元「青汁王子」こと実業家・三崎優太さんと、投資歴18年のTrader Kaibe氏の対談が実現。
三崎氏は、今年8月に投資で失敗したと明かしていましたが、その一方で多くの事業で成功を収めています。
一度失敗をしても、また立ち上がるのが三崎氏です。失敗の体験があるからこそ語れる成功の秘訣と、今後の人生展望を伺いました。

三崎 優太(みさき ゆうた)氏プロフィール
三崎未来ホールディングス株式会社代表取締役。高校時代に始めたアフィリエイト広告で月収400万円を売り上げ、高校卒業後株式会社メディアハーツ(現:ファビウス株式会社)を起業。2014年には美容通信販売事業を開始、2017年には「すっきりフルーツ青汁」を累計1億3000万個販売し、17年9月期の売上高が前期比539%増となる年商131億円の会社をつくり上げる。現在は、財務・会計、経営戦略および生産効率や組織・人事、営業・マーケティングなど若手経営者への多岐にわたる事業支援を精力的に行う実業家として活躍。【著書】時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則(KADOKAWA)【著書】過去は変えられる(扶桑社)【著書】三崎優太 1st フォトエッセイ『億を稼ぐ美学』(宝島社)

Trader Kaibe(とれーだー かいべ)氏プロフィール
EAの優秀さを証明したいとFX大会ロビンスカップ(2017年)に出場し、EAのみで準優勝。その後、EA界を牽引するトッププレイヤーとして精力的に情報発信を行う。某大手企業から独立し、現在はフィンテック業界で起業。【書籍】IQ162のMENSA会員が教えるFX自動売買の基礎と実践
文◉荻田里佳/撮影◉@linejka
インフルエンサーになった理由、三崎氏「あの真実を知ってほしい」
Trader Kaibe(以下:Kaibe) 三崎さんの事業について教えてください。今は何を手掛けていらっしゃいますか?
三崎優太(以下:三崎) 不動産、通販などで収益をあげています。ほかにも、収益は出ていませんが、面白いと思ってバイク開発事業も行っています。
Kaibe 私もいくつか事業を行っていて、収益が少ないものもありますが、少なくても続けているのは「面白い」と感じているからなんですよね。真っ当な事業ほど勝ち筋はなかなかないと感じているところです。
三崎 おっしゃるとおりです。しかし、「きっと、どこかのタイミングで起爆できる」と信じて取り組むしかないと考えています。
Kaibe 事業を続ける上での大事な考え方ですね。三崎さんは起業家としてだけではなく、インフルエンサーとしても成功されています。そもそもインフルエンサーを目指そうとしたきっかけは何だったのですか?
三崎 SNSを始めたきっかけは、自分の中の真実を明かすためです。私は国税局の査察部、通称・マルサから強制調査に入られ、1億8000万円を脱税していると指摘されました。しかし、特殊な経緯があったので私に脱税だという認識はなく、国税当局と争いました。その結果苦しい時期を過ごしたのですが、国税当局の認識と私の認識は違っていたにもかかわらず、当時私の声を拾ってくれる人はいませんでした。そこで私の主張も知ってほしいと考え、SNSで発信し始めました。
Kaibe そこからインフルエンサーになるためにどんな研究をされたのか教えてください。
三崎 研究というよりも、自分の中でひたすら、何を発信すればユーザーに響くのか考え続けていました。それまでは経営者の道を突き進んでいましたが、SNSでは経営などの難しい話を発信しても多くの人は食いつきません。そこでビジネスの話だけでなく、もっと柔らかい話題を扱うことにしたのです。そして、難しい話でも簡単に聞こえるように話す。これを研究すると、徐々にフォロワーが増えていきました。
Kaibe 三崎さんはXのほかにもYouTubeで動画を配信していますよね。私もYouTubeで動画を出していた時期があるので分かりますが、かなり大変ですよね。
三崎 動画を出し続けたからといって必ずしも成功する世界ではないので、難しいと思います。「労力に対してのリターンが見合わない」と諦めてしまう人の気持ちも分かります。また、チャンネル登録者を獲得できたとしても、それを維持する気概も要ります。それでも私は「やるしかない」と思って取り組んでいますね。
Kaibe InstagramやTikTokなどの発信にも力を入れる予定はありますか?
三崎 全て満遍なく使えるのが理想なのかもしれませんが、それぞれでフォロワーを伸ばすとなるとキリがないと感じています。そのため、今はXとYouTubeに集中したいですね。
あの暴落で大損失していた。投資の生涯収支はマイナス

