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エミン・ユルマズ氏 プレミアムインタビュー「正しく投資すれば大きく負けることはない。投資は学問と同じで基本的には勝てる」

エミン・ユルマズ氏 プレミアムインタビュー「正しく投資すれば大きく負けることはない。投資は学問と同じで基本的には勝てる」

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トルコ・イスタンブール出身のエミン・ユルマズさんは、16歳で国際生物学オリンピックの世界チャンピオンに輝いた鬼才。東京大学理科一類に合格し、同大学院で生命工学修士も取得しています。

そんな彼がなぜ投資の世界に足を踏み入れたのか。多くの〝成功者〟を見て、自身も投資で成功を収めているエミンさんから、その秘訣を伺いました。

本文◉荻田里佳

エミン・ユルマズ氏プロフィール
エミン・ユルマズ氏プロフィール

エコノミスト・為替ストラテジスト。トルコ・イスタンブール出身。1996年に国際生物学オリンピックで優勝し、97年に日本に留学。翌年、東京大学理科一類に合格し、同大学院で生命工学修士を取得。2006年に野村證券に入社、投資銀行部門、機関投資家営業部門に携わり、2016年から複眼経済塾の取締役・塾頭を務める。
【著書】無敵の日本経済! 株とゴールドの「先読み」投資術(ビジネス社)【著書】世界インフレ時代の経済指標 目先のイベントにジタバタしない“大局観”が手に入る(かんき出版)【著書】夢をお金で諦めたくないと思ったら 一生使える投資脳のつくり方(扶桑社)ほか

陽和ななみ(ひわ ななみ)氏プロフィール
陽和ななみ(ひわ ななみ)氏プロフィール

女優/投資家、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。手塚宏二事務所所属。女優業の傍ら19歳から投資を学び、20歳から実践。既に6年の投資歴を持つ。現在は日本株や米国株、FX・CFD等を自身で運用し、チャート分析を基にそれぞれの金融商品で実績を上げている。松井証券「カンニング竹山のFXトーク」、SBI証券「マーケット超特急」など各証券会社の番組で活躍をみせる。2022年はFXで3000pipsを達成するなど、投資家としての実績も折り紙付き。

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期待値プラスなら投資、マイナスならギャンブル

陽和ななみ(以下:陽和) いま日本株が熱いですね。エミンさんの最近の調子はいかがですか?

エミン・ユルマズ(以下:エミン) 一部の銘柄と指数、大型株は上昇していますが、私が持っている中小型株はあまり上がっていません。現時点で中小型株はその恩恵を受けていないというのが私の体感です。このまま日本株が上がって中小型株も連動して上がることに期待したいです。

陽和 最近はFXもされていると耳にしましたが、現在はどんな相場だと感じていますか?

エミン この2年は株よりFX取引の方が多いのですが、今の相場はボラティリティが大きいので儲け時だと思います。日米の金利差、貿易収支の状況など、レートが動く理由がクリアで、ファンダメンタルズをしっかり勉強している人は利益を出しやすいのではないでしょうか。金融ショックがなく、これだけ為替が動いているのは珍しいですね。

 また、調整を入れながら動いているので、エントリーのタイミングも分かりやすいと思います。

陽和 FXや投資に対してギャンブルだというイメージを抱く人も少なくありませんが、エミンさんが考える投資とギャンブルの違いを教えてください。

エミン まず、考え方として受験・結婚・子育て・ビジネスなど、私たちの生活の中には、自分ではどうにもコントロールできない「運」という要素がありますよね。たとえば、受験勉強をして実力的に問題がなくても、当日体調不良になってしまうのは、運の要素が強いと言えるでしょう。生きていく中で、運を取り除くことはできません。そんな不確定要素が溢れていることを「ギャンブル」と言うのなら、人生自体が大きなギャンブル。ここからギャンブルの定義を狭く考えたとき、私は期待値がマイナスなものをギャンブルと考えます。

