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外国為替vol11のプレミアム巻頭インタビュー

たけぞう氏プレミアムインタビュー「AIやアルゴリズム取引が席巻する今どき株式市場での正しい生き残り方」

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株式投資歴35年。証券会社時代に今はもうない「場立ち(ばだち)」を経験、在職中多いときには10億円を運用し、のべ50億円の利益を上げたベテラン証券ディーラーのたけぞうさん。

今では個人投資家として自身の投資だけでなく、株式投資を分かりやすく伝える活動にも注力し、さまざまなメディアで活躍中です。そんなたけぞうさんに、証券ディーラー生活で経験したこと、そこから導き出した勝ちパターンなどについて伺いました。

たけぞう氏プロフィール
たけぞう氏プロフィール

1988年から証券会社で30年間勤務。4年間の場立ちを経て、20年間以上証券ディーラーとして活躍。多いときには約10億円の資金を運用し、約50億円の収益を上げる。現在は個人投資家として独立。「誰にでも、わかりやすく」にこだわり、一人でも多くの初心者が、株で収益を上げられるように日々活動中。

陽和ななみ(ひわ ななみ)氏プロフィール
陽和ななみ(ひわ ななみ)氏プロフィール

女優/投資家、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。手塚宏二事務所所属。女優業の傍ら19歳から投資を学び、20歳から実践。既に6年の投資歴を持つ。現在は日本株や米国株、FX・CFD等を自身で運用し、チャート分析を基にそれぞれの金融商品で実績を上げている。松井証券「カンニング竹山のFXトーク」、SBI証券「マーケット超特急」など各証券会社の番組で活躍をみせる。2022年はFXで3000pipsを達成するなど、投資家としての実績も折り紙付き。

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今はもうない「場立ち」を経験。そこで喧嘩する血の気の多い人も

陽和ななみ(以下:陽和) たけぞうさんのプロフィールを拝見して気になったのが、「場立ち」です。手で売買注文を示すという今では見られない光景ですが、当時の空気感はどんな感じだったんですか?

たけぞう 今の東京証券取引所が当時の現場でした。大手から外資系、私のいた中堅の証券会社なども入り混じって仕事をしている場所でしたね。とても価値のある経験ができて、今もそれが財産になっていると感じています。

陽和 たくさんの人がいるだけに、会社間で仲が悪かったり、派閥があったりしたんですか?

たけぞう それはないですが、現場はおしくらまんじゅう状態。血の気の多い人はそれで喧嘩したり、なんてこともありましたね。

陽和 喧嘩ですか!? 本当に今では考えられない時代です。考えられないといえば、「10億円を運用して50億円の利益」というのも、同じく想像がつかないレベルです。

たけぞう 今ではそれくらい稼いでいる個人投資家はいますが、我ながらよく頑張ったなと思います。

陽和 ここでは、10の質問にイエス、ノーでお答えいただきたいと思います。

たけぞう △もありですか?

陽和 はい、ありです。それでは、いきます!


Q1 投資信託より個別株の方が魅力がある。
A1 イエス。

Q2 FXより株式投資の方が簡単だ。
A2 んー、△。

Q3 株式投資においては銘柄選びが一番大切だ。
A3 イエス。

Q4 日本株より米国株の方が強い。
A4 イエス。

Q5 短期投資より中長期投資の方が勝ちやすい。
A5 まぁ、イエスですね。

Q6 個人投資家も信用取引を利用すべきだ。
A6 これは、△です。

Q7 2024年日本株はさらに上昇する。
A7 願いを込めて、イエス。

Q8 こういう局面なら勝てるという得意パターンを持っている。
A8 まぁ、イエスにしておきます。

Q9 勉強すれば誰でも株式投資で勝てるようになれる。
A9 ノー。

Q10 投資をやってきて良かった。
A10 イエス。

陽和 〝投資信託よりも個別株〟にイエスと回答されました。これはどんな理由からですか?

たけぞう 安定を求めるなら投資信託だと思いますが、パフォーマンスの大きさは個別株の魅力です。テンバガーのような夢のある話もありますし。そこまでいかなくても株価が倍になることは珍しくありません。

陽和 〝銘柄選びは大切〟にイエスと答えられました。何千もある中からいい銘柄を見つけるには、どうされていますか?

