投資家の中には、大きく分けてファンダメンタルズ派の方とチャート分析派の方の2パターンのスタイルがありますが、私は圧倒的にチャート分析に主軸を置いてトレードを行っています。
今回は、チャート分析で私が利用しているインジケーターや、トレードの詳細をお伝えしていきたいと思います。
本文◉陽和ななみ
三角保ち合いの上放れで買いエントリー
前回お伝えしたように、ドル円相場は日米の金利差を主な背景とし、2017年から続いてきた三角保ち合いがついに上放れました。115円前後を推移した後、2022年3月に高値を更新し上昇の勢いが加速していきます。2022年3月11日、116.340円に仕込んでいた逆指値の買い注文が成立し、この大波への挑戦が始まりました。
基本的に見ているインジケーター
私が常にチャートに表示しているインジケーターは、師匠の小次郎講師が推奨している移動平均線大循環分析と大循環MACDです。移動平均線大循環分析では、期間5・20・40の3本の移動平均線に約1年のトレンドの方向性を表す200日移動平均線を追加し、全部で4本の移動平均線を表示。移動平均線の種類は、指数平滑移動平均線(EMA)を使用しています。
そして、大循環MACDでは3種類のMACDを使って移動平均線の各線の間隔を表示し、トレンドの勢いを意識して見ています。
3本の移動平均線の並び順と傾きに注目
移動平均線が上から短期(5)、中期(20)、長期(40)の並び順で、その3本が右肩上がりになっているときは上昇トレンドと判断し、できるだけ買いポジションを継続して利益を伸ばすことを優先します。
勢いのある上昇トレンドでは、価格は高値をどんどん更新しながら続伸していきます。そのため、前回の高値や何度か抵抗を受けた高値をブレイクするときには逆指値の買い注文を活用し、新規エントリーや増し玉のポイントにしています。
最初の仕掛けを行った上昇トレンドは2022年7月下旬まで続き、途中で買い増しや利益確定をしながら、合計約1450pipsの利益を獲得できました。この時点で116円から139円まで上昇しており、ここ数年では考えられなかったようなボラティリティだったことが分かります。
この上昇トレンドの押し目の際、試し玉として少なめのロットで売りポジションを作りましたが、トレンドが転換することはなく約200pipsの損切りを行っています。損切りすることがあったとしても損はできるだけ小さく抑え、その代わりトレンドができたときには利益を伸ばすことに注力するので、1回1回の損切りは気にしないようにしています。
その後、8月中旬に再度上昇トレンドが復活します。再び移動平均線が上から短期・中期・長期の並び順で、3本とも右肩上がりになっていることを確認し、買いでエントリーしました。
高すぎる、安すぎるという値ごろ感を排除
それまで105円前後で動いていたドル円が、あっという間に130円、140円と上昇していけば、当然もう高すぎるのではないか、これから下がるのではないかという気持ちが生まれます。ですが、トレンドは継続しやすいという性質を持っています。過去の値動きを見ると、2016年から2017年にかけて約20円の円安相場があったり、その前の2015年から2016年にかけて約26円の円高相場があったりと、「動くときは動く」のです。
このことを心に留め置き、値ごろ感を持たないようにしてチャートに素直についていくことを意識しています。
トレンド終了のサインが出るまで持ち続ける
動くときは動く相場も、いつかは終わりが来ます。この終わりのサインが出るまでは手仕舞いしたくてもグッと気持ちを抑え、利益確定のポイントを見極めます。ここまでトレンドが大きく育つ機会はそう多くないので、この相場を取れるかどうかが勝敗の大きな分かれ道になりますよね。上昇トレンドの終了は、「移動平均線の並び順が崩れる」「高値を更新しなくなる」「長い上ヒゲが出る」などを頼りに判断することが多いです。今回は10月につけた149.151円で全ての買いポジションを決済し、その後の下降トレンドでの売りも含め、3100pipsの利益確定となりました。また機会があれば、売りのトレードについてもどこかでお話しできたら嬉しいです。
FX雑誌「外国為替」vol.13
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