 典型的なもので言えば宝くじが当てはまります。宝くじは売り上げの半分しか賞金で配っておらず、一人が全ての宝くじを買い占めても購入者はプラスになりません。そう考えると、マイナスサム・ゲームですし、運良く当たる人はいますが、トータルで見れば宝くじはギャンブルですね。

 一方で、私は期待値がプラスのものを投資と呼んでいます。基本的に株価は上昇するものがほとんどで、正しく投資すれば、大きく負けることはありません。投資は、基本的に勝てるんです。

 つまり、世の中は不確定要素で溢れていますが、その中でも勝つ確率が高い、基本的に期待値がプラスなものに賭けることが投資で、それはギャンブルではないと思います。そして、投資などで期待値が高いものに資金を投じれば、長期的に見たとき、勝者になれるはずです。

陽和 投資で期待値をプラスへ持っていくために、エミンさんはどんな分析をしていますか?

エミン 私はファンダメンタルズが8、チャート分析が2ぐらいの比率で分析しています。

陽和 ファンダメンタルズは情報量が多く、難しいイメージがありますが、私も勉強すればファンダメンタルズで勝てるようになりますか?

エミン もちろん、勉強すれば勝てるようになりますし、やってみれば難しくないはずです。為替では、お金の流れを理解するために金融政策を把握することがファンダメンタルズを極める第一歩。世の中のお金はどこで生まれてどこに向かっているのかを知るのは、基本中の基本です。少なくとも為替においては、お金は金利が高い国に流れます。

 さらに、金利には実質金利と名目金利がありますよね。名目金利は、物価上昇率などを考慮せず、調整を行っていない表面上の金利のことで、実質金利は名目金利から物価変動の影響を差し引いた金利のことを指します。為替取引で注目すべきは実質金利。名目金利が高くても、インフレが大きければ、実質金利が大きくマイナスになって、その通貨は上がりにくいからです。

 ここ数年日本円が弱いのは、実質金利が低いことが理由です。日本はマイナス金利政策を実施していましたが、昔はインフレではなかったので、実質金利が大きく下がることはありませんでした。しかし、日本もインフレに傾きつつあり、他国に比べて実質金利が低い状態となりました。日本円の実質金利がマイナスになると、通貨価値が低くなるので、円安になってしまうというワケです。

陽和 FXでファンダメンタルズを極めるなら、まずはしっかり金利について勉強しておく必要があるということですね。

ショック相場でも生き残る方法。ダメージはミニマムに抑える!

陽和 単刀直入にお尋ねしますが、投資で失敗した経験はありますか?

エミン たくさんあります。リーマン・ショック(2008年)やチャイナ・ショック(2015年)で大打撃を受けました。長く投資をしていれば金融ショック相場に遭遇することは免れません。反対に、投資を始めたばかりで本格的な暴落を一度も見たことがない人は、急落する様を見て思考が停止してしまう可能性があるので注意が必要ですね。

 どんなショック相場でも生き残ってきたから今があるので、今はショック相場に対する経験値も上がりました。これから金融ショックが起きてもビクともしません。

陽和 長く投資を続けていれば、ショック相場をチャンスに変える力がつくんですね。そこで、まずは勝ち残る秘訣を教えてください。

エミン リスク管理に限ります。信用取引や先物、FXの取引で、ハイレバレッジの取引をすることもありますが、先行きが危ういと察知したら、レバレッジを低くします。さらに、防御措置を取るため、一部現金化することも……。

 また、敏感に景気の影響を受ける銘柄を、比較的安定しているヘルスケア、公益セクターなどに資産を移してリスクオフします。

 そして、景気循環のサイクルを常に考慮し、大きな上昇相場がきても市場参加者が浮かれすぎていないか、見極めが必要です。退場したら終わりなので、ダメージをミニマムに抑えて、投資を続けるのが大事ですよね。

陽和 初心者が陥りやすい間違いの傾向はありますか?

