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バカラ村氏 FXインタビュー「世界大会日米優勝者の思考と思想」

バカラ村氏 FXインタビュー「世界大会日米優勝者の思考と思想」

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本国である米国、そして日本で開催された2回の世界大会で優勝経験があるバカラ村さんに、本当に正直に思うところを語っていただきました。

2000年代のFX黎明期から生き残り続けているからこそ、その思考、そして思想に私たちは触れねばなりません。

聞き手◉鹿内武蔵/本文◉尾崎響子

バカラ村(ばからむら)氏プロフィール
バカラ村(ばからむら)氏プロフィール

為替へ興味を持ち始めたのは、サラリーマン時代に外貨預金を始めた1998年ごろ。その後、司法試験の合格を目指して退職するも、司法試験浪人生のときに出会ったFXにのめり込んでFXの専業トレーダーへ転向。個人投資家の武器となるテクニカル分析を学び、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)の認定テクニカルアナリストとなる。2015年に世界的に有名なトレード大会のFX部門で優勝し、分析だけでなく実戦でも結果を残す。トレードの傍ら、FX会社や証券会社のセミナー講師も務めている。DVDなどの著作物が多数あり、『15時からのFXボリンジャーバンドとフォーメーション分析』(パンローリング)は、現在も人気で販売数も多い。

■バカラ村氏の主な経歴
2015年 世界大会(FX部門)優勝
2017年 ロビンスカップ(日本開催)優勝

FXブームの黎明期に弁護士志望からFXの道へ

─まず、これまでのFX、投資歴を教えてください。

「大学を卒業してサラリーマンになったあと、弁護士を目指していましたが、受からないなと感じていたときに、FXブームが来ていました。ただし、FX関係の本は当時ほとんどなく、あったのは山根亜希子さんなど一部の方の著書だけでした。トレードを始めたのは2005年でしたが、司法試験の勉強から徐々にトレードがメインの生活になり、2007年には完全に専業トレーダーとして活動しています」

─投資を始めるとき、FXではない商品の選択肢もあったと思いますが、どのような経緯でFXを選ばれたのでしょうか。

「IMMという商品を取引していました。外貨預金なので為替のリスクはあるけれど、金利は高いものです。それを運用していたので、20代前半のころから為替は気になっていましたし、馴染みがあったのとブームに乗って、FXを選びました」

─当時のFX業界はどのような雰囲気でしたか。

「今とは大きく違いましたね。まずスキャルピングはできなかったですし、ドル円のスプレッドも5pipsは当然、といったFX会社さんもありました。今でこそスプレッドが狭いとあるFX会社も、当時は外付け手数料で10銭、往復で20銭かかって、さらにスプレッド分が上乗せされることもありました。ただ、今と比べてボラティリティは高かったです」

─そのころは、どのような情報を発信してる方がいたのでしょうか。

「情報発信といえばブログやメルマガだけで、Twitterもありませんでした。情報もFX会社が発信しているものぐらいで、週刊レポートなどを見たりしていましたが、今のような量はなかったです。最近はfx wave やMarketWin24、ロイターなど情報が豊富にありますが、当時はそうではありませんでした」

地道な勉強と実践で流れをつかんだ

─初心者時代には、どのような勉強をされていましたか。

「FXの本は少なかったのですが、先物市場のテクニカル的な本はたくさんありました。司法試験の勉強の勢いでFXの勉強もしていたので、勉強そのものは全く苦にならなかったんです。司法試験に向けては1日に12時間から14時間ほど勉強しなければならなかったので、FXの本も簡単に読み切れました。よく読んでいたのは、パンローリング社の本です。リアルタイムのチャートと照らし合わせて実際にトレードし、うまく行かなかったらその理由を探る、というトライアンドエラーを繰り返していました」

─勝てるようになったきっかけはあったのでしょうか。

「そもそも僕はプラス思考だったので、きっと勝てるはず、と思っていました。実際は山あり谷ありでしたが、当時はレバレッジが極端に高かったので、少しの資金だけでそれなりのポジションを持てました。でも今は、最大レバレッジが25倍。誰でもトレードしていく中で1回は失敗するもので、そこから這い上がることが重要です。高いレバレッジをかけて短期間で巻き返す取引が今はできませんから、ルーキーが専業トレーダーにすぐなるには難しい時代かもしれないです」

─当時のハイレバレッジも味方につけたのですね。

「そうですね。普段は勝ったり負けたりでも、ある一瞬で大きく勝てばプラスになります。そのチャンスをつかむために日々コツコツやって、機会をうかがいます。昔は雇用統計が毎日あればいいのになと思っていたぐらい、一つの指標で相場が極端に動く時代でした。ドル円が雇用統計で5円動いた時期もあり、しかも一方通行なので、週明けの月曜日にも同じ方向に高確率で動くんです。今とは相場が異なり、そのようなチャンスが多かったです。