Kaibe 今年8月に日本株が暴落しましたが、三崎さんはSNSなどで損失が出たことを明かしていました。そのことについて、詳しく教えてください。
三崎 実はあれが久しぶりの株式投資でした。損失が大きかったため、投資を常にやっていたと思われる読者の方もいるかもしれません。事業投資で多くの資金が必要となるため、「ここでアクセルを踏もう」と意気込んで信用取引で売買しましたが、上手くいかなかったのです。
Kaibe たまたま大きく負けてしまったということですか?
三崎 たまたまなのか、やり方が悪かったのか……。今となっては分かりませんが、株式投資は自分には向いていないと感じた出来事でした。取引ルールなどを決めずに自分の勘に頼って売買してしまい、大損したときに対処できませんでした。
Kaibe 信用取引でレバレッジをかけて取引をするということは、それだけリスクが高いということですよね。
三崎 ここまでの損失を出すとは想定していませんでした。今回の損失ほどではありませんが、実はこれまでも損はしてきました。投資を行うようになってけっこう長いのですが、苦い思い出が多いですね。投資の生涯収支を計算するとマイナスになります。これを機に株は、信用取引や現物も含め手を引こうと思っています。「投資」として考えると、株取引よりも不動産のほうが自分には相性が良いと感じています。
「今儲かるか」の感覚を大切にスピード重視の不動産投資

