楽して儲けたい。それは全ての投資家の望みといっても過言ではありません。
ですが、本当に何もせずに儲けは出ないもの。
そこで「不労所得」ならぬ「微労所得」という考え方を提唱されるOnyさんに、そのノウハウをご教示いただきます。
Ony(おにー)氏プロフィール
日系大手IT企業から外資系大手IT企業で働きつつ、FX・米国株を中心に活動するトレーダー。X(旧Twitter)では不定期にスペースを開くほか、「#おにーさんの微労所得」にて日々の実績を配信。ブログ「Onyさんといっしょ」では、トレード戦略別の情報も整理・発信している。
効率的に労力を投じるそれが「微労所得」
この雑誌、そしてこの記事をお読みいただいているあなた。少なからず投資に興味を持っていらっしゃるかと思います。早速ですが、ひとつ、問いかけをさせてください。あなたの投資は、何のために始めたものでしょうか? 億万長者になりたい? 宝くじみたいに一瞬で大金を得たい? もちろん、そういった願望がないわけはないでしょう。しかし、それを「投資」という手段で本当に実現できると考えて、取り組んでいますか? 恐らく多くの方は、そのように考えてはいないのではないか、と思います。ほんの少しでも日々の暮らしの足しにしたい。そんなささやかな願いで投資を始めた方が多いのではないでしょうか? 私もそうです。
このような希望を満たす手段として「不労所得」という言葉が一般的に使われています。とても良い響きの言葉ですが、本当に「何の苦労もせずにお金を得る」ことが可能でしょうか? 私はそうは思いません。
お金を得るためには、必ずどこかで苦労する必要があると考えています。労力を先行投資する、と言い換えても良いです。よほどの幸運に恵まれない限り、不労所得は得られないのです。ですが、投じる労力を効率化することは十分に可能ではないでしょうか。そして、多少なりとも労力をかけられるなら、日々の暮らしの足しにするような程度のお金ならば、十分に得られる可能性があるのではないでしょうか。私はこの考え方を「微労所得」という造語で表しています。
ここでいう微労とは、「完全に放置するのではなく、週に数回~月1回くらいの生活に影響を及ぼさない程度のメンテを行うこと」であったり、「手順通りに運用しつつも、運用手順や設定の意図を汲み取って理解を深める」などの、労力を効率的に投じることを指しています。ちょっとした労力を引き換えにしさえすれば、老若男女問わずどなたでも効果的なトレードができるような方法を、私は日々発信しているのです。
微労所得の代表戦略。ユロっとおにー手法
微労所得シリーズにはいくつかの代表的な戦略があります。今回はその中でも、最近もっとも注目を浴びている、「ユロっとおにー」をご紹介します。
この戦略は、ユーロ円のロングのみで特定の時間にエントリーし、あらかじめ設定しておいた指値/逆指値をエントリーと同時に発注するシンプルな運用です。取引回数は特定の時間帯で1日に1回のみ(エントリーを分割する場合は複数回取引)ですが、利益値幅が0.03円と非常に狭いため、スキャルピングの一種といえるでしょう。
時間指定成行と決済pips差注文の組み合わせで発注できる機能がある口座であれば、発注操作こそ毎日行う必要はあるものの、エントリーとイグジットは自動で行われます。また、上記の組み合わせ注文を自動で毎日繰り返し発注してくれる機能もあります。この場合は毎日の発注操作も自動になるため、ほぼ自動売買として運用することができます。
ユーロ円スキャルピング戦略「ユロっとおにー」
テクニカル分析 | 使用しない |
トレード時間軸 | 1分足 |
通貨ペア | ユーロ円、ロングのみ |
新規エントリーの条件 | 毎週火曜日~金曜日のNY市場クローズ直前、想定予算に沿って決めたロット数でエントリー ※想定予算は1lot=0.1万通貨あたり1.40万円 |
メイン | NY市場クローズ55分前 (夏時間なら5時05分、冬時間なら6時05分)にエントリー |
サブ | NY市場クローズ53~57分前 (夏時間なら5時03分~5時07分、冬時間なら6時03分~6時07分)に分割エントリー |
決済の条件 | 利確指値は建値+0.03円、損切逆指値は建値-0.55円で決済 |
手法実行時のポイント
①日本市場クローズ後までポジションが残る可能性があり、その際には手動で決済する。午後5時~午後7時の決済が望ましい。
②早朝に拡大するスプレッドが成績に影響する可能性がある。分割エントリーでスプレッドの影響を緩和できるが、必ずしも成績向上につながるとは限らないので注意。
ヒロセ通商の取引ツール「LION FX C2」を使うことで売買を自動化できます。時間指定は夏時間5:05、冬時間6:05。リピート開始日は運用を開始したい日で、終了日は設定可能な最も未来の日にします。pips差は指値30(建値+0.03円)、逆指値550(建値-0.55円)。利確19回分で損切り1回分の損失をカバーできる比率です。
