環境認識の重要さに着目し、FXトレーダーやYouTuberとして活躍中のHiroさん。Hiroさん曰く、重要なのは過去から続く今をいかに正確に把握し、そこからさらに続く未来のイメージを描くか。環境認識さえ間違わなければ「大ハズシ」をすることはないと語るHiroさんに、その極意を教えてもらいました。

Hiro氏プロフィール
投資歴17年、FX歴9年。初期の3年間は成果が出なかったものの、4年目に100万円、5年目には1,000万円の利益を達成。トレードで勝つための考え方やテクニックを積極的に発信している。愛犬家であり、筋トレも趣味。【著書】FX 環境認識の定石(日本実業出版社)
聞き手・本文◉田中タスク
キャッシュバックを狙ってFXと出会った
─最初に、Hiroさんの投資家としての経歴を教えていただけますか?
Hiro 投資を始めたのは、20歳のときです。リーマンショックが起きる前の年、2006年でしたね。最初は株をやってみたいと思って始めたんですが、その後29歳のときにFXと出会いました。それまでは建築の仕事をしていたんですが、身体を壊してしまって仕事を続けられなくなったんです。家にいながらにして稼げる方法はないか?と模索したところ、FXに出会いました。
口座開設をして1回でもトレードをしたらキャッシュバックがもらえるキャンペーンってあるじゃないですか。いくらか入金をしてトレードをして、100円くらい損をしてもキャッシュバックがもらえたらいいか、と思ったんです。そういうヨコシマな気持ちで始めたトレードで、なんと利益が出ちゃいました。それからですね、FXにはまったのは。
─キャッシュバック狙いとはいえ、利益を狙った上でのトレードだったと思います。
Hiro ちょっと勉強したら勝てるかなと思って簡単な勉強はしましたけど、やっぱりビギナーズラックだったんじゃないですかね。でもFXのことを勉強したり知識を増やしていくことには、面白さを感じました。
─具体的に、どんな方法でFXの勉強をされたんですか?
Hiro 最初はFXの入門書みたいなのを読んでみたんですが、これはうまくいきませんでした。
次に、YouTubeの動画で勉強をしてみようと。当時はまだあまりFXの勉強ができるようなチャンネルがなかったんですが、それでも自分に合いそうな人がいたので、それを何百本も視聴しましたね。そこで基礎は固められたと思います。
─現在は逆に配信する側でもあるわけですが、そのご経験が関係しているのでしょうか?
Hiro そうですね、これからFXを学びたいと思う人に向けて、主にトレーダーとしてのマインドセットを伝えたいと思って活動しています。
─先ほど投資家としてのスタートは株とおっしゃいました。現在も株などFX以外の投資もされているのでしょうか?
Hiro 今も株はやっていて、長期目線で投資しています。どちらかというと資産形成のエネルギーはそっちに注ぎたいので、入金力を高めるためにFXをやっているという位置づけです。個別株以外に、NISAで投資信託なんかもやっています。
─幅広いポートフォリオを組まれていますが、それだと不動産なども組み込まれているのですか?
Hiro 現物はやっていないですけど、REITは買っています。ポートフォリオを多様化する意味で、手軽に売買できる不動産商品は良いと思います。
環境認識を間違えなければ「大ハズシ」をしなくなる
─Hiroさんは環境認識について深い造詣をお持ちです。まず、環境認識とは何か?という定義から教えてください。
Hiro 僕も最初は環境認識って何?からのスタートでしたが、今は僕の言葉に言い換えるなら現状認識ですね。FXを含むトレードって、「これから先」を知りたいわけですよね。でも、それを知ることは難しい。
ここを出発点として、それなら現在の状況をしっかり自分の中で確認することはできるんじゃないか、というのが環境認識です。
今の相場が上昇トレンドなのか、下落トレンドなのか、はたまたレンジなのかを見極めます。過去からの連続性が今につながっているので、過去と現在を分析すればトレンドの有無や方向を知ることはできます。
─なるほど、過去、現在、そしてその延長線上にあるのが未来ですね。いかに「今」を正確に理解するかがポイントであると理解しました。
Hiro FXの入門書などでは、トレンドフォローがセオリーですよね。トレンドフォローをするためには、トレンドの有無と方向を知る必要があります。それが分かれば、あとはついていくだけ。仮に上昇トレンドだと思えば、買うか何もしないかです。
この判断が間違っていなければ、自分の体感では負けることが少なくなりました。負けるとしたら、実は上昇中の調整がまだ終わっていなかったといったダマシくらいしかなくなりました。上昇トレンドだったと思って入ったら、実は下落トレンドだったということがなくなったわけです。
─「どこでエントリーするか」ばかりにフォーカスすると、間違った方向に入ってしまう恐れがあるということですね。
Hiro そうです。「どこでエントリーするか」の前段階として、今の環境をしっかり認識しないと正しいエントリーアイディアが出てこないことになります。
─Hiroさんが現在のトレードスタイルを確立されるにあたって、どんな工夫をされましたか?
Hiro トレードの記録をつけるようにして、今も続けています。大事なのは、後で振り返ったときにトレードノートを見て同じトレードができるかどうかです。自分の頭の中の心情も含めて正確に振り返れるようにしています。
─結果を出している投資家の多くはトレードを記録しているように感じます。Hiroさんも早い段階からその重要性を感じていたということですね。
Hiro 3か月も経てば、自分がどんなトレードをしたのかなんて忘れてるじゃないですか。そのための備忘録のようなイメージで記録し始めました。
同じ失敗を繰り返したのであれば、同じことを記録すればいいと思います。そこから自分の弱点のようなものが可視化されるので、悪いことではありません。毎回同じ失敗をして改善しない場合は、何か別の原因があるのでは?となるので、何でもかんでも記録してみるのはおすすめです。
【図1】過去から現在を知ることが環境認識!

