業界をリードするFXトレーダー、インフルエンサーが自由に議論を交わす中で、現在進行形の為替相場を立ち回る上での有益な情報を抽出して皆さんにお届けする企画です。
第2回は複合テーマで、ともにインヴァスト証券でトレードが可能なメキシコペソ円と、米株CFDについて、それぞれ識者の見解をお願いしました。
テーマ① 年内、年明けの戦略は？メキシ児山さんにペソ円取引を聞く
今号の有識者1
児山 将（こやま しょう）氏プロフィール
投資歴15年の兼業投資家＆メディアディレクター、コンテンツマーケッターとして活動中。株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドのプロデューサーを務める。主にFXデイトレ・仮想通貨・CFDで225をトレード、新NISAはFANG+と米国株。テクニカルよりもファンダメンタルズ派。
鹿内 武蔵（しかうち むさし）プロフィール
国内唯一のFX定期刊行物「外国為替」の編集長。元「FX攻略.com」副編集長&投資ライター。多くの成功しているトレーダーや証券会社への豊富な取材経験を生かし、公正かつ独自性が高い誌面作りをモットーとしている。個人投資家としては、トラリピやEAを中心に、いろいろな自動売買を運用中。
ペソ円の大きな下落を招いた強引な法案可決の混乱
鹿内 ペソ円は中級者以上に意外にも人気がある通貨ペアなので、「メキシ児山」の異名がある児山さんと、攻め方を考えていきます。
児山 よろしくお願いいたします。まず2024年秋のメキシコペソの状況を見ていきましょう。
鹿内 新大統領になるんですよね。
児山 はい。現職のオブラドール大統領の路線を引き継いだ、シェインバウム新大統領が、10月1日に誕生しています。
鹿内 ただ、司法制度改革案が9月11日に可決されました。
児山 実際この法案は評判が悪いです。米国の駐メキシコ大使は「民主主義へのリスク」とはっきり述べています。デモ隊が議会に突入するような状況で強引に可決されたため、強いペソ売り要因となりました。
鹿内 その混乱が7月から8月上旬にかけての円高相場に続く形となり、ペソ円は大きく下げたわけですね。
児山 そうなります。法案が可決された日には8月安値を割り込み、7.00付近まで下げました。しかしこの時点で悪材料は一通り出尽くし、ペソ円は下げ止まっています。
来年に向けては上目線、トランプ氏当選ならプラス
鹿内 続いて、年末から来年どうなるかですよね。チャート的には押し目をつけたように見えますが。
児山 私も基本は上目線だと思っています。たしかに司法制度改革案は悪材料ですし、シェインバウム新大統領が次に着手すると見られている社会保障給付、インフラプロジェクトへの公共投資や年金・奨学金などの拡充にともなう福祉政策などは、財政赤字懸念があります。ただメキシコ経済を根底から揺るがすほどではありません。
鹿内 なるほど。それと、ペソ円は秋は上がる傾向がありますよね。
児山 はい。10月、11月はここ10年の平均では上昇しています。
鹿内 トランプ氏が米国大統領になった場合はどうなるでしょうか。
児山 前回大統領だったとき、トランプさんはイメージほどメキシコにとってマイナスになることはしてないんですよ。壁は作ったものの、高い関税は課しませんでした。むしろ高関税の対象は中国でした。
隣国の米国経済の成長、株価上昇でメキシコは恩恵を受けるという、地政学的メリットのほうが大きいでしょう。
損切り狭めの分割エントリー、スワップ無関係の短期戦略
鹿内 ペソ円といえば、買いスワップを狙うトレードが有名ですが、児山さんは短期的なトレードもお得意だとか。
児山 そうですね。損切りは1銭くらいとタイトに設定し（ドル円の15銭くらいの値幅イメージ）、最初から全力で入らずエントリーを3～4回に分割します。
鹿内 短期トレードということは、スワップは関係ないですね。
児山 はい。メキシコペソ円は、NY時間が一番動きますが、それまでの東京時間、ロンドン時間で利が乗っていれば、欲張らずに決済します。日またぎしなければ、スワップポイントは関係ないですからね。
ペソ円で面白いのは、ドル買い、ドル売りどちらになっても、ペソ円が買われやすい地合になることがあるんです。有力な経済指標の発表直後なんかには、この展開が多いです。それと、メキシコの政治と中央銀行のイベントは事前把握が必須です。
メキシコペソの足元は？
●現職のオブラドール大統領の政策を引き継ぐシェインバウム氏が新大統領に
●評判がよろしくない司法制度改革法案が可決された
●この夏に円高が進んだ
