私はいろいろな市場(商品)でトレードをしていますが、その中でも得意なのが日経平均先物です。日経225先物とも呼ばれますが、とても面白い市場であり、攻略法も結構あるんですが、いかんせん非常にマイナーです。なので今回は、まずこの商品についての基礎知識を解説します。
日経平均先物とFXの違い
日経平均先物は、日本経済新聞社が公表している日経平均株価を原資産とした金融商品です。日経平均は日本を代表する225社の平均株価。つまり、日本企業全体の浮き沈みに対して投資をします。
先物と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、基本的な仕組みはFXと同じです。ポジション保有のために証拠金が必要で、保有ポジションに発生した損益が口座資金に対して適用されます。
また、FXや株式などと同様に、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析が有効で、市場の需給や参加者の心理などにより価格変動する点も同じです。つまり、FXの勉強をしている方なら、これまでに得た知識や技術がそのまま通用することも多いです。
市場の開始と終了が値動きのクセを生む
次に、日経平均先物のメリットを見ていきましょう。FXと比べて大きく違う点の一つが、取引の開始と終了の時間が明確に決まっており、さらに市場が動いていない時間が毎日あることです。土日がお休みなのは同じですが、日経平均先物は8:45~15:15の前場と、16:30~翌日6:00の後場が取引可能時間で、ここ以外の時間帯は売買できません。個別株の寄引と同じく、参加者が意識するスタートとゴール、休憩の時間が決まっているため、それを見越したトレード戦略が機能することもあります。
平日ならほとんど切れ目なく市場が動き続けるFXでは、窓が開くのはほぼ月曜朝だけですが、日経平均先物の場合はギャップアップ、ギャップダウンが頻繁に発生します。これも個別株と同じイメージで捉えて問題ありません。
また資金効率が良い点も見逃せません。日経平均先物ミニという、おおむねFXでいうところの1万通貨取引に相当する取引サイズがあるのですが、これを1枚持つための証拠金は16万円前後です(2022年12月時点)。こう聞くとレバレッジ25倍のFXの方が資金効率が良さそうですよね。ですが、日経平均先物は非常にボラティリティが高く、ミニ1枚でも半日で数万円程度の利益、あるいは損失になることはよくあります。FXで半日程度で数円動くことはあまり多くありません(2022年の相場は例外的)。
FXほど情報やツールは多くない
もちろん、日経平均先物にもデメリットはあります。まず、精算日が決まっているため、FXのように年単位でポジションを持ち続けることはできません。デイトレからスイング程度の、中期保有までに適した商品です。
また、FXほどツールは発展していません。FXには、MT4やTradingViewのような、無料、あるいは低価格で使える優れたツールがたくさんあり、それを前提にした運用テクニックや自動売買がたくさんあります。先物は取扱会社数も多くなく、非常にマイナーな市場といえます。ですが、マイナーだからこそ、付け入る隙があったりしますが、そのあたりはまた次号にでも。
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)