未来の値動きを狙っていくのがトレードですが、当然ながらこのあと相場がどう動くのかを見極めるのは難しいです。だからこそ、過去から現在に相場がどう至ったかを、詳しく知る必要があります。なぜなら、未来の相場も過去からの続きに過ぎず、過去を理解できなければ、未来を理解することもできないからです。
MTF分析と通貨強弱で相場の「今」を知る
─Hiroさんは環境認識において、マルチタイムフレーム分析を提唱されています。こちらについて詳しく説明していただけますか?
Hiro 複数の時間足を複合的に分析する手法ですが、私はそれにダウ理論やチャートパターンなども加えて分析をしています。普段はスイングトレードが多いので、その場合は1時間足を軸として、上位足の日足と下位足の15分足を見て環境認識をする感じです。トレードの時間軸が短い場合は15分足の上下足である5分足と60分足を見るといったように、トレードの時間軸に合わせてマルチタイムフレームも移動します。
─ダウ理論による分析については、いかがですか?
Hiro 私にとってのダウ理論は、環境認識においてトレンドが上昇なのか下落なのかといった今の状況を認識するものという位置づけです。ただしダウ理論は抽象的な部分があったりちょっと遅かったりもします。
そこでテクニカルインジケーターを絡めて補完していきます。最初にダウ理論などを使って抽象的な全体像を掴んで、そこから異なる時間足を使った分析に落とし込んでいくイメージですね。
─マルチタイムフレーム分析において重要なのは中期足で、それを補完するように上下足を見るということですね。
Hiro そうです。中期足の波動を取りたいので、上位足でトレンドが発生しているか、そのトレンドにどの程度の勢いがあるかを知る必要があります。少々抽象的な説明になってしまいましたが、3つの時間足にダウ理論を絡めることで相場の環境認識はかなり正確なものになるんじゃないかと思います。
【図2】中を主軸に、長と短を組み合わせて分析する

Hiroさんのマルチタイムフレーム分析は、中心となる時間足がまずあり、それより長い全体の流れを見るための時間足、それより短い目先の上げ下げを見るための時間足の3種類を組み合わせたものとなります。トレードの時間軸が短くなれば、上の例のように3つの時間足全てが短いものに置き換わります。そして3種類の時間足それぞれにダウ理論を当てはめることで、多層的な環境認識を行うことが目的です。
| 3つの足それぞれにダウ理論を当てはめる方法 ・高値、安値が切り上げたら上昇 ・高値、安値が切り下げたら下降 |
ダウ理論にはいろいろな考え方があるものの、高値や安値の連続更新からトレンドを判断するのが基本中の基本です。
─Hiroさんは環境認識において通貨強弱を分析する重要性を説かれています。こちらについても解説をいただけますでしょうか?
Hiro 通貨同士の相関を見ると、期待値が高い方向が分かります。強い通貨と弱い通貨の間にあるギャップ、そこにトレンドが発生します。為替市場ではどこかにお金が流れるので、その流れを知る重要性ですね。
例えば昨今の円安は強いドルと弱い円のギャップによって起きています。エントリーする際に通貨の強弱感をチェックするだけでも勝率は上がると思いますよ。
─Hiroさんは通貨強弱に関する情報をどう収集されているのですか?
Hiro ローソク足で見ることが多いですが、通貨強弱を見ることができるインジケーターもありますよね。使えるものは何でも使うのがいいと思います。
【図3】通貨強弱から取引する通貨ペアを絞り込む