 2021年はドル円が全く動かない状態が続いたので、あの年に専業になった人は、今は厳しい状況なのではないでしょうか。対して2022年は過去にないくらい相場が動きましたが、それまでの数年は本当に動きませんでした。

 この傾向がもっと顕著だったのが、ドル円が75円台だった時代です。もしドル円じゃない通貨ペア、例えばユーロ円を選んだとしても、1pipsあたり75円にしかなりません。それが今では130円です。そうなると他の通貨ペアを選んだとしても、大きくは変わりません。一方、アベノミクスのときにトレードを始めた方は今でも多く活躍されていますし、始める時期は重要かもしれません」

不利な状況でも短期間でも冷静に挑み2度の大会優勝

─2015年の世界大会では優勝に輝きましたが、そもそもどうして出場しようと思ったのですか。

「最初にFXを始めた動機はお金が欲しいからでしたが、徐々にお金ではない結果が欲しくなってきたんです。パンローリングの本で有名なラリー・ウィリアムズも過去に1位を獲っていることを知って、この人に近づくために僕もその大会で1位を目指すことに決めました。彼は、尊敬する投資家の一人です」

─大会では、どのようなトレードをされたのでしょうか。

「大会の期間は1月から12月でしたが、僕が参加したのは9月前半で、残り4か月で優勝しなければいけなかったんです。だからこそ、自分の得意な通貨ペアではなく、今動いている通貨ペアを探さないと追いつけない状況でした。何に市場は注目しているのか、レバレッジはいくらまでかけられるのかなど、毎日のように計算していました。ドル円はあまりレバレッジがかけられず33倍ほどだった一方、ユーロドルやポンドドルは50倍くらいまでかけられたので、日本人にとっては不利な状況だなと思いながらも、そのルールの上で勝たないといけませんでした。動いているユーロドルをトレードしたり、扱ったことのないユーロクロスやポンドクロスにも手を出したりしつつ、優勝できました」

─本国の大会後、2017年の日本大会でも優勝されていますよね。

「はい。日本大会は5か月間で、最初は出るつもりはなかったんです。オープニングセレモニーにゲストとして出てもらえませんかと連絡があり、一応申し込みだけはしていました。トレードするつもりはありませんでしたが、開会後3か月ほどたったときに周りの成績を見てみると、なんだかパッとしなくて。残り2か月でも勝てるかもしれないと思い、参加しました。バタバタしながらの短期的なトレードになりましたが、うまく成績を残して1位になることができました」

トレンドフォローを利用し相場に合わせてトレードする

─次に、初心者でも実行できるトレードのアイデアや、テクニックを教えてください。

「今は、トレンドフォローを強くお勧めします。スイングであれスキャルピングであれ、それは変わりません。動きが弱かった2021年までは、スキャルピングがほぼ逆張りの状態でしたが、今は完全に逆です。長い時間軸に対して、どこがレジスタンスかサポートかを短い時間軸で見て、そこでエントリーするやり方がいいかなと思います」

─王道のマルチタイムフレームということでしょうか。

「尊敬しているラリー・ウィリアムズは、マルチタイムフレームの考え方はエントリーチャンスが少なくなるから、あまり重視していないといっています。彼は基本的に日足以下は見ていなくて、セミナーなどでは日足より上の話しかしません。週足の時間軸で流れを見て、日足で押し目や戻りを拾おうとすると、時間がかかるからかもしれないです。

 他にも彼は、1月は上がりやすい、8月は下がりやすいなどのサイクルを活用し、1年のうちのどこかで日足の売りシグナルや買いシグナルがあればエントリーするという考え方でトレードをしています。こういう発想なので、マルチタイムフレーム的に上位足の流れを条件にしてしまうと、エントリー回数が減ってしまいます。そういう意味でも重視していないのかもしれません。

 ただ僕は、天底は取れないとしても、マルチタイムフレームは使うべき方法だと思います。今(2023年3月6日の取材時)であれば、ドル円は日足で上がっているので、4時間足でサポートになるところで買えばいいと考えています」

─トレンドフォローの方法にもいろいろあると思いますが、どのようなものがいいのでしょうか。

「例えば移動平均線の傾きを見る場合、傾きの角度はどのくらいかといった話になってきてしまうので、正確にはトレンドの定義にもよります。僕はパッと見たときに上がっているな、くらいの感覚でいいと思います。

 ただ、通貨ペアをバラバラで見ることはありますね。ドル円が上がっているとしたら、ドルが上がっているのか円が下がっているのか、それぞれを別で見るんです。ドルが上がって円が下がっていたら、まさにドル円が上がっていることになりますし、ユーロドルもポンドドルも下がっているなら、ここでもドルが上がっているという見方ができます。

 もしドル円が上がっていてクロス円を見たときに横ばいであれば、円が売られているわけではなくドルが買われているので、ユーロドルやポンドドルを売ればいいと導き出せます。

