光陰矢のごとしとはよく言ったもので、2024年もあっという間に終わろうとしています。
今年のドル円は最高値が161円を超えた一方、1か月で20円もの円高となるなど、上下動の激しい1年となりました。外国為替編集部が、2か月ごとのチャート分析を基に、2024年のドル円を振り返ってみました。
本文◉外国為替編集部
2024年のドル円相場総まとめ

ドル円は2023年末にかけて140円台まで下落しましたが、2024年1月に日本国内で起こった震災や米国の強い経済指標で金利差縮小観測が遠のき、円安の流れが再燃することに。3月19日に日銀がマイナス金利解除を発表してもその流れを変えるには至らず、4月29日に約38年ぶりの水準となる160円台に到達。為替介入も一時しのぎにしかならず、6月28日には161円をつけました。
しかし、7月為替介入以後の日米要人発言、さらに月末の日銀の利上げ発表、米国利下げ観測で、今度は急激な円高へ。9月中旬に一時140円台を割り込み、自民党総裁選でも大きく円高へ振れましたが、10月衆院選後の政治不安や11月の米大統領選でまた円安に。
トランプ氏が大統領選で圧勝後、ドル円は156円まで上がりましたが、日銀の利上げ観測や数々の地政学的リスクから、12月6日現在に至るまで円高へ向かっています。2024年は、円安をもたらした日米金利差の縮小に向けて歩み始めた年でした。
1/2月 年始から円安の流れが再燃

この期間の主な出来事
●令和6年能登半島地震(1月1日)
●日本の名目GDPがドイツに抜かれて世界4位に後退(2月15日)
元日の震災が日本経済にもたらしたネガティブな影響から、日銀が政策金利の緩和路線を継続すると見られ、2024年は円安スタートとなりました。2月上旬に米国の早期利下げ観測が後退したことでさらに円安が進み、2月後半にはポジション調整も入って相場が落ち着きましたが、円高方向への推移は見られませんでした。
3/4月 小さすぎた利上げが円安助長

この期間の主な出来事
●ロシア国内で銃乱射テロ(3月22日)
●韓国総選挙で最大野党「共に民主党」が大勝(4月11日)
3月19日、日銀はマイナス金利を解除しましたが、それでも金利は0.1%。植田総裁の会見では追加利上げにも消極的な姿勢が見られ、日米金利差が開いた状況が長く続くとの見方が市場に広がりました。その結果、円安はかえって進行することとなり、4月29日にはドル円が38年ぶりの水準となる160円に到達しました。
5/6月 為替介入を踏み台に161円へ

この期間の主な出来事
●トランプ元大統領、大統領経験者初の有罪評決(5月31日)
●天皇皇后両陛下が英国訪問(6月27日)
4月29日、5月2日と二度に渡って日銀は為替介入を行い、160円を超えたドル円は一時151円台まで急落。しかし円安の根本原因である日米金利差は縮小しておらず、途中で下落を挟みながらも程なくして戻され、ジリジリと円安は持続しました。その結果、6月28日にドル円は4月高値を上回る161円台に突入しました。
7/8月 140円割れを境に円高が反転

この期間の主な出来事
●トランプ元大統領暗殺未遂事件(7月14日)
●パリ五輪開幕(7月26日)
●日経平均株価大暴落(8月5日)
7月11日に日銀が今年3度目となる為替介入を行いました。このときの介入以後は日米要人の発言で金利差縮小が示唆され、円高が急激に進みました。この円高ドル安の進行に加え、米国の景気後退懸念を背景とした世界的株安で、8月5日は日経平均株価が4451円下落し、ドル円も5円近く下落するなど、歴史的暴落の日となりました。
9/10月 140円割れを境に円高が反転

この期間の主な出来事
●自民党総裁選で石破氏勝利(9月27日)
●衆院選で与党の自民、公明の議席が過半数割れ(10月27日)
9月のFOMCで米国は利下げ幅を0.5%に拡大すると見られ、ドル円は一時140円台を割り込みました。自民党総裁選で石破氏が勝利して1日に3円の下落があったものの、石破氏の利上げに消極的な姿勢や、強い雇用統計による米国利下げ観測後退、10月衆院選後の政局不安に押され、円安の流れが戻ってきました。
11/12月 相次ぐリスク回避で円高へ

この期間の主な出来事
●米大統領選でトランプ氏勝利(11月5日)
●ロシアからウクライナへICBM発射(11月21日)
●韓国で非常戒厳令が宣布される (12月3日)
11月5日に行われた米国大統領選挙は、ハリス氏との接戦が繰り返し報じられてきた中、トランプ氏が圧勝し、ドル円は156円まで上昇しました。ところが、トランプ氏の関税圧力や、ウクライナ情勢をはじめとした地政学的リスクによる円買い、日銀の12月利上げ観測などで、12月6日時点のドル円は150円台になっています。