今年の夏で創刊1周年を迎えたFX専門誌『外国為替』として、はじめての超初心者向け企画です。FXの定義を知り、どういったメリットやデメリットがあるかを知ることが、未来の勝ち組への第一歩となります。
本文◉石井僚一
①FXの正式名称は外国為替証拠金取引
FXの正式名称は「外国為替証拠金取引」であり、外国為替を証拠金で取引するものです。外国為替とは、円や米ドルなど各国の通貨の交換を意味します。よってFXとは、各国の通貨を証拠金(詳細後述)を使って交換する取引となります。
もう少し具体的にイメージしてみましょう。例えば米国へ海外旅行に行くとき、カード決済が普及したとはいえ、ある程度の現金(円)を事前に米ドルに両替して持って行く人がほとんどです。そのときの米ドルと円の交換レート(為替レートと呼ばれます)が1ドル100円なら、1万円は100ドルに両替できます。しかし米国に旅行したものの、現地ではカード決済ができて現金を全く使わなかった場合、日本への帰国後に米ドルは再度円に両替が必要です。その際の為替レートが1ドル120円の場合、当初の1万円は1万2000円となり2000円の利益が出て、1ドル80円の場合は8000円となり2000円の損失となります。
最初に通貨の両替を行った後、再び元の通貨に両替を行うと、為替レートの変動で利益や損失が発生します。こういった一連の通貨の両替で利益を上げようとするものがFXです。
②通貨の交換のため二つの通貨を同時に売り買いする
株式の取引は、株式を購入して価格が上がった後に売却して利益を得ようとするものです。一方で、FXは通貨の交換で利益を得ようとするものです。購入と交換というのが、両者の大きな違いとなります。例えば、円と米ドルの交換を考えてみましょう。円から米ドルへの交換は「円を売って米ドルを買うこと」を意味します。株式購入の場合は、単純に現金による株式の「買い」だけを意識すればよいですが、FXは円の「売り」と米ドルの「買い」がセットです。
逆に米ドルを円に交換する場合は、米ドルを「売り」円を「買う」必要があります。このようにFXは通貨単独の取引ではなく、一方の通貨が「買い」なら一方の通貨は「売り」であり、二つの通貨の「売り」と「買い」で1セットです。そして、このセットは「通貨ペア」として用意されており、FXはこの「通貨ペア」が取引されます。
③取引できる通貨ペアはドル円だけではなくユーロドルなど多数
先ほどの通貨ペアの例では米ドルと円の交換、すなわちドル円という通貨ペアの例を取り上げました。ただし、世界中にはさまざまな通貨が存在します。米ドル、円の他にはユーロ、豪ドル、英ポンド、カナダドル、スイスフラン、NZドルなどの先進国通貨に加え、メキシコペソ、南アフリカランド、トルコリラなどの開発途上国の通貨もあります。ドル円以外にもユーロドルなど多くの通貨ペアが存在しており、FXではそれらも取引可能です。
なお、世界で最も取引されている通貨ペアはユーロドルで、第2位はドル円となります。3位以下も米ドルと交換される通貨ペア(ドルストレートと呼ばれます)がほとんどです。国内FX会社ではユーロ円など円と交換される通貨ペア(クロス円と呼ばれます)の取引が多いものの、為替市場全体から見るとユーロ円、豪ドル円などの取引は非常に規模が小さいといえます。
④証拠金取引についてしっかり理解しよう!
次に証拠金取引について解説します。株式などの金融商品に限らず、モノを購入する場合は、基本的に現金との交換となります。しかし証拠金取引は、現金で直接対象物を購入するわけではありません。取引業者(FXの場合はFX会社)に一定のお金(証拠金)を預けて取引します。また、預けたお金以上の金額で取引ができます。5000円の自己資金で2万円のモノを買うイメージです。自己資金以外の1万5000円は、FX会社から借りることになります。
証拠金取引は基本的に購入対象物の長期保有は想定しておらず、最終的には売却が行われます。よって先ほどの例では、2万円で購入した対象物が2万3000円になれば、売却して差額3000円の利益獲得が可能です。逆に1万6000円になれば、4000円の損失で自己資金は1000円に減少します。
このように証拠金取引は、少ない資金で取引できて多額の利益を得られる可能性がある一方、1度の取引で投資資金の多くを失うリスクもある取引です。5000円の自己資金で1万円の取引を行う場合は、レバレッジ2倍となり、1万5000円の取引の場合はレバレッジ3倍です。レバレッジを高くするとハイリスク・ハイリターンの取引となるため、適切なレバレッジの管理が必要となります。なお、国内FX会社は個人取引の場合、レバレッジは最大25倍まで可能です。
⑤ドル円の取引事例からFXのトレードをイメージ
それでは実際のFXでの取引例を取り上げてみます。現在、国内の多くのFX会社は1000通貨単位での取引ができます。投資資金1万円を用意して、ドル円が100円のときに1000通貨買うケースと売るケースの両者を取り上げました。
なお、ドル円の買いは詳しくは「ドル買い・円売り」、売りは「ドル売り・円買い」です。どちらの取引でも、買い・売りの両者が存在しますが、通貨ペアの取引として見る場合は、通貨ペアの先頭(左側)の通貨を見て「買い」「売り」と表現します。
⑥他の投資に対するFXの二つの優位点
株式などさまざまな金融商品がある中で、FXの優位点としては以下の2点が挙げられます。
・平日なら24時間取引可能
・裁量取引から自動売買までさまざまな取引が可能
FXは土曜・日曜を除き24時間取引ができます。株式は株式市場のオープンしている時間しか取引できず、日中仕事を持つ多くの人は、チャートを見ながら国内株式の取引はほとんどできません。しかしFXなら、仕事を終えた後でチャートを見ながら取引できます。24時間いつでもチャートを見ながら取引できるリアルタイム性は、FXならではです。
また、株式などは自ら売買判断を行い取引する裁量取引が基本です。FXでは裁量取引に加えて、ルール通りにコンピュータが取引を行う自動売買の選択肢もあります。さらに自動売買についても、EA、リピート系自動売買などさまざまな方法があります。株式でも自動売買は可能ですが、プログラムを組む必要があるなど、ハードルは非常に高いといわざるを得ません。裁量取引からさまざまな自動売買までできる取引種類の豊富さも、FXの優位点といえるでしょう。
まとめ
FXの特徴は簡単にまとめると、①通貨の交換、②レバレッジを掛けた取引ができる、という2点になります。
通貨ペアの値動きは、二つの通貨の綱引きの結果生じています。このような通貨ペアの値動きは、FXの難しさでもあり面白さでもあるといえるでしょう。また24時間取引可能で、裁量取引だけでなくさまざまな自動売買の選択肢がある懐の深さはFXの大きな魅力です。
これらの特徴を把握した上で、幅広い視野を持ってFXに取り組みましょう。
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