FX、それと株価指数や商品などのCFD、暗号資産のレバレッジ取引など、現物ではなく証拠金によって取引をする金融商品は、資金管理が極めて重要です。現物株、暗号資産の現物保有などは、いわゆるレバレッジ1倍の取引なので、ある意味見えている評価額が全てであり、最悪の展開になっても口座は飛びません。ゼロになって終わりです。それに対してレバレッジをかける取引は、毎回の取引による損益と、もともとの資金がパッと見で連動していないため、自分で管理しないといけません。そしてこの資金管理こそ、FXなどの醍醐味であり、投資とギャンブルを分ける重要な要素です。
資金管理だけで本が一冊書けるほど奥深い世界ですが、基本の基本は「損失額から戦略を決める」です。いくら勝ちたいかではなく、いくら負けてしまうかが軸になります。稼ぎたい金額でロットや戦略を決めるのは、単なるギャンブルです。なぜなら相場のほとんどの部分は思いどおりにはなりませんし、人間の欲望には際限がないからです。資金が10万円しかないのに、一撃で100万円を勝ちにいけば、極めて高い確率で破綻します。
相場で思いどおりにできる数少ない要素が、売買ロットと損切り価格です。どこまで上がるか、いつまで下がるか、いつから動き出すかは決して思いどおりになりません。であれば、自分でコントロールできることを売買戦略の軸にすることで、計画的なトレードができるというわけです。
裁量トレードの考え方例
①トレード1回の最大リスクを資産の何%にするか決めておく
②エントリー時に損切り位置を決め、到達したときに何pipsの損失になるか計算
③①で決めた最大リスクの金額からロットを決定して取引
EAなどの自動売買の考え方例
①5~10年程度のバックテストを行う
②バックテストにおける最大ドローダウンが15%になるようなロットで運用をする(=バックテスト時の最大ドローダウン金額の6.6倍の資金を用意する)
リピート系自動売買の考え方例
①月足でチャートを分析して、長期的なレンジの範囲を想定
②相場が逆行して長期的なレンジの上下限に到達したとき、資金が十分に残るような注文の本数を設定する
これらは一例でいろいろな考え方はありますが、どちらにせよ損失を軸にした戦略のほうが、長くトレードを続けやすいのは間違いありません。ただ、こういったトレードは、見栄えが悪く退屈で、エンターテインメントとしては到底成り立ちません。長く投資の世界で生き残り、着実にお金を増やしている人の話を聞くと、良い意味でワンパターンのことしかやっていないものです。