エミン 余剰資金以外で投資をすることです。今後1年以内に使う予定のあるお金で投資をしてはいけません。住宅ローンや教育資金、病院の入院費など、使う予定があるのに、お金を銀行に預けたままにしておくのはもったいないと感じ、投資をする人がいます。ところが、必要資金で投資をしてしまうと、お金が減ったときに「使う予定だった日までに資金を戻さなければならない」という思考が働き、良いパフォーマンスが出ません。

 いざお金が必要になったとき、いくら含み損を抱えていようが売らなければならず、本来の損切り地点ではないところでポジションを切ってしまうことになります。少し価格が下がったときにマイナスを乗り越える力は、投資をする上で必須だと思います。

陽和 危険を察知する嗅覚を高めるには何をしたら良いですか?

エミン たとえば今年の2月下旬から米国債が買われていて、米国の長期金利が下がり始めました。昨年10月に下がった際は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを織り込んで下がったという理由がありますが、今年2月下旬以降に金利が下がったのにFRBの利下げ観測がないので、下がる理由がない=長期債が買われているということ。これは安全資産にお金が流れている可能性もあります。

 また、ゴールドが理由なく上昇した場合、振り返ってみるとそれが危険なシグナルだったことも珍しくありません。そのため今は、日本株が勢いよく上がっていることや、長期債の動き、ゴールドの動きを見た上で、私はリスクオフと判断すべきかと考えます。

今後もドル円は円安傾向?日本株は上昇する時代へ

陽和 長期・短期の投資で得意としているのはどちらですか?

エミン 長期ですね。短期で取引をしようとすると、トレード中心になってしまうんです。トレードは才能・技術・運・集中力が必要で、なおかつ四つの力を同時に発動しなければなりません。これは、かなりハードルが高いと思います。

 それに比べると長期投資は、学問やサイエンスの要素が強いと私は思っています。覚えれば、誰にでもできるものです。さらに、ファンダメンタルズの影響を受けやすい長期投資は、株価が大きく動く理由が分かりやすいです。

 一方、為替の場合は、スワップを考慮して長期で計画を組めない場合もあるので、そのときはリスク管理を徹底します。ポジションを小さめにしたり、ニュースで大きく動くまでポジションを持たなかったりするなど、リスクを最小限に抑えています。

陽和 ポジションを保有している期間を教えてください。

エミン  株の場合は3年~5年、為替でも半年以上同じポジションを握り続けるのは珍しくありません。スワップポイントで損することがなければ、できるだけ長くポジションを持ちたいのですが、昨年は1000万円以上スワップを払ったこともあります。ドル円が150円を超えたあたりで3か月ほど、多くのショートポジションを握っていたんです。結果的に、年末に狙い通り大きく下がったのでプラスになりましたが……。

陽和 今後のドル円は、円安と円高どちらに行くと予想していますか?

エミン リスクオフの動きで一時円高に振れる可能性は高いですが、ファンダメンタルズで見ると、円安だと思います。たとえ大きな調整が入って円高に振れたとしても、再び円安に戻ると見ています。

陽和 ファンダメンタルズ的に見て、円安になる理由を教えてください。

エミン 一番は実質金利の差、次は日本の貿易収支の構造的な変化です。昔は日本の貿易収支は黒字で、日本経済はそれに支えられて非常に強いポジションを確立してきました。しかし、最近は貿易力が低下しており、AIシステムやクラウド、ソフトウェアに関しても、日本がリードしている企業はありません。世界のデジタル化が進めば進むほど、日本の貿易収支が悪化し、逆に日本は海外企業の製品を買わなければならなくなります。既存の自動車や機械の素材はありますが、伸びているセクターにおいては、日本企業がリードできていないのが問題なのです。

 政府はインバウンド需要を狙っているものの、それだけでは貿易収支の低下は補填できないと思います。

陽和 そんな中、2024年の日本株はさらに上昇すると思いますか?