たけぞう 3000以上ありますからね、本当に難しいです。やはり大事なのは、企業の業績です。テクニカルが好きな人は、テクニカルを取り入れるのもありです。自分ができることをやって、そこから深堀りしていくのがいいと思います。

陽和 短期より中期の方が勝ちやすいと答えられました。

たけぞう AIやアルゴリズム取引など、人間ではない取引によって市場のスピードは格段に速くなっています。人間の目が追い付かないほどです。その意味で、短期売買は以前よりやりにくくなっていると感じますね。

 今までと違って一方に動き続けたりと、教科書に載っていないような動きがあることを日々感じています。

陽和 そのご時世を受けて、たけぞうさんも中長期目線ですか?

たけぞう 本来はデイトレも好きなんですけどね。でも後になって自分の収支を見ると、落ち着いてやったほうがプラスになっています。

陽和 個人投資家の信用取引については、△をつけられました。

たけぞう ルールを理解していればいいと思いますが、それを知らずにやるのは危険です。初心者はちょっと損が出たら塩漬けにしがちですが、昨今の相場だとそのまま含み損が大きくなってしまうこともざらです。値動きが速い今の相場では、信用取引には慎重さが求められます。

陽和 日本株の今後については、「願いも込めて」とおっしゃいました。

たけぞう これまでが上がり過ぎで、ちょっと休憩しなさいとのお達しなのかもしれません。半導体が強いので、同セクターが多い日経平均には有利な状況です。しかし、それだけ見ても全体像はつかめないので注意が必要です。日経平均が上昇しているのに値下がり銘柄が多い日も結構あるんです。

 日経平均は売買代金が多い銘柄が採用されるので、今後も半導体偏重の傾向は続くでしょう。

増担保規制と25日移動平均に注目

陽和 さて、ここではたけぞうさんの勝ちパターンを一つ教えていただきたいと思います。チャートを交えて解説いただきます。

たけぞう チャート01はさくらケーシーエス(4761)のチャートです。1000円付近から倍になって2000円になっているのが分かります。

さくらケーシーエス(4761)のチャート

陽和 たけぞうさんは、なぜこの銘柄に注目されたんですか?

たけぞう 値動きが急激な銘柄は過熱気味ということで、東証が増担保規制を掛けるんです。信用取引は担保が3割ですが、こういう急騰銘柄は担保を多めに入れてください、という規制です。増担保規制が掛かった銘柄について、それが解除になるときを狙うのは私の得意パターンの一つです。

陽和 たけぞうさんは、どのタイミングで注目しましたか?

たけぞう 4月5日です。終値で増担保規制が入りました。増担保規制が入ると下がりやすくなるんです。実際、翌営業日はさらに下がった陰線でした。そこで、私は増担保規制が解除される株価以下のところで買いました。

 増担保規制解除価格は、25日移動平均に10%を掛けて算出されます。このとき25日移動平均線は右肩上がりだったので、解除価格の下で買っておけば利益を出せる、というわけです。実際には解除価格をクリアしたところで早々に売ってしまいましたが。持っておけばもっと利益は伸びていましたね。

陽和 この増担保規制は、個人投資家も情報を入手できるんですか?

たけぞう 東証が毎日開示していますし、「増担保規制解除への道」というサイトでもチェック可能です。

陽和 整理すると、増担保規制が掛かって、25日移動平均×1.1よりも下だと買いチャンスということですか。

たけぞう もちろん全てに当てはまるわけではありませんし、これは増担保規制になってから2日目で解除価格を下回った珍しいケースだったんですけど、私はそのルールで見極めています。

陽和 〝勉強すれば誰でも勝てる〟に対してはノーのお答えでした。

たけぞう 勉強の仕方を間違えると、逆効果です。勉強している人は多いと思いますが、全員がプラスになっているかというと、そうではないですよね。

陽和 どんな人が株式投資に向いていると思われますか?

たけぞう やはり、損切りがちゃんとできる人です。長く生き残っている人は損切りが適切にできています。損小利大、マイナスをいかに抑えるかが重要です。

年々増してきているアルゴリズム取引の存在感

陽和 長い証券ディーラー生活はいかがでしたか? やはり厳しかったですか?