 そしてファンダメンタルズを考えて、よく分からなかったらチャートを見て、一番エントリーしやすいのはどこか判断します」

─FXで成功している人は魔法のようなテクニックを使っていると考えがちですけど、そんなことはないんですね。

近道は探さず着実に進み自分に合った勝ち方を

─今からFXを始める人にお勧めのトレーニングや勉強法はありますか。

「僕はデモトレードなどはせず、とにかく実践するのみという考え方です。負けたらどうするんですかと聞かれたら、負けてもいいんじゃないか、と答えます。負けたあとになぜ負けたのか、どうやったら勝てるのかを考えるのがトレーダーの仕事です。

 ある程度の王道的な勝ち方はあるのかもしれませんが、結局こうすれば勝てるという100%の勝ち筋はありません。状況に合わせてどうすればいいのか、自分で考えて行動することです。かなりの確率で勝てるだろうと思っても、負けるときも当然あります。必勝法はないんです。

 ただそれで、何も考えないのではダメで、しっかりと「なぜ」を考えましょう。負けパターンにも、当たり前の負け方と事故のような負け方があり、後者は重視してはいけません。強烈な負け方をするとそのイメージが残り、次に同じシチュエーションでエントリーするべきときに事故を思い出してしまうこともあるかもしれませんが、それでもエントリーすることが大事です。ただポジションの量は、トレーニングなので少な目がいいと思います」

─最初からこれと絞り込まずに、なんでもやってみることなんですね。

「勉強をするのも、一度負けてからでいいと思っています。下手に新しい知識を取り入れると、余計なことを考えてしまって勝てなくなるパターンがあるので、もし勝てているのであれば続けて、その手法で負けたら本を読むんです。読むと、体調や感覚が整うイメージがあります。負けても勉強し直して修正した手法がうまくいけばそれを取り入れて、また負けたらいろいろな本を読んで勉強する。この繰り返しです」

─反対に、これだけは避けるべきということはありますか。

「一回で大勝ちしようとすることです。トレードをしていれば、絶対にいつかは負けます。今はレバレッジ規制のおかげで大損することも以前に比べると少なくなりましたが、規制がないときは1年生き残れない人も多かったです。

 よくあるのは、負けを取り返そうと躍起になってしまうパターンです。確かに僕も取り返そうとしてしまうことはありますが、その結果、負けるときもあると知っていてほしいです。その冷静さがない人は、取り返そうという考え方は持たない方がいいと思います。

 あと僕には、トレードの調子が悪くなってきたらFX会社を変えるという独自のルールがあります。FX会社を変えると、今までとは違うトレードを自然と始めてしまうんです。もしかしたら、そこでそれまでの悪い流れが断ち切られる可能性もあります。

 また、ストップ外しやストップの移動、追加入金にも気をつけましょう。追加入金しようと思うのは基本的に負けているときなので、追加分も失くしてしまう傾向にあります」

─最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

「勝ち方はたくさんある、とお伝えしたいです。僕がFXで勝てるようになってしばらくたったころ、ブログでナンピンや両建てをする人を見ながら、どこか心の中でそれでは勝てないはず、と思っていましたが、実際には勝っている人も多くいるんです。

 他の人のやり方を批判するのではなく、自分にとってどのような勝ち方が一番正しいかを探しましょう。その判断基準は、口座の数字が増えているかどうか。勝ち方は無数にありますが、もし数字が減っていたらそのやり方は間違っています。

 僕が人にあるやり方を薦めたとして、いくらそれを実践しても負けるのであれば、その人にとっては合わないやり方なんです。同じ方法で、他の人が成功することだってもちろんあります。自分自身に合ったトレード方法を見つけるため、実践でトレーニングを積みましょう」

インタビュー日◎2023年3月6日

Editor’s Note3-1|生ける伝説、ラリー・ウィリアムズ

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ラリー・ウィリアムズは、1987年のロビンスカップにおいて資金を113倍に増やすという圧倒的な成績で優勝した伝説的なトレーダーといっていい存在です。このときの記録は今も破られていません。テクニカルを主体にしたいくつかのトレード手法が有名で、1997年には、娘のミシェル・ウィリアムズが同様の手法でロビンスカップで優勝しています。

Editor’s Note3-2|日足と4時間足のマルチタイムフレーム例

日足と4時間足のマルチタイムフレーム例
チャート提供:TradingView

マルチタイムフレームの考え方の例です。バカラ村さんにインタビューをした2023年3月6日は、日足が上昇していたため、1つ下の時間軸である4時間足で押し目買いのチャンスを狙っていきます。ボラティリティがあり、相場の流れが明確になっている2022年以降は、こういったトレンドを追いかける考え方が有効です。

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FX「外国為替」編集部
FX「外国為替」編集部。たくさんの投資家の人生が、FXのおかげでほんの少し豊かになる—。そんな未来を目指して2022年8月に『外国為替』を創刊。雑誌は全国の書店およびAmazonで発売しています。
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