上のグラフはみんなのFXで口座開設をすると使える、通貨強弱ツールです(2025年4月1日)。このときは、スイスフラン(CHF)、ついで円(JPY)が強く、NZドル(NZD)が最弱という力関係でした。このように、通貨ペアではなく通貨単体が、他の通貨と比べて相対的に強いか弱いかを表すものが通貨強弱の考え方です。この状況なら、強いものを買い、弱いものを売る運用がトレンドフォローになるため、NZDCHFやNZDJPYを売っていくという戦略が考えられます。
─次に、資金管理力についてお聞きします。これはFXに限らず全投資家に必須のスキルだと思います。Hiroさんは何かマイルールのようなものを持っておられますか?
Hiro トレード1回あたりのリスクに上限を定めています。以前は証拠金の5%に収まるようにロットを調整して、損切り幅を決めていました。
─基本に忠実ともいえる、厳格なルールですね。
Hiro ただ、実際にこれを毎回やると面倒くさいんです(笑)。そこからいろいろと模索をしてたどり着いたのが、「損切り幅が100pipsまでであれば同じロット数で揃える」というルールです。逆に、どんなにいいエントリーチャンスだと思っても損切り幅が100pipsを超えるようであれば見送ることもあります。
実際にはいろいろなパターンがあるので平均すると50pipsくらいになると思いますが、最後の砦となるのが損切り100pipsです。こうやってシンプル化することによって操作ミスもなくなりました。ミスを減らすという意味でも工数を減らしてシンプルにするのは大事だと感じました。
【図4】正しい資金管理が手間なら簡単バージョンでも

許容できる損失(%)を決めると、資金に応じて1回の負け額が決まります。エントリー時に損切り位置から負けるときの値幅が分かれば、それを1回の負け額で割ることで取引ロットが決まります。ただこの計算はやや煩雑で、計算ミスが発生しかねないため、Hiroさんは上のように簡略化しています。
持つべきマインドセットは2勝2敗6分け
─Hiroさんはご自身の著書でエリオット波動について解説されています。こちらについても「これだけは知っておくべき」と思える知識を伝授していただけますか?
Hiro エリオット波動理論は、推進5波と修正3波で成り立っているといわれていますよね。これが連続するという概念ですが、これを過信しすぎると独り歩きしてしまいます。裏を返せば、修正波の後で次の推進波が来ることもあるかもしれません。こういった逆説的な仮説を立ててエントリーのタイミングを狙うと、けっこうチャンスがあるんです。
─それを複数の時間足でチェックしていくという考え方ですか?
Hiro そうです。エリオット波動を使ったトレードは、推進波の1つ目をどう探すか、そして伸びるといわれる推進第3波をどうやって探すかに主眼が置かれます。その視野を少し広げて修正波の直後に次の推進波が来るかもしれないと考え、マルチタイムフレーム分析で時間足を変えながらチャート形状を分析していくと、これまで見えてこなかったエントリーチャンスが見えてくるかもしれません。
─それともう一点、Hiroさんはマインドセットの重要性を説かれています。これはおそらく最も重要かと思いますので、ご説明いただいてよろしいでしょうか。
Hiro はい、私が一番大事にしていることです。ひとつの前提として、勝率よりもリスクリワードが重要です。私が考える理想の勝敗は、10回トレードをした中で「2勝2敗6分け」です。ここでいう「分け」には、わずかな勝ち負けも含まれます。
スイングトレードがメインなので、わずかな勝ちは勝ちに含まず引き分け扱いとしています。
─確かに、勝率にこだわるのであれば2勝は物足りないかもしれません。
Hiro これだと勝率50%ですよね。しかし、「5勝5敗」とは意味がまるで違います。これだと10回のうち5回勝たなければなりませんが、私の理想だと10回のうち2回勝てばOKということになります。これでも十分というリスクリワードで臨むと、考え方だけでなくやり方も変わってくると思います。何が何でも全部勝ちを目指さなければ!とはなりませんよね。
─その考えに至るまでにいろいろと経験されたはずです。その考え、境地に至った経緯を教えていただけますか。
Hiro 私も最初は勝率80%などを目標としていたんですが、しんどい割には結果につながりませんでした。話は変わりますが、私は野球好きなんです。野球の点の取り方には多くの考え方があって、日本の野球はヒットが出たらバントで送ってホームに返すというのが主流です。日本人的にはこれがカッコいいと思ってまして、ひとつの勝ち筋だと思います。それなら私もスモールベースボールのように一発大当たりを狙うのではなく手堅くにいこう、と。
【図5】10戦2勝でも資産を増やせる考え方

