驚異的なスキャルピングの投資成績と、朴訥とした語り口で圧倒的な人気を獲得しているジュンFXさん。
インタビューを通じて、投資を始めてから今に至るまでのストーリー、そしてスキャル成功に不可欠なエッセンスを語っていただいた。
聞き手◉鹿内武蔵/本文◉北原拓実
ジュンFXさんの億トレまでの軌跡
FXに挑戦していろいろな手法を試すもののうまくいかず
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一度FXから離れ、ポーカーを通じて対人戦特有の心理を学ぶ
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大いに進化した取引環境を目の当たりに、スキャルピングに本格参戦
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アベノミクス、2022年の円安相場のような大相場で特に稼ぐ
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億を稼ぐスキャルパーとして不動の人気
値動きに注目し始めて勝てるようになった
─スキャルピングを武器に、億トレーダーとなったジュンFXさんですが、まずはどんなきっかけでFXを始められたのかを教えてください。
勤めていた会社の労働時間が長く、給料も少なかったので、「何か金儲けできる方法はないかな」と友人と話したときに、その友人が「株をやる」と言い出して、私も何か投資をしようと思いました。当時はキャリートレード全盛期で、インターネットで調べるとFXが出てきて、書店にもFXの本ばかり並んでいる環境だったので、それらを見てFXを始めたのがきっかけです。
明確にいつ始めたのかは覚えていなくて、リーマンショックのちょっと前の2008年くらいからだと思います。
始めてからはなかなか勝てなくて、あらゆる商材や書籍、セミナーを試してみたのですが、それでも勝てなかったです。それで「素人は勝てないよね」と思ったときに、投資顧問会社に入った知り合いが教えてくれた商品先物のサヤ取りで250万円くらい失って、プロの情報でも損失を出すんだなと分かって、FXに真剣に向き合い始めました。
─FXに向き合い始めてから、今のようなスキャルピングスタイルに固定されたのでしょうか。
私が始めたころはドル円のスプレッドが3銭くらいで、さらに手数料もかかるFX会社でやっていたので、デイトレードをしていました。スキャルピングという発想はそもそもなかったです。
そこからYouTubeで為替鬼さんのスキャルピング動画を見て、「こんなことができるんだ」と。それからブログを転々としながらスキャルピングの情報を集めていきました。インジケーターのパラメーターをいじってみるなど、いろいろな方法を試してみましたが、勝てるようにはならなかったですね。
─今考えて、当時はうまくいかなかった理由はなんだと思いますか?
正解があると思っていたことが一番の原因ですね。勝ち方さえ分かれば、お金が増えていくと考えていました。目の前の値動きを追うよりも、インジケーターが示していることを追いかけてしまったのが一番ズレていたと思います。
当時の商材や書籍には「このインジケーターはプロだと何分足で、この設定にすることで勝っています」みたいな内容がほとんどで、プロがやっている方法にコバンザメのようについていかないと勝てないみたいに書かれていたので、真に受けていました。
ポーカーを通じて人間の心理を学んだ
─インジケーターにとらわれている状態から、値動きに着目するようになったきっかけを教えてください。
なんで負けているのかも判断できなかったので、根本的に何かズレていると思い、2年くらいFXから離れました。そのときにFXだけやっていてもダメだと考えて、共通している部分があるかもしれないとポーカーや麻雀を始めました。麻雀は性格的に向いていなかったので、ポーカーだけに絞って続け、なんとなく勝ち方も見えてきたところでFXに戻りました。
一度FXから離れた時期は、FXブロードネットがドル円スプレッド0.3銭の先駆けで人気があって、約定ボタンをクリックして3秒くらい待ってから約定する環境でした。
それでFXを再開した際にGMOクリック証券のデモトレードをやってみましたが、約定ボタンを押した瞬間に約定するし、スプレッドも0.3銭なので衝撃を受け、「これは勝てるのでは」と思いました。値動きを追いかけるようになったのはそれからですね。それで勝ち方が分かってきたと思えるようになったときに、2013年のアベノミクス相場になって、本格的に勝てるようになりました。
スキャルピングの入り口は為替鬼さんの動画で、値動きを追いかけだしたきっかけはGMOクリック証券の注文の速さですね。
FXの本には「逆行したらすぐに損切りしろ」と書かれていますが、それで勝つのは難しいです。エントリーポイントが分かっていたら、損切りポイントも見えてくると思います。そこが分かっていなかったら、損切りが遅れてしまったり、一番やってはいけないポイントで損切りしてしまいます。本に書いている内容は全部無視して、なんとかポジションをプラスにする気持ちでやりました。
当時は、エントリーから20pips逆行したら全て損切りするルールでやっていましたが、そのうちにポジションを取ったら利益になるポイントが分かってきて、そのポイントでしかトレードをやらなくなりました。そのポイントが当時は一日に何回も来ていましたね。アベノミクスの大相場だったからだと思います。
─明確なトレンドがあるときの方がそのポイントは来やすいですか?