「冊子発行時点の内容。最新ルールはユロっとおにー詳細ガイドを参照」
ユロっとおにーの主な優位性と留意点
ユロっとおにーは、極端な「コツコツドカン」型のトレードルールです。スキャルピングに近い極狭利確により高勝率をキープし、なるべく相場の影響を回避しながらドローダウンを極小化します。勝率が高い反面リスクリワード比は非常に低いため、一度損切りが発生すると、それまでの実現損益を大きく食いつぶしてしまう、という欠点もあります。
しかしながら、NY市場クローズ直前の、トレンドが低下した時間帯での普遍的な値動きパターンを狙っているため、今後の相場にも通用するのではないかと考えております。
長期にわたって一定のルールで運用を続けられる可能性がある、という点は、非常に大きな優位性といえるのではないでしょうか。
期待通りの平均年利をもたらすユロっとおにー
投資をしたことがある方であれば、一度は聞いたことがあるであろう、複利運用。上手に運用できれば非常に効果的な運用方法ではありますが、言い換えると、これまでに獲得してきた利益を常にリスクに曝し続ける、という状態なのです。
ところで、ここで平均年利という考え方を振り返ってみましょう。複利運用は、期待できる平均年利が高い投資対象や手法に対して活用されることが一般的です。そのため、平均年利が高ければ複利運用に向いている、と考えてしまうのではないでしょうか。ところが実際に運用していくと、平均年利の認識が間違っていなくとも、「どうも期待したように利益が増えていかないな…」と感じることが多くあります。その原因を示唆してくれるのが、図①と図②です。
どちらの図も、平均年利の値は同じです。ですが図②では、平均年利が確定するまでの間に、上振れも下振れも発生しています。例えばロングであれば、複利運用の原資となる利益は高値圏で発生します。複利運用の場合は、発生した利益をすぐに再投資する、つまり高値圏でさらにロングを入れる、という形が一般的です。すると、間もなくやってくるドローダウン期において、大きな評価損が発生します。そのため結局、平均年利の値から期待するほどの利益が複利運用において得られない、という状態に陥ってしまいます。ではどういう状態であれば良かったのかというと、答えは簡単です。投資対象が図①に近ければ良いのです。
複利運用向きの高勝率トレード手法
損益曲線をキレイな右肩上がりにするためには、「勝ち続けていること」が必要となります。そこでユロっとおにーの高勝率が役に立ってきます。勝っている回数のほうが圧倒的に多いため、増資するタイミングによらず、投じた資金による利益が得られやすいということです。
一定期間におけるプロフィットファクター(PF)が高水準であることも重要です。ユロっとおにーのバックテストにおいては、約2年の期間を切り取って、開始日を1日ずつずらしつつPFを確認する、という分析を行いました。その結果として、PFが1.0を割り込む期間が非常に少なかった、ということが分かっています。PFとは損失額に対する利益額の割合ですので、1.0を超えるということは利益額のほうが損失額よりも多いことを示しています。いつ始めても、2年間継続していたら利益額が損失額を上回った、という過去実績があることは、運用を続ける上での安心材料となるのではないでしょうか。
そして最後に、毎日決済を行うため、損益状況に応じてロット数を調整しやすいという利点があります。
こういった特徴を備えていることから、ユロっとおにーは複利運用に向いていると考えられます。また同時に、積立運用とも相性が良いといえるのではないでしょうか。
相場で長生きするためのコツコツ微労所得
最近、相場が非常に荒れており、どのような手法であっても運用難易度が高くなる期間が続いています。また、ちょっとしたきっかけで激しくリスクオフが起きる恐れもあります。そんな環境下でもコツコツとトレードを継続し、相場に生き残り続けることがとても大事です。ユロっとおにー、そしておにーさんの微労所得シリーズは、このような相場でも負けないトレードができるのではないか、と期待しております。ぜひ一度、少額から試してみてください。
ユロっとおにーが複利運用向きな3つの理由
①勝率が高水準で安定している
勝率が安定して高く、損切りもあるため、複利運用の大敵である「ロット追加直後の暴落」にやられる確率が低く、安心して再投資しやすい。
②プロフィットファクターの高期待値
開始日をずらしていった約2年(100週)のバックテストでプロフィットファクターが1.0を割る回数がとても少なかった。つまり、2年間運用した場合、高い確率で収益がプラスになり、再投資の収益性向上が期待できる。
③出口戦略が毎日機能する
毎日必ず決済するため、その時々の資金状況に合わせてロット数を調整するチャンスが多くなる。
FX雑誌「外国為替」vol.14
発売:2024年12月23日(月)
定価:980円(本体891円)