本文◉外国為替編集部
【基礎】値動きへ与える影響の強さ
自動売買において、ファンダメンタルズ的な要因が強く相場に出ると、アノマリー、テクニカルを無視した動きになることが多くあります。三者の力関係を把握できていれば、「自動売買を止める止めない論争」にも自ずと答えが出るはずです。
【Type.01】スキャルピングやデイトレ型の自動売買
この自動売買によく見られる特徴
●利益確定、損切りともに数pipsから十数pips程度であることが多い
●エントリー頻度が高い
●テクニカル分析主体のロジックであることが多い
●見栄えが派手なので人気がある
テクニカル分析を主体にトレードの条件を探り、利食い幅、損切り幅が狭めで、売買頻度が高い自動売買は、イベント時とあまり相性が良くないため、停止も1つの選択肢になります。強いファンダメンタルズ要因が出て一気に動く相場では、インジケーターによるテクニカル的な優位性は簡単に消し飛びます。また、損切りの幅が狭いので、一時的な上下動で損切りに引っかかってしまうと、その売買ロジックは有効に機能しません。さらに売買回数が多いため、スプレッド拡大やスリッページの影響が収支に現れやすく、急激な値動きを苦手としています。
結論 ⇒ 明らかに動きそうなイベント時には停止を検討
【Type.02】仲値、朝スキャなどのアノマリー型の自動売買
この自動売買によく見られる特徴
●日本時間ゴトー日の仲値(9時55分)、値動きが少ない早朝、月末ロンドンフィックスなど、値動きに特定の傾向がある時間帯を狙う
●エントリー、決済の時間はほぼ固定されている
ここ数年で脚光を浴びているアノマリー型の自動売買とは、特定の日付や時間帯の優位性でトレードします。例えばゴトー日(1の位が5か0の日)や金曜日は、仲値に向かって円が売られやすく、仲値以降はその反動で円が買われやすい傾向があります。こういった傾向を、一般的にアノマリーと呼びます。アノマリーの弱点は、売買する時間がほぼ決まっているため、同じタイミングで要人発言などが飛び出して突如相場に流れが出ると、大きな損失を負うことがあることです。予定されていないものは仕方ないですが、予定されているイベント時は、停止の検討を。
結論 ⇒ 明らかに動きそうなイベント時には停止を検討
【Type.03】スイングトレード以上の長期的な自動売買
この自動売買によく見られる特徴
●エントリー頻度が低い
●100pips以上の広い値幅を狙うことが多い
●損切り幅も広い傾向がある
●派手さはないが、ロジックが通用しなくなりにくい
4時間足、日足といった長めの時間軸で売買の根拠を見つけ、一度ポジションを持ったら長く保有し、広い値幅を狙っていくタイプが多いです。このタイプは、利食い幅が広い分、損切り幅も広いため、ファンダメンタルズによる突発的な変動があったとしても、損切りにはなりにくいです。また、一時的な上下動がエントリーのトリガーを満たすこともあります。また、売買回数が少ないため、急激にボラティリティが上昇して、スプレッドが拡大したり、スリッページが発生しても、悪影響はあまり大きくないです。よってこのタイプは、経済イベントがあっても、あえて停止する必要はありません。
結論 ⇒ 無理をして止めなくてもOK!
【Type.04】トラリピ、トライオートFXなどのリピート系自動売買
この自動売買によく見られる特徴
●相場に大量の注文を等間隔に設置し、それらが何回も利益確定を繰り返す
●トレンド相場よりはレンジ相場に強い
●売買内容に秘密の部分はない
●ピンポイントの相場予想は不要
●損切りはできるだけしない
トラリピ(マネースクエア)やトライオートFX(インヴァスト証券)のようにFX会社が提供していることが多い自動売買です。指定した範囲に複数の注文を並べ、その範囲内の値動きが繰り返されることで、確定益が積み重なっていきます。リピート系自動売買と呼ばれるこのタイプ最大の特徴は、損切りを基本的にしないことです。損切りができるだけ発生しない資金管理が重要で、運用中は常に含み損を抱えることになります。しかし含み損になっているポジションは、将来的な価格変動で利益確定される可能性が高く、ファンダメンタルズ的な急変動で注文が一気に約定されることは大歓迎です。
結論 ⇒ むしろ止めるべきではない!
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)