そう思います。普通の動きだと人の心理は揺さぶられないんですよ。値動きも理屈通りに動きやすくて、僕みたいなトレーダーが勝てる動きにならないです。歪みや偏りが大きくなるところにチャンスがあると思います。荒れ相場だと、値動きに特徴が出やすくなるので。
ポーカーで学んだことですが、一番有名なテキサスホールデムというルールだと、場にカードが出ていて、ゲームが進んでいくうちに相手の持っているカードが絞れてきます。相手のカードが明らかに強くて、自分のカードが弱いと分かったら誰も勝負しにいかないから、賭けが成立しないですよね。反対に、自分のカードが強いと判断したら勝負しにいくので、賭けが成立します。人は自分が勝てる希望がないと動かないんですよ。
FXのブレイクアウトも同じで、ブレイクした後はもう勝負がついているんです。まだ勝ち負けが決まっていない状態のときに、勝つ方に賭けないと旨味はないのに、ブレイクした後にエントリーするのは負け側に乗ろうとする行為になると思うんですね。
まだ「このラインで跳ね返りそうだからエントリーしたい」と思っている人間がいるポイントを狙って、勝つ方に賭けていくべきだと思います。買い方と売り方のどちらの方が期待値が高いのかを判断するには、チャートパターンやテクニカル指標を利用します。
よくブレイクした瞬間にエントリーしようとする人もいますが、既に動いているので、エントリーしようとしてもレートの動きが速すぎて不可能です。ブレイクアウトして、損切りをする人が多くなる前にエントリーをしておくべきです。
─ポーカーでヒントを得たのは面白いですね。対人ゲームがもともと好きなのですか?
対人ゲーム自体は嫌いなんですが、FXのヒントがあると思ったので、FXと近い部分はどこかを考えながらやっていました。
当時のFXの書籍には、順張りと損小利大、リスクリワードばかりが書かれていたのですが、ポーカーの本には本当の勝ち方が書かれていると感じたので、もしかしたらFXと近いものがあるのかなと。
あと、博打が強い人間は何の博打も強いんですよ。賭け事に強い友人がいて、どの賭け事をやっても最終的に勝つので、そこに何かヒントがあると考えたんです。FXだけだと見えてこないので、ポーカーや麻雀でFXと共通する部分を見つけようとしました。
私的には対人ゲームは勝つと罪悪感がありますし、負けると腹が立つので、メンタル的に相手の顔が分かるものはやりたくないんです。FXは誰が相手か完全に分からないので、対人ゲームよりも楽ですね。
テキサス・ホールデムはどんなポーカー?
日本でポーカーというと、最初に5枚ずつ手札が配られ、チェンジ後に手札を公開し優劣を競うタイプを思い浮かべる方も多いはずだが、米国のカジノではテキサス・ホールデムポーカーが主流。
各プレイヤーごとに配られる2枚の手札と、コミュニティ・カードと呼ばれる全プレイヤーが見られて、手作りに利用できるカード(最大5枚)を組み合わせる。通常は2人から10人で行われ、日本でも人気が出てきている。
動画配信に対するプレッシャーはない
─ジュンFXさんはYouTubeで動画配信もされています。視聴者の中で上手になっている人はいますか?
