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Iolite(アイオライト)編集長コラム[八木紀彰]

ミームコインの熱狂は対岸の火事か、何かの前触れか?|Iolite(アイオライト)編集長コラム[八木紀彰]

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Iolite(アイオライト)

『Iolite(アイオライト)』編集部で2000年代初頭に流行した「Pepe the Frog」の話題が上がった。リリースから2週間ほどで2000%以上も価格が高騰したことで話題となった「PEPE」というミームコインのロゴとなっているキャラクターであったからだ。

 PEPEは、「BRC-20」というビットコインの新しい規格を活用して発行されている。ビットコインの最小単位である「サトシ」に特定の情報を関連付け、独自のデジタル資産を生み出す手法だ。厳密にいえば、「Ordinals」というサトシに番号を割り当て、画像やテキスト形式等の特定の情報を関連付け、それらを追跡するシステムがBRC-20の特徴だ。これにより、ビットコインブロックチェーンでデジタル資産(NFT)を発行できる。簡単にまとめれば、既存のNFTを発行できるブロックチェーン上には例外もあるが、プライベートなサーバ等に保存された画像の位置を示す文字列が保存されており、画像自体が保存されているわけではない。仮にNFTの画像を保存しているプラットフォームを提供している事業者が倒産した場合に、サーバ内のデータが使えなくなる可能性がある。文字列から先、肝心の画像が読み込めなくなるという内容だ。

 フルオンチェーンのNFTを真のNFTとするかどうかは別として、どちらにせよビットコインブロックチェーン上でNFTが作成されるほど、ビットコインの取引コストが上がることは確かである。

 PEPEというミームコインやビットコインブロックチェーンで発行されるNFTといった一過性にも思える話題が要因なのか、2023年4月14日に年初来高値更新の約408万円をつけたが、ビットコインの当初の目的、「国や銀行などを介すことなく国境を越えて安価な手数料で簡単に送金できるデジタル通貨を作ること」と違った活用方法は、分断を生みかねない重要な問題である。

 少し広い視野で見てみたい。以前より進められていた、トラベルルールの対応開始時期は6月と予定されている。この流れで一つの課題が生まれた。国内の暗号資産交換業者の中では、「Sygna Alliance」と「TRUST」という異なる情報通知システムを用いていることを理由に、金融庁のライセンスを取得している暗号資産交換業者間であっても、今後暗号資産の送信ができなくなるというものだ。

 そして同時期には、香港でも個人投資家への暗号資産取引を認可する方針が発表される予定となっている。経済特区である香港を皮切りに、中国が改めて暗号資産の領域で世界一の座を狙う可能性があるのだ。他にも、米国のデフォルトに関する問題など、6月の暗号資産業界を取り巻くニュースは山のようにある。

 以前のコラムにも書かせていただいた、「2025年の夏ごろまではビットコインを含めた主要暗号資産には追い風が吹く可能性が高い」という考えは一貫して変わらないが、ボラティリティが高い暗号資産のリスクを常に意識して向き合ってほしい。少なくともミームコインは〝ネタ〟であると思っている。

ABOUT ME
八木紀彰
大学在学中に飲食業務に従事。その経験から、飲食店のコンサルティング事業及び、アミューズメント領域への人材派遣事業を立ち上げ、代表に就任。同時に自身のブランドを確立させる目的からSNS運用を始める。SNSの運用では、合計フォロワー数1万人を達成後に認知度の拡大を受け、自身のアパレルブランドを立ち上げる。2021年9月に株式会社J-CAMに入社。YouTubeやTwitter運用に従事した後、2022年4月より編集長に就任。2023年3月に『Iolite(アイオライト)』を創刊。
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