たけぞう サラリーマンなのでノルマもありました。それを毎年クリアしていくのが大変でしたね。幸い、そのころは仲間がいました。仕事が終わったら一緒に食事に行ったりと、リフレッシュする時間も設けていました。

陽和 今は個人投資家となられましたが、証券会社時代とお金に対する感じ方は変わりましたか?

たけぞう お金の大事さがよく分かりました。結局、自分のお金の方が大事なんだなと思いました。前の会社の人間が見たらどう思うか分かりませんが(笑)。

陽和 株の勉強をするのにあたって、読んで良かった本はありますか?

たけぞう 『相場サイクルの見分け方』です。先輩から教わって読んでみて、今にも通じる基本が書かれている良書だと思います。 

陽和 昔と今とで、株式市場の変わったところ、変わらないところはいかがですか?

たけぞう アルゴリズム取引の比率が8割や9割を超えて、日本市場を席巻しています。年々進化しているので、まだまだスピードアップしていくと思います。そのせいで今まで通用していたことが通用しなくなる可能性もあります。こうしたスピードアップは、年齢的にもついていくのが大変だなと感じますね。

 他方で、割安感や割高感といったことはある程度予習・復習をすれば普遍的に通用するのかなとも思います。

陽和 今注目されているセクターはありますか?

たけぞう 今すぐということではないですが、銀行に注目しています。利上げ方向なので、銀行に恩恵があるでしょうから。

陽和 マイナス金利解除の影響や、今後少しずつ利上げしていく影響は大きいですか?

たけぞう 米国のような急激な利上げは不可能だと思いますが、物価の展望や植田総裁の発言を見るに、1回や2回程度の利上げはあると思っています。

テクニカル分析においても近年の相場にはズレを感じる

陽和 次はテクニカルについてのお話もお伺いします。ここでも実際のチャートを使って解説いただきます。

たけぞう チャート02は、三井E&S(7003)です。このチャートにある青い線は25日移動平均線です。私は移動平均線をよく用いているんですが、3月の中旬に25日移動平均線と株価との乖離率が約80%に達しました。時価総額が2000億円近い企業でこれだけの乖離が発生するのは珍しいことで、売買高も過去最高レベル。それだけ相場に過熱感があったということです。

 長い上ヒゲをつけて、本来であればこれで「終わり」の相場のはずです。しかし、実際にはそれが1日、2日続いてからようやく急落しました。ここで、自分の感覚とのズレを感じました。

三井E&S(7003)のチャート

陽和 高値圏が続いたのは、時価総額が大きいからでしょうか?

たけぞう それもあると思います。私はここからの空売りでやられました。上ヒゲをつけてストップ高になったところです。

陽和 もう一つ、同様のチャートがあるということでお持ちいただきました。

たけぞう チャート03は、さくらインターネット(3778)です。先ほどとよく似たチャートで、25日移動平均線の乖離率が同水準です。株価も乖離率も高いので狙い目だと思っていましたが、同時期に三井E&Sを狙っていたので、これは入りませんでした。こんな相場展開が示現するようになったのも、最近の特徴です。

さくらインターネット(3778)のチャート

陽和 もともと空売りがお好きだと小耳に挟みましたが、最近はあまりされないんですか?

たけぞう 空売りの醍醐味は、短期間で大きく下げて儲かるところです。これを取れると、空売りの虜になります。先ほど紹介したチャートを見ると、余計にそう思うでしょう。しかし、長い目で見ると1000円の株価が1万円になることもあるわけで、長期的には買いの方がパフォーマンスは高いんです。

陽和 売りだと「ゼロ」までしか余地がないからですか?

たけぞう そういうことです。買いは上昇余地が無限大です。

陽和 私も最近、空売りが面白いと感じていましたが、要注意ですね。

たけぞう うまくいくと、虜になってしまうんですよ(笑)。しかし、売りで億トレーダーになったという人の話は聞いたことがありません。FXではそれも十分あると思いますが。

陽和 たけぞうさんは株を保有する期間が1、2日程度ですが、保有期間に対する考え方はおありですか?

たけぞう 損より利益を大きくすることが大事なので、利益確定は早い方ですね。

陽和 利益確定したあとでさらに値上がりしたら悔しい、とかはないですか?