本当に上手になっているかを判断するのは難しいですね。例えば、2013〜2016年にFXをやっていた人はその後のコロナ相場で勝てなくなって、多くの人が消えていると思うんですよ。現在は利益が出ている人も、これから相場が変わっていけば同じように消えていくとは思いますが、その人たちは今の相場での勝ち方はつかんでいると思います。
─動画配信などの人に伝えていく活動を積極的に行っていますが、どのような意図があって配信をしているのかを聞きたいです。
勝てない時期を経験しているので、勝てるようになってもいつまでも勝てるとは考えていなかったですし、配信を始めた当時はこんな大相場が来るとは思っていなかったです。業者の凍結問題もあったので、秒スキャは先細りだなと思っていました。
自分が発信力のあるうちに発信しておこうかなという半分下心ですね。「今は勝てないけど、昔は勝てていました」と言っても、誰も聞いてくれずにそのまま消えていくと思ったので、勝っているうちに発信しておきたいと思い始めました。
ただ、2020〜2021年の2年連続で想像以上に勝てたので、これなら動画に時間を割くのは無駄と思い、情報発信はいったん止めていました。
今年も勝てていて、情報発信をやる意味は特にないのですが、私もセミナーさせていただいた「FXコレクティブ2022@大阪」は盛り上がりましたね。
─そのセミナーで私も学ばせていただきました。配信にはプレッシャーもあると思いますが、その辺りはいかがですか。
例えば、ひろぴーさんがYouTubeでトレードバトルをやっていますよね。わざわざ出ないですが、仮に出て負けても、ヒロセ通商に2020年の8月くらいに登録して、ずっと勝っているので、トレードバトルに1回負けただけで実力が判断されないと思います。
今まで積み上げてきたものがあるので、プレッシャーはないですね。利益を落とし続けたことはなく、緩やかな右肩上がりの収益を続けているので、今さらスキャルピングの実力を疑う人はいないと自分では思っています。
─使っている口座とライフスタイルについてもお聞きしたいです。メインで使っている口座はヒロセ通商ですか?
そうですね。ヒロセ通商などを使っていて、使用している口座を全て合わせて、1億円くらいの証拠金で運用しています。
ライフスタイルでいえば、8時前くらいに起きて、子守りをしてから9時前にトレードを開始します。11時くらいにトレードをいったん止めて、16〜17時に再開し、19時くらいに終わらせますが、最近は相場が動いているので、もっと長く続けています。
その後は指標発表があれば22時30分、指標発表がなければ23時30分からまたチャートを見始めます。1時にロンドンフィックスの動きを見て、1時すぎに就寝ですね。NYの始まりを見て、ロンドンフィックスで終わるイメージです。
勝っている人が多いからスキャルピングがお勧め
─ジュンFXさんはスキャルピングを得意としていますが、スキャルピングがベストな理由を教えてください。
私の周りのトレーダーはスキャルピング、長くてもデイトレードの人が多いです。スイングトレードで勝っている人はほとんどいなくて、もっと長い期間のトレードで勝っている人はさらにいません。それだけスキャルピングで勝っている人が多いということは、スキャルピングは難易度が低いと思うんです。
実際に、YouTubeなどで「勝っている」と言っている人はたくさんいますが、本当に勝っているかは誰も分からないですよね。でも、スキャルピングならGMOクリック証券の「トレードアイランド」やヒロセ通商の「リアルトレードランキング」で本当に勝っている人かどうかが分かりやすいと思います。
トレードランキングのあるFX会社
例えば、スイングトレードで勝っている人が周りに1人しかいなくて、自分がその2人目になるのと、スキャルピングで勝っている人が周りに100人いて、自分が101人目になる場合のどちらが成功する可能性が高いかを考えてみてください。2人目になるよりも101人目になる方が可能性は高いですよね。