エミン 4万円という大台に乗ったので、日本株は5万円を目指すこともあり得る上目線だと思っています。ただし、3万8000円~4万1000円の間でもみ合う可能性も。米国の状況によっては大きな調整が入る可能性があるので注意が必要です。とはいえ、下がったときはエントリーチャンスなので、押し目買いを狙おうと思います。

陽和 エミンさんは長期投資が得意とのことですが、投資とトレードの違いは何だと思いますか?

エミン 投資は勉強で学問なので、覚えればできる上に、教えることができます。しかし、トレードは教えられないんです。そもそも短期のトレードで成功した人たちは、一握り。一方で、長期投資をして資産が増えた人はごまんといます。投資経験ゼロだという人にも、私は投資については教えられる自信があります。

 しかし、もし「デイトレで資金を増やしてください」と言われてやってみたら99.99%、お金を失うと思った方が良いです。それほど難しいのがトレード。先述したようにトレードで勝ち続けるには才能・技術・運・集中力が必要だからです。そのため初心者には、長期投資から勉強し始めることをオススメします。

日本人投資家・海外投資家の違い。リスクテイカーが多いのはどこの国?

陽和 ここからはエミンさんの半生を深堀りしながら、投資についてお尋ねします。少年時代はどんな子どもでしたか?

エミン 少年~青年時代はやんちゃでした。近所の子どもたちと喧嘩したり、花火を買って中の火薬を取り出して爆発させたりしていました。また、通常なら7歳から小学校に通いますが、母親が教師だったこともあり、私は5歳から小学校へ。当時、やんちゃすぎた私を心配して、母は「この子を放っておくと危ない」と思ったのかもしれませんね。

 5歳なのでいじめられたこともあったのですが、いじめっこと堂々と戦っていました。やんちゃだった私も小学校では勉強が好きになって、有り余るエネルギーが全部勉強に向きました。

陽和 国際生物オリンピックで世界チャンピオンになられているのも、勉強好きが高じたわけですね。

エミン それもありますが、生き物は動いているので面白いですよね。だから熱中できたのだと思いますが、動物実験で命が奪われるのが苦しくなるタイプだったので、将来を考えたとき、生物にまつわる仕事は選択肢から外すことにしました。

陽和 生物と金融は違うジャンルですが、なぜ証券会社で働くことにしたんですか?

エミン 反射的な動きをしたり、人々の行動心理が反映されたりしているので、金融も生物と似ていると思っています。たとえるなら、お金が血液、国が人間だとしたら、お金という血液が綺麗に流れないと、体の調子は悪くなりますよね。国の経済は循環しなければ弱体化していく。そういう意味でも生物と金融は共通点があると思います。

陽和 そもそも投資に興味を持ったきっかけを教えてください。

エミン 元々ポーカーが大好きなんです。ポーカーは不確定要素がありながらも、最終的にはスキルが勝敗を分けるゲーム。ポーカーの世界大会がありますが、スキルを極めれば勝てるんです。これは、非常に投資に近い面があり、ポーカーが好きな投資家はたくさんいます。例に漏れず、私も投資をすごく好きになりました。

陽和 エミンさんはトルコ出身で、日本と海外の投資家とを比べたとき、違いを感じますか?

エミン それぞれ国民性はあると思います。日本人の資産は貯蓄がメインで、投資=ギャンブルと見ている人が多いんじゃないかなと感じます。

 一方で、昔から投資をやっている日本人はリスクテイカーが多い気がします。日本人投資家が少ないからこそ感じるのかもしれませんが、私の周りの日本人投資家は米国人よりもリスクを取りがちです。

陽和 海外は投資教育が進んでいるイメージがありますが、実際はいかがですか?

エミン 海外では、学校教育以外に親や親戚、目上の人から株の話を聞く機会が多いんです。海外で投資家が多いのは身近に投資をしている人が多いからではないかと思っています。

陽和 日本人投資家は、コツコツドカンで損をしてしまう人が多いという話も耳にしますが、エミンさんもそう感じますか?