たけぞう 一つの取引を終えたら、もう次のことをやるようにしています。それを見ていると悔しい銘柄だらけになっちゃいますから。

陽和 損切りについてもマイルールをお持ちですね。

たけぞう 増担保規制狙いの場合は25日移動平均線を基準にしていますが、私は金額ベースで損切りするように決めています。

陽和 多くの投資家は塩漬けに悩まされていると思いますが、塩漬けに対する考えをお聞かせください。

たけぞう 損切りは辛いですが、いつチャンスが来てもいいように、資金を自由にしておくことも重要です。長期目線で配当や優待狙いであれば別ですが、損失確定を避けるあまりに塩漬けにしているのであれば、投げてみるのも選択肢です。

思い出に残る光通信の20日連続ストップ安

陽和 たけぞうさんの思い出に残っている相場は何ですか?

たけぞう ITバブルが印象的でしたね。今も半導体バブルといわれていますが、ITバブルの比ではありません。売り上げが全くないような会社に考えられないような株価がついていましたから。

陽和 それでは思い出に残る銘柄は、何ですか?

たけぞう 光通信です。20日連続ストップ安という歴史的な相場を目の当たりにしました。

 当時はバブル崩壊で山一證券が潰れたりした中で、ソフトバンクや光通信などがITバブルを作り出しました。光通信は高値が24万円台ですが、売り上げが全然伴っていませんでした。そもそも光通信がIT企業だったのかも怪しいレベルです。

 そんな折、日経ビジネスに光通信の粉飾を疑う記事が掲載されたんです。それまで光通信株の売買をやっていましたが、この情報に接してIT関連株全体の売買を控えるようになりました。

陽和 ということは、その後の20連続ストップ安には巻き込まれなかったんですか?

たけぞう そうなんです、デイトレで売買する日はありましたが。

陽和 この大相場を見て、どう感じられましたか?

たけぞう 株って怖いなと思いましたね。売り上げが伴っていない企業にここまでの株価がついて。もし私が例の記事を読んでいなかったらと思うとゾッとします。

陽和 そうなると今の半導体バブルも気になるんですが、どうお考えですか?

たけぞう 今の半導体バブルの方が中身が伴っているので、はるかにマトモだと思います。

陽和 その「運命の記事」のお話を聞くと、情報収集の大切さを実感します。たけぞうさんがよく使われる情報収集方法はなんですか?

たけぞう X(旧Twitter)ですね。一番情報が早いです。フェイク的な情報もあって玉石混交ですが、信頼できる発信者を選んでおくとかなり有用です。

陽和 おすすめの情報発信者を教えていただいてよろしいですか?
たけぞう ありゃりゃさんはいいと思います。あとはブルームバーグや日経新聞などです。

FXにも株にも初心者マークはない

陽和 この記事は多くのFX投資家がご覧になっていますが、FX投資家が株式デビューをする意義はあると思われますか?

たけぞう 既にFXで勝っている人が無理に株をやる必要はないと思います。得意な土俵で戦うのが一番です。そうではなくFXで悩んでいる人であれば、株には配当や優待といったFXにはないものもあるので、いいんじゃないかなと思います。

 ただし、FXも株も初心者だからというのは言い訳になりません。マーケットに初心者マークがあるわけではなく、ベテランや大口投資家などと同等に戦うことになります。これを肝に銘じておく必要はあると思いますね。

陽和 FX投資家が株を始めるのであれば、何から始めるべきですか?

たけぞう 一番好きな企業から買ってみるのがいいと思います。食事が好きなのであれば食事の優待がもらえる企業、スポーツやファッションが好きなのであれば関連企業、といった具合です。まずは株価に関係なく好きな企業、興味のある企業から始めてみてはどうでしょうか。

陽和 最後に読者の皆さんにメッセージをいただけますでしょうか。

たけぞう 長年株をやってきている私も、初心者も、同じ土俵で戦っています。株仲間ということでオフ会に行ったりすることもあって、ざっくばらんに株の話をする場もあるので、そんな株の世界で途中退場にならないよう、長く生きていってほしいなと思います。

インタビュー日◎2024年5月2日

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FX「外国為替」編集部
FX「外国為替」編集部。たくさんの投資家の人生が、FXのおかげでほんの少し豊かになる—。そんな未来を目指して2022年8月に『外国為替』を創刊。雑誌は全国の書店およびAmazonで発売しています。
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