外国為替編集部の佐野と申します。雑誌の編集もFXも初心者マーク。
本腰を入れてFXを勉強するにあたり、読み終えた書籍から得られたことを発信していきます。
『ずっと使えるFXチャート分析の基本』
筆者:田向宏行
出版社:自由国民社
発売日:2018年11月
習得すべき技術の土台となるもの
FXを始めた以上は、やっぱり勝ちたい。そう思っていると「この手法で〇億円稼ぎました」「このやり方で勝率〇〇%!」といった、インパクトあるフレーズに近寄りたくなりましたが、そんなに勝てるならみんな同じことをするはずなのに、どうしてそうなっていないんだろうという疑問も、同時に抱えていました。
実際に本書を読み進めていくと、一度の爆勝ちで大儲けしたとしても、勝ち続けるための手段を確立できていなければ、いずれ資産を失ってしまうと書かれていました。現在の市場を生き抜く勝ち組トレーダーは、勘や才能で儲けたのではなく、技術を身に着けて地道に資産を積み上げてきたのだと知るに至りました。
「技術の習得には時間がかかるが、技術が身に付けば成長速度は加速する。そうなれば収益は後からついてくるものだから、まずは粘り強く基本を学ぶことが必要である」ともありましたが、ではその基本とは何か? それは、さまざまなテクニカル指標の土台ともなる「値動き」を正しく読み取ることでした。
パソコンが普及する前の1990年代では、為替の値動きを知る手段はプライスボードしかなく、当時のディーラーは手書きで日足チャートを作っていたそうです。今は、手元のスマートフォンでリアルタイムの値動きを細かく容易に見られます。とても便利ではありますが、何を見るべきかという芯を持たずにいると、例えばローソク足が陽線になるか陰線になるかといっただけの「見た目」に何となく釣られてしまうことになります。まさにこの本で指摘されているとおりの短絡的なエントリーをしたこともあるだけに、この点も大きな学びでした。
ローソク足の形ではなく、あくまでも見るべきは正確な数字ということでした。特に、高値同士、安値同士の関係です。1本のローソク足だけではなく、日足、週足といった大きな流れの中の高値(安値)を意識して、1分足や5分足のチャートに見られるダマシには惑わされるまい、と思いました。
トレードの勝ち組とは市場の多数派である
少数の勝ち組が相場の流れを作っている、という思い込みが以前の自分にはありました。実際はそうではないようです。買いが多ければ価格が上がり、売りが多ければ価格が下がる、というのが、相場の値動きの事実。売り手と買い手のどちらが優勢なのかを見極めて、多数派についていければ、利益を上げやすくなる。長く相場で資産を増やし続けているトレーダーの発言を追ってみると「みんな似たようなことを言っているな」と感じることが多かったのですが、彼らは市場を動かす多数派の流れを読み取り、大きなトレンドを捉えることで勝ち馬に乗っているのだと気付きました。
勉強しないと始まらないと分かってはいても、何から勉強すればいいのか分からない。チャートを見るにしても、何に注目すればいいのか曖昧。そんな状況でふらふらとしていましたが、考え方の土台になるものを学べたような気がします。まずはこの本に書かれていたとおり、朝起きたら日足チャートの値動きを数値で確かめる習慣をつけていきます。
FX雑誌「外国為替」vol.14
発売:2024年12月23日(月)
定価:980円(本体891円)