コピトレに手を出す人がなぜ後を絶たないのか
2024年8月上旬、この号の校了目前のある平日、X上でとある業者?が飛んで、コピトレで大損したというポストが拡散されました。いやいや、待ってくれよと。ツッコミどころがあまりに多くて。
まずコピトレ(コピートレード)とは、サービス提供者と投資家の口座を連動させ、前者が行ったトレードが、後者の口座にコピーされるように行われるサービスを指す言葉です。ミラトレ(ミラートレード)も同じような意味合いで使われます。まずこの段階で、他人の資産を運用していることは明白で、金融ライセンスが確実に必要になります。どういったタイプのライセンスが必要かは、いろいろな解釈も入ってきますし、内容的に難しいのでいずれこの雑誌でちゃんとした特集を組もうと思っています(僕も勉強します)。
そのポストを見るに、わけの分からない無免許の海外FXへ誘導された上で大負けしています。ちゃんとした金融ライセンスを持っている業者が、金融庁無登録の海外FXに誘導するわけがないですよね。日本に住んでいる人にサービスを提供するのに、日本のルールを守る気は毛頭ないことを全力でアピールしています。
道に落ちているバナナを拾い食いして、お腹を壊して文句を言っているのとレベル的には同じです。最初からルールを無視したスキームにお金を投じて、案の定持ち逃げされて騒いでもね。
ただ、個人投資家がどんなスキームに加担しようと自由です。無免許の海外FXでトレードをしても、使う側が罰せられることはありません。ただ、コピトレになぜ手を出すんだい?というのが正直な気持ち。だって、トレード上手くならないですよ。勝ったときは「お金が増えて嬉しい」で構わないんですが、負けたときに敗因が全く分からないから、自分のレベルアップに1ミリもつながりません。
コピトレみたいな人に任せるタイプの資産運用は、十分にお金を持っていて今さらトレードスキル向上に興味がない成功者がすることです。これからトレードを上達して、資産を増やしていこうという発展途上のトレーダーが手を出すのは間違っています。
思うんですが、お金をたくさん持っていることってそんなに偉いですか? 貧乏は恥なんですか? それぞれのライフスタイルに応じて必要な金額があり、足りなければ時間をかけてその乖離を埋めていけばいいんです。あわてて一撃でお金持ちになろうとするから、わけの分からん詐欺的トラップにハマることになるわけです。
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)