●これらからメキシコペソ円は大きく下落したものの、材料出尽くしで反転開始
年末から来年に向けたメキシコペソの展望
【2024年】
●過去10年のデータでは、メキシコペソ円は10月と11月は上昇しやすい。
【2025年】
●米大統領選の結果にもよるが、基本はポジティブ。
●トランプ氏が当選しても、イメージほどメキシコペソにとってダメージはない可能性も。
●米国の経済成長が株高を牽引し、ペソ高の流れへ。
児山さんのペソ短期戦略
●3～4回に分けての分割エントリー
●損切りを1銭程度に抑える短期売買
●米株を見つつ、流れに乗る
●短期売買なのでスワップは気にしない
●NY時間が大きく動く。東京時間、ロンドン時間で利益が出ていれば利食いOK
●メキシコペソ円が上がりやすい局面を狙う
テーマ② 買い目線を意識するhanaさんの株価指数CFD取引
今号の有識者2
テクニカルトレーダーhana氏プロフィール
CFD、FXが主戦場の専業トレーダー兼Fincsアドバイザー。hana塾で累計2000人以上の【自分の頭で考える】トレーダーを育成。鋭いテクニカル分析・分かりやすい指導に定評がある。日々、完全初心者でも根拠のあるトレードができるような情報を発信中。
CFDとFXは実は同じ仕組み
外国為替での連載だけではなく、テクニカルトレーダーとして多方面で活躍中のhanaさんに、CFD取引の秘訣をいろいろ教えてもらいました。
「CFDというと聞き慣れない金融商品に感じるかもしれませんが、FXもその一種です。幅広い銘柄に対してレバレッジ取引ができるのがCFDで、私は特に米国の株価指数を得意としています」
株価指数とは、日本でいえば日経平均株価、米国ならダウ平均株価やS＆P500指数のように、その国の主要な企業の株式価格を平均化し、数値にしたものです。
「FXは通貨と通貨の相対的な強弱でレートが変動しますが、株価指数CFDは株価の上下で変動します。CFDはFX同様に売りからでもトレードを始められるので、フラットな目線でロングもショートも仕掛けられるのはメリットですね」
買いのタイミングこそ重要、暴落も買いチャンスになる
「株価指数は経済の発展と連動しますから、長い目で見れば買いに優位性があります。リーマンショックやコロナショックのような暴落局面が訪れることもありましたが、結果論とはいえ、後から見れば買いを入れるチャンスでもありました」
hanaさんは米株指数の中でも、ナスダック（インヴァスト証券の場合、米国NQ100が該当）が、上昇トレンド発生時に強い動きになりやすいため、狙いやすいとのことでした。
「現在発生している上昇トレンドは、200SMA付近の出来高が分厚くなっており、ここを割り込まないうちは買い目線で良いでしょう。このラインを明らかに割り込んだら、作戦変更を検討しましょう。
米株は今の時点でかなり上昇しており、割高感があるようにも感じられます。大統領選や景気後退懸念の行方次第では大きく下がることもありえますが、私は常に『暴落は買いのチャンス』と考えて相場に向き合っています。『いつか』上がるのであれば、『いつ』買うかが重要です。しっかり長期で上昇トレンドを形成しているナスダックを『安いところで買い、高いところで売る』ことをしっかり意識してトレードしていきましょう」
買い戦略が主体となる株価指数CFD
CFDとはFXも含む差金決済取引のこと
CFDとは差金決済取引の意味で、実はFXもCFDの一種ともいえます。インヴァスト証券のトライオートCFDでは、米国、日本、イギリス、ドイツの株価指数を取引できます。hanaさんがもっとも得意とするのは、米国の株価指数となります。
株価指数は長期的には上目線でOK
株価指数は、その国の主要な企業の平均株価が基になっています。上のラインチャートは、米国の代表的株価指数であるダウ平均株価で、一時的な下落を挟むも、長期的上昇は明らかです。よって株価指数は、買い戦略が主体となります。
hanaさんが得意とするナスダックは200SMAがカギ
hanaさんが米株価指数の中でもプッシュするのがナスダックで、トライオートCFDでは米国NQ100が該当します。上の日足チャートで青い線で示されている200SMA（期間200の単純移動平均線）がサポートになっているため、この位置関係が続くかぎりは買い優勢となります。2023年10月、2024年8月にこのライン付近まで下げましたが、どちらも反発して上昇トレンドに回帰しています。
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