外国為替編集部の佐野と申します。雑誌の編集もFXも初心者マーク。
本腰を入れてFXを勉強するにあたり、読み終えた書籍から得られたことを発信していきます。

『FXファンダメンタルズの強化書』
筆者:松崎美子
出版社:自由国民社
発売日:2023年10月
ファンダメンタルズの仕組みから学べる一冊
第一回で取り上げた「ずっと使えるFXチャート分析の基本」を通して、チャート分析に関して知見を深め、継続的に勉強を続けつつ、次はファンダメンタルズの勉強もしようと決めていました。書店のコーナーに並ぶ背表紙を眺めていると、松崎美子さんのお名前が目に入りました。外国為替で連載記事を書かれていますし、縁のある人の書いた本となれば気になるものです。迷わず手に取りました。
10月から11月にかけて、日本の衆院選や米国の大統領選がありましたが、あのときの激しいドル円の値動きはチャートに表示されたテクニカル指標を見るだけでは説明のつかないものであり、FXを続けていくならばファンダメンタルズ分析もできるようになっておかなければならないとは常々思っていました。本書に出会ったのはまさしく渡りに船だったといえるでしょう。
為替相場を動かすファンダメンタルズ要因にはどのようなものがあるのか、ファンダメンタルズ要素を読み解く上で必要な基礎知識は何なのか、山ほどある経済指標でも特に注目すべきものは何か、発言を追いかけるべき要人は誰なのか……などなど、用語の解説が丁寧についており、「ファンダメンタルズの強化書」であるとともに「ファンダメンタルズの教科書」であるとも思える一冊でした。
グローバル化が進んで世界が繋がっている
本書の中で特に関心を引いたのは、地政学リスクに関する内容でした。山地や海、あるいは人為的に引かれた国境で国や地域は分断されているものですが、そうした境目があっても、グローバル化した世界では、一つの国で起こった出来事が世界中に波及します。
解説されていた有事として、ウクライナ侵攻では、ロシアの侵攻開始後に米ドルが強くなり、ポンドドル、ユーロドル、ドル円に大きな値動きが生じました。さらに、ロシアからのエネルギー輸出が減ることで、原油や天然ガスの価格が上がり、物価が上がることで私たちの生活にも影響が出ています。身近な所にも地政学リスクの影響が及ぶことを考えると、日頃目にするニュースの解像度も上がるというものです。そういう意味で、ファンダメンタルズ分析を勉強することで新たな道が開いていくのではないか、という実感を持てました。常日頃見かけるニュースにも、今まで以上に関心が湧くようになりました。投資の道に入ったのならば、そうでなければならないでしょう。
とはいえ、あらゆるニュースを追うのは現実的ではありませんし、闇雲にあれもこれもと情報を漁っていては、有益な情報は手に入れられないでしょう。松崎さんは情報収集にX(旧Twitter)を用いられているそうです。デマが流れることも多く、高いメディアリテラシーを求められますが、速報性に関しては確かなものがあります。せっかくなので、本の中にリストアップされていたアカウントをフォローして、今後の情報収集の一助として精進したいです。