Hiroさんは勝率50%を目指しますが、10回トレードをして5回勝つことは目指していません。全体の半分以上は引き分け扱いの小さな勝ち負けでも問題ないという解釈で、しっかり利益を伸ばす勝ちトレードが全体の2割程度あれば、トータルでお金は十分に増えていくという考え方です。
押し目買い、戻り売りのトレンドフォローが基本
─読者の皆さんにFXトレードのアドバイスをいただけますか?
Hiro やはり、トレンドフォローが王道です。私は基本的に押し目買いか戻り売りしかしていないので、トレンドが継続している中の調整をチャンスとしています。そのためには環境認識が重要になってくるというわけです。
─それをチャートから読み解くには、どんなことを意識すればいいですか?
Hiro ローソク足の並び方や形に着目します。トレンド方向に勢いよく上げているときは、相場は上に行きたがっています。それをローソク足の長さや並び方などで観察します。トレンドが強いときは、ローソク足の実体部分が長くてきれいです。
逆に、トレンドに勢いがないときは陽線と陰線が織り交ざって、ヒゲもでていてきれいではありません。このように勢いがない相場に再び勢いが出てくると、実体部分が長くなります。この対比に注目すると、ダマシに遭いにくいと思います。
【図6】ローソク足を見るだけで市場の勢いが分かる

マーケットの勢いの有無で、ローソク足の形状や並び方にも特徴が現れます。勢いがあるトレンド相場では、同じ色のローソク足が連続出現しやすく、それぞれの実体は長く、逆にヒゲは短くなりがちです。トレンドの勢いがないレンジ相場では、陰線と陽線が交互に出現しやすく、実体は短く、ヒゲは長くなることが多いです。こういった情報からも、今の相場の雰囲気を感じ取れるようになると、環境認識の精度がアップする期待があります。
─Hiroさんのお話を聞いていると、環境認識の正しさで結果の大半が決まるという感じですね。
Hiro そうです。環境認識が正しければ、少々エントリーを間違えても致命的なことにはなりにくいです。もし、まだ調整が終わっていないのに押し目買いや戻り売りが早すぎたとしても、環境認識が間違っていなければ一度損切りをして入り直すこともできますしね。
─最後に、『外国為替』読者の皆さんにメッセージをいただけますか?
Hiro すでにFXの専門誌を読んでいる方々なので、トレードで利益を上げていくための知識が足りないという方はほとんどいないと思います。その知識の使い方、使う場面に何か足りない部分があると感じて、それが不満につながっているかもしれません。
すでに勉強されている前提に立つと、ここからは勉強を頑張るよりもアウトプットのフェーズだと思います。具体的には過去検証や、デモトレードです。それを続けていけば、自ずと結果が出てくるのではないでしょうか。
FXトレードは頭脳労働と思われがちなので知識を求めてしまいますが、実はスポーツと同じでパフォーマンスが出なければ意味がありません。勉強熱心で真面目な方が多いと思いますので、それを良い方向に生かしていただければと思います。
【Information】勝てない理由が見えてくる。Hiro’s FX Life

FX初心者や勝てずに悩むトレーダーに向けた実践的なアドバイスが詰まったYouTubeチャンネル「Hiro’s FX Life」は、登録者数2.34万人、動画数は309本を超え、多くの支持を集めています。環境認識や相場分析の解説に加え、ライブ配信ではリスナーとの質疑応答や自身の勉強・検証の様子も公開。アーカイブ視聴も可能で、成長したいトレーダーがリアルな学びを得られる貴重なチャンネルです。

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