よく「スキャルピングは難しい」と言っている人もいますが、1時間先よりも10分先、1分先の値動きの方が分かりやすいし、期間が長くなるほど不確定要素が入ってきます。短期トレードと長期トレードのどちらが難しいかを考えると、明確だと思います。もちろん、スキャルピングがベストとは言わないですが、周りに勝っている人が多いので参考にしやすいという面を考えると、やはりスキャルピングがお勧めです。
─勝っている人を参考にする方が良いですよね。ちなみに感覚的にはどのくらいの値幅が取れると満足しますか。
現在みたいに大きく動いている相場だと、毎日30pips取れれば良いと思います。反対に動いていないときは5pips取れれば良いかなと。
相場状況によってボラティリティやエントリー回数も全く違います。動いている相場はいつでもエントリーできますが、動いていない相場は市場の始まる時間や、高値、フィックスをどう取るかで成績が左右されるので、いかに落とさないように取っていくのかを考えたら平均で5pipsくらい取れれば良いかなと思います。
今の相場はボラティリティがあるのでチャンスは非常に多いと思います。この相場はしばらく続くと思いますが、動かないようになればブレイクアウト後の伸びもなくなるので、全体的に難しくなり、負け始める人も多くなると予想しています。
─スキャルピングが向いている人、向いていない人はどんな人だと思いますか?
一番向いていると思うのは時間が取れる人ですね。あとは、同じ時間帯の傾向を見ることが大事なので、毎日同じ時間を監視できる人です。そして、せっかちな人。
向いていない人は真面目な人。そもそも真面目な人はFXをする必要がないと思います(笑)。そしてチャレンジできない人ですね。秒スキャはブレイクアウトをする前に旨味がありますが、まだブレイクアウトをするかしないかが分からないポイントでエントリーするのはある程度のリスクがあるので、チャレンジできない人だと難しいと思います。
また、スキャルピングで勝つためには口座選びが超重要です。スプレッドの狭さ、約定力の高さが非常に重要なので、スキャルピングを始める前に各FX会社のスペック面を確認して、スキャルピングに向いている口座を使いましょう。
ジュンFXさんが使っているFX会社
─最後にこれからスキャルピングを始める人に向けて、成功するためのアドバイスをお願いします。
今は情報があふれているので、本当に勝っている人を探せます。勝っている人の真似をするのが勝てるようになる近道です。自分で考えるのも良いですが、今まで考え続けてきた結果が今のトレードに出ています。今のトレードは間違っているなと感じるなら、成功している人から学ぶことが近道になります。
私自身もスキャルピングで成功している例を見てスキャルピングを始めて成功できたので、周りの人が誰もうまくいっていない方法で成功を目指すよりも、成功している人たちの情報を参考にした方が簡単だと思います。
そして、勝つためには手段を選んではいけません。恥をかきたくないけど勝ちたいみたいな甘い世界ではないので、思いつくことは何でもやるべきです。まずは「億トレーダーになりたい」「専業トレーダーになりたい」と声をあげることが大事だと思います。積極的に意思表示をしていくと覚悟が決まりますし、その環境の中でやれること、思いつくことは何でも手を尽くすと道が開けるのではないでしょうか。
インタビュー日◎2022年11月9日
ジュンFX 億トレへの道まとめ
【1】FXにはインジケーターの設定、トレードのタイミングといった、ただそれだけで完結する固定された勝ち方はない
【2】ボラティリティが高い方が、スキャルピングは圧倒的に勝ちやすい
【3】歪みや偏りが多くなり、買いと売りが交錯するポイントに勝機がある
【4】実際に周りに勝ち組がたくさんいる手法やスタイルを選ぼう
【5】時間を確保し、毎日同じ時間帯を追えて、何よりチャレンジできる人がスキャルピングに向いている
【6】スキャルピングで勝つためには、口座選びは超重要。スプレッドと約定力は必ずチェック
【7】「自分はFXで稼いで億トレーダーになりたい!」というように、意思表示することが大切
ジュンFXさんが使っているFX会社
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)