エミン 国は関係ないと思います。投資で大きく勝っている人の特徴は、負けるときは小さく、勝つとき大きくというのが特徴です。負けている人の特徴はその逆ですね。投資はある程度、人間の本能・欲望に逆らわなければ勝てません。そのため、含み益になると利確をこまめにしているのに、損切りはこまめにやらないという人は負けやすいです。利確したいという本能を抑えなければ、利益は伸ばせません。欲望と戦わなければならないという点では、投資は難しいですよね。

成功者には共通点がある。鍛えるべきは握力だった

陽和 エミンさんはどうやってメンタルを鍛えていますか?

エミン たとえば私は、noteで「投資のメンタル」シリーズの記事を投稿していますが、読者のため以上に、自分自身のために書いています。繰り返し同じことを自分に言い聞かせているんです。最近はいろんな投資家が陥るトラップについて書きましたが、これを書いたのもある意味自分のためですね。

陽和 どんな内容を書かれたんですか?

エミン 大勝したときが一番危険だという事象について触れました。大勝した後は気が大きくなり、リスクを取りにいってしまうんです。

 さらに、自分で思い描いたシナリオ通りに事を進めようとするとき、人間はリスクを抑えますが、想定外のことが起きたとき、人間はリスクを取ります。もし、損をしていたのなら、損を取り戻したいという願望が、リスクを取らせます。

 また、リスクは減らしすぎても増やしすぎてもダメで、常に一定に保つべきということですね。自分の思惑が外れているときは、ポジション量を減らすのが大事。うまくいかないときこそ取り戻そうとするのではなく、リスクを減らした方が良いんです。うまくいっているときは、リスクを増やしても良いですが、あまり調子に乗らないようにしましょう。攻めるときもリスクを減らしすぎず、最初に想定したシナリオから外れないように利益を伸ばすのが大事だと思います。

陽和 私の心から「早く利確したい」という悪魔のささやきが聞こえるんですが、これを我慢するコツはありますか?

エミン 残念ながらコツはありません。上がっているものを握り続ける握力を鍛えるのみです。これは難しいですね。私は握力を鍛えるのに20年以上かかりましたし、今でも自分で弱いと思うときがあります。私の経験上、成功者には頻繁に利確してうまくいった人はいません。途中で負けていても、良い銘柄をギュッと握っている人の方が最終的にうまくいくんです。

陽和 含み益を利確したくなったら「ここが我慢するとき」と自分に言い聞かせるのが大事ですね。

エミン 株を握り続ける握力を鍛えるためにも、投資を語る上で、結果論で物事を判断しないようにしてください。投資は自分がやった行動が正しかったかがポイントなので、負けてしまっても自分の思考に問題がなければ良いんです。

 反対に、行動が間違っているのにうまくいくこともあります。それは「ラッキー」で終わらせるのではなく、反省すべきです。間違った行動を習慣化しないようにしてください。ある銘柄を塩漬けにしていたものの、プラスの材料が出て助かった経験をすると、それ以降も損切りできない人がいます。

 これは、第二次世界大戦(1939年~1945年)でドイツが負けた理由と似ているものがあります。スターリングラード攻防戦では、ドイツ軍の第6軍が包囲されたときに撤退しませんでした。1年前に似たシチュエーションでうまく抜け出せたため、今回も抜け出せると思ったようですが、ダメだったんです。

 一度「ギリギリ助かった」経験をしてしまって、同じ行動を繰り返すと、取り返しのつかないことになる。これは歴史的に見ても度々起きていますし、投資の世界でも珍しくないこと。結果ではなく「あのときの判断は正しかったか」という思考回路で物事を考えて、正しい判断を続ければ、投資では勝てるはずです。

ショック相場は買いのチャンス。上がる銘柄の見極め方とは?

