといけないわけじゃない
編集部 ドルフラン運用のポイントについて、さらに掘り下げて教えていただきたいです!
Yuki 先ほど述べたように、まず長期的に見て安値圏にあるため、買いに優位性がありそうです。スイスという国が強いフラン高を望んでいない、つまり下がりすぎたときにはドルフランを上げる方向で動いてくれる可能性が高いと思っています。
過去の値動きを見ても10年くらいはレンジが続いていて、買う通貨も世界の基軸通貨の米ドルで、しかもスワップもかなりもらえるので、一時的に暴落する可能性があるリスクを含めても、十分に買いに妙味があると思っています。
サトウ 僕のドルフランの運用は、ここまで年間リターン率は30%を超えています。もともとチャリンチャリン系の運用が好きで、下落時はスワップをもらいながら耐え、上昇したらインカムゲインもキャピタルゲインもどちらもいただくという考え方です。
編集部 こう聞いていきますと、何でもかんでも機械的にハーフを設定すればいいというわけでもなさそうですね。
Yuki そう思います。
編集部 確かにハーフなら、いわゆる両建て状態のメリットが生きて、必要な証拠金はかなり圧縮できます。ただ、ここ数年の円安相場において、ハーフで円絡み通貨ペアの売りを動かしていると厳しい展開になっているはずです。でも、買いだけで運用していたら、おそらく大きな利益になってますよね。
サトウ マイナススワップって、精神的なダメージがあるんですよね。毎日じわじわと削り取られるので、想定通りの運用であっても損切りしなきゃ、みたいな気持ちになる人もいるかもしれません。なので、プラススワップの方向に絞り込んで運用する考え方もあると思います。レンジを上抜けしてしまったら、そこでいったん手仕舞いのような。心の平穏は保たれますし、勝つ確率も上がるかもしれません。
編集部 ハーフは上下にレンジ抜けのリスクがありますもんね。
サトウ 全部の相場で儲けないといけないわけじゃないですからね。
失ってもいいお金でメンテナンスを受け容れる
編集部 最後に、リピート系自動売買を安定的に続けていくための秘訣を教えてください。
サトウ トライオートFXのようなリピート系自動売買って、ほったらかしにできるものって思われてますよね。基本的にはそうなんですけど、時々見直しが必要になります。相場は常に変化し続けていますから。3か月に一度なのか、1年ごとなのかは状況によりますが、同じ設定はいつか使えなくなります。今がそういう状況だと判断したら、割り切って運用を停止するなり、ドテンするなりの仕切り直しをしましょう。
Yuki その点でいうと、「最悪失っても死にはしない」金額感で投資するのも重要だと思います。私は自動売買で全損したら、しばらくメンタルは死ぬとは思うものの、本当に死ぬことはないレベルでやっていて、多分サトウさんもそうですよね?
サトウ そうですね。
編集部 トレードに使える資金の大半を突っ込んでしまっていると、なかなか損切りという決断ができなくなるのかもしれませんね。
サトウ いつその運用を始めたのかで、利益や損失の状況も変わります。僕は半年から1年くらい先を考えて、リピート系自動売買を始めます。なので、それくらいの期間が経過すれば、戦略見直しの必要が出てくるケースもあるのは仕方ないです。
Yuki 豪ドルNZドルのように、長くレンジが続くものもありますしね。
編集部 今日はためになるお話をありがとうございました。
対談実施日◉2024年7月17日
三大陸は地政学の考えを取り入れて安定したリピート系自動売買を狙う
近い地域は同じような動きになりやすい(=レンジになりやすい)、遠い地域は違う動きになりやすい(=トレンドが出やすい)ことを利用した、地政学的なアプローチがトライオートFXの三大陸。
三大陸の3大メリット
①運用が安定する
地政学的に遠い3地域の通貨ペアを運用するため、ポートフォリオ内の相関性が低く、安定感のある損益推移となりやすいです。
②長期レンジ相場
それぞれの通貨ペアが、似た経済状況になりやすい同一地域で構成されているため、長期的にはレンジ相場になりやすい特徴があります。
③取引時間の分散
タイムゾーンが異なる通貨ペアの組み合わせであるため、新規エントリーや決済の時間が分散されやすい特徴があります。
ドルフランの買い運用にチャンスあり。あえて売りを入れないのがポイント
サトウカズオさん、Yukiさんともに、三大陸以外で注目しているのが、ドルフランの買いによるリピート系自動売買。長期的に見て安値圏に滞在しており、受取りスワップも大きいため、買い運用に妙味があるとのこと。ただし支払いスワップも多いため、上値を無理に追いかけたり、売り運用を入れたりはしません。
インヴァスト証券のトライオートFXならサトウカズオさん、Yukiさんが作成した戦略を運用できる!
サトウカズオさん、Yukiさんをはじめとした、著名な投資家やインフルエンサーの戦略が豊富に用意されています。収益率や推奨証拠金、戦略の特徴が表示されたアイコンなど、情報量も十分です。
●著名な投資家が考案した戦略があらかじめ公開されている
●選んで稼働ボタンを押すだけで、取引がスタート
●ロットを変更したり、複数の戦略を組み合わせることも可能!
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)