Kaibe ご自分が株の投資に向いていないと考えたのはどうしてですか?
三崎 今はネット証券などが普及し、即座に金融商品の売買ができますよね。大袈裟に言うと、ワンクリックで売買できるわけです。これが自分の性格と合っていませんでした。すぐに資金を突っ込んでしまうのです。
それに比べると不動産投資は、第三者を挟むことでワンテンポのタイムラグがあります。不動産は株やFXのように「買いたい」と思ったときにすぐ買えないのです。物件を手に入れるまで手間がかかります。すると、自ずとよく考える時間が出来るので、そのほうが自分に合っていると感じています。
Kaibe 不動産物件は知人の紹介などで購入されているのですか?
三崎 もちろん紹介していただくことはありますが、自分で物件を見て決めることが多いです。保有している物件は都内中心で、新たに物件を買う場合は市場価格に対して高いのか安いのかを必ず自分で調べて見極めるようにしています。
Kaibe 実は私は大阪で不動産投資をしているのですが、大阪に比べると都内の不動産投資は利回りが少ないと考えています。都内で不動産投資をやるメリットはありますか?
三崎 十分にあります。不動産も安く買って高く売るのが基本です。そして、利回りよりも、購入してすぐに利益が出るかどうかというスピード感を私は重視しています。これはマーケットの歪みから生まれる利益を狙いやすい方法だと思っています。
新築・中古を問わず、タワーマンションでも良い物件は構わず買っています。ただし、良いエリアの良いマンションなどを獲得するにはスピード感も大切なので、キャッシュでの購入がほぼ必須です。銀行の融資を依頼する時間も惜しいので、それなりの資金が手元になければいけませんね。
Kaibe 都内の物件は値上がりしきっているようにも見えます。狙い目の物件をどうやって見極めていますか?
三崎 私が買うのは「今買ってすぐに上がる物件」のみです。ニュアンスが似ていますが「これから上がりそうな物件」には手を出しません。「すぐに上がる」物件というのがミソです。そのため、買ったら即刻売る。この基準を明確にしていると、考え方はシンプルになりますよね。
未来の相場は分からないといいますが、物件を保有する期間は短く、1か月で売る物件もあります。これなら未来を予想できなくても構いませんし、市況にも影響されづらい売買といえるのではないでしょうか。
Kaibe それらの売買手法を株やFXで置き換えて考えると、スイングの取引が近いですね。
三崎 そうかもしれません。株は不動産と違って、安いか高いかの基準が明確ではありませんが、不動産の物件に関しては、売買事例を見れば、今の価格が安いのか高いのか一目瞭然です。この差は大きいと思います。
三崎氏にEAの魅力を直伝!年間プラス収支になる方法
Kaibe 私は今、FXやコインパーキング、不動産などに投資をしていますが、これらを続けているとポートフォリオが出来上がります。それらを見てリスクなどを考えると、投資をするなら分散が大事だと考えるようになりました。三崎さんは分散投資を行う予定はありますか?
三崎 不動産投資一本で行こうと思っています。それぞれの性格によって向き不向きがあると思うので、何が合っているのかをしっかり考えるのは大切ですよね。
Kaibe 「今これで儲かる」と直感したらすぐさま乗るというスタイルが三崎さんには合っているということですね。ところで、FXをされたことはありますか?
三崎 昔はFXをやっていた時期もありました。売買スタイルは、経済指標が発表されるタイミングを狙うファンダメンタルズ重視のスタンスです。約定しない証券会社が多かったのですが、その中でも約定する証券会社を必死に探して取引をしていました。
しかし、現在はFXをやっていません。現在は経済指標で利益を狙う方法を試したとしても、それで勝てるとは限りません。当時の私が勝てていたのは、その手法に優位性があったからでしょう。現在は優位性が失われていると思います。
Kaibe 今は各社がしのぎを削っているので、指標トレードの穴はなくなりました。そのため、三崎さんがおっしゃるとおり、その穴を狙う手法で勝つのは難しく、同じうまみは得られないかもしれませんね。ちなみに、三崎さんはFXの自動売買を使ったことはありますか?
三崎 ありません。正直、勝てるイメージが湧きにくくて…。
Kaibe 私はFXの自動売買(以下:EA)のプログラムを自分で書いて、それを動かして収入を得ています。EAも上手に運用すれば勝てるようになりますよ。私の場合は年率20〜30%といったところでしょうか。
三崎 そんなに勝てるのですね。年率20%は素晴らしいと思います。
Kaibe 初心者の中には、損切りしないEAを使う人が多く、全損して終わるという人も少なくありません。しかし、真っ当なソフトを使えばきっちり損切りも行われますし、最終的にプラスに着地することが多いです。
三崎 それは毎年勝てるんですか?
Kaibe そうですね。自作した一番自信があるソフトを5年前から稼働させていて、毎年プラスで終えています。
三崎 月単位で見るといかがですか?
Kaibe 月単位では3~4回ほどマイナスの月があります。しかし、他の月がプラスなので、年単位で見るとプラスです。EAは年単位の成績で判断するほうが良いと思います。
三崎 なるほど。ただ、たくさんのロットで売買するのは難しそうですね。
Kaibe そうですね。ロットが多いと注文が入りづらい傾向はあると思います。とはいえ、100万円~1000万円ぐらいの資金だと、そこまで問題はありません。EAはサラリーマンが個人口座で運用するには適していると思います。

三崎優太の新たな挑戦。バイク開発事業で勝ち筋を
Kaibe 三崎さんの今後の目標を教えてください。
三崎 バイクメーカーを立ち上げたので、まずは1台でも世の中に出すことです。バイクは一から作っているので苦戦していますが…。
Kaibe どのようなコンセプトのバイクなのですか?
三崎 業務用の電動バイク(EVスクーター)で、配達する人たちが乗りやすいバイクを目指しています。将来的には自社工場を持って出荷できるところまで到達したいです。電動バイクはあまり浸透していないので、これからだと感じています。また、若者のバイク離れがあるのも感じていますが、若者に刺さるスタイリッシュなバイクを作りたいです。
Kaibe 「三崎さんのようになりたい」と思う人へメッセージをお願いします。
三崎 「自分には無理だ」と思わずに行動し続けること。多くの人は「やりたい」と思ったことがあっても、実現する前、行動する前に諦めてしまいます。できない理由を探すより、成功するイメージを持って行動し続けるほうが、人生にもプラスになるのではないでしょうか。
今の私があるのは、これまで多くのことを諦めてこなかったから。だから、バイク事業にしても何にしても、私は成功するまで続けるつもりです。
インタビュー日◉2024年11月12日
撮影協力

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