陽和 銘柄選びについて教えてください。

エミン ファンダメンタルズで予想した以上に売られている銘柄に目をつけます。株の場合、企業の株価と純資産の比率を示す指標「PBR」や、時価総額を年間売上高で割った「PSR」が大きく1倍を割り、借入金がなく、手元流動性の高い資産を保有している企業(キャッシュリッチ)であれば、買う価値があるかもしれないと考えます。キャッシュフローに問題がないのに割安になっているというのが前提になりますが、そのような企業をいくつも見つけたら「キャンディショップに入った子ども」の気分になるんです。全部美味しそうに見えて、選びやすい状況ですね。

 一方で、ある程度株価が上昇しているときは割安感がなく、選ぶのが難しいですね。だから、下げ相場では悲観されがちですが、実はチャンス。下げ相場はバイキングセールのような感覚になって、割安株を買います。

陽和 下げ相場では、割安感のある銘柄がある一方で、そのまま下落が続く銘柄もありますよね。その見極め方を教えてください。

エミン まずは、過去の安値やファンダメンタルズを見て「あとどれぐらい下がるのか」を考えます。割安株は金融ショックが起きても下げ幅が2~3割程度になることが多いんです。しかし、高く評価されすぎている銘柄は9割下がって、価格が10分の1になることも珍しくありません。ボトムとなる価格帯の予想は、企業の貸借対照表(バランスシート)や、損益計算書を見れば大方見当がつくことなので、下げ幅の予想はそれほど難しくありません。

陽和 エミンさんが2019年に出版された書籍『米中新冷戦のはざまで日本経済は必ず浮上する』では、日本経済は見直されて爆発的に上昇するなどという内容が書かれていますが、今も日本経済は上昇する見込みがあるとお考えですか?

エミン 今は上昇に向けた初動の段階だと思います。自著の中で私は、日本に追い風が吹いて、サプライチェーンが戻ってくると主張しました。たとえば、半導体のサプライチェーンが日本に戻り始めていますよね。

 また、日本の株価はさらなる上昇の余地があると思いますが、当然ながら一直線に上がるものではありませんので、調整が入ることでしょう。調整のタイミングでは多くの人が「買い」のチャンスを得ると思いますし、相場はそれを織り込んで上がっていくと思います。

チャンスはいくらでも巡ってくる。日本株上昇でも幸運な時代へ

陽和 これから投資を始めたい人が行うべきことを教えてください。

エミン まずは証券口座を作り、余剰資金を入れたら最小単位で何か取引を行ってみると良いと思います。株でもFXでもなんでも構いません。

 実際に取引を開始すれば、毎日価格が変動する感覚に慣れてくるので、貯金にはない感覚を体験してほしいです。そこで少しミスをしたり損をしたりしても、生き残ればチャンスはいくらでもやってきます。相場で自分が取り残されることを怖がらなくて大丈夫。

 少額で売買をしてみると分かると思いますが、エントリーをするのは案外難しいことではありません。難しいのは持っているポジションを手放すときです。しかし、これは回数を重ねて慣れていくしかありません。頻繁に売買をするのが大事なのではなく、自分の資金が動いているということ、買ったら売る、売ったら買う、株やFXではこれらがベースなので、実際に怪我をしない程度の資金を使って取引を行い、感覚を養っていくことをオススメします。

 そして、損失を出したとき、自分のメンタルがどうなってどんな行動を取るのか、冷静に分析できるようになるのも大切です。それが投資を行うときの最初のステップになるのではないでしょうか。

陽和 最後に、日本人投資家へメッセージをお願いします。

エミン 皆さんは非常に幸運な時代にいるということを自覚してほしいです。投資がしやすい時代で、どんな情報もネットなどで手に入ります。

 そして、これから日本株は上昇サイクルに入ってチャンスが増えていくことでしょう。現代の日本投資家の皆さんにとって私は良い時代が来たと感じているので、しっかり勉強をしてチャンスを掴んで、自分の資産を増やしていってほしいです。

インタビュー日◎2024年3月11日

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FX「外国為替」編集部
FX「外国為替」編集部。たくさんの投資家の人生が、FXのおかげでほんの少し豊かになる—。そんな未来を目指して2022年8月に『外国為替』を創刊。雑誌は全国の書店およびAmazonで発売しています。
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