「陣営」「軍」「練兵」「STF」といった独自のワードを織り交ぜながら、集団戦としてのFXを追求する投資家スケーターさん。
今回も、誰にも真似できない世界観が炸裂しまくりのインタビューとなりました。
必見はSTFの考え方。ボリンジャーバンドの±1σを境界とする、汎用性の高い環境認識であり、裁量トレーダーであれば知っておいて全く損はありません。
投資家スケーター(とうしかすけーたー)氏プロフィール
中2からスケボーばかりしていたら極貧のドン底に。現状打破のためにFXを学ぶも失敗を繰り返して短期間で何度も退場。しかし研究を繰り返した結果、7か月目で自分のトレードスタイルをつかむ。資金4000円から這い上がった金沢在住1988年生まれのスケートボーダー。
聞き手・本文◉武田貴士
持っていかれるときはまず一瞬
─相場でやってしまったという具体的なエピソードを教えてください。
投資家スケーター(以下・ス) 僕の過去最高のやらかしは、900万円負けてから、その悲劇を忘れたいと思って100万円さらに負けてしまい、一日で合計約1000万円失ったことです。4、5年前ぐらいのことです。
当時、1000万円到達目前で、あとちょっと行ってやろうというのが罠でした。本当にFXの不思議なところです。持っていかれるときはまず一瞬ですね。
─いきなり強烈です。今思えば間違っていたと思う勉強法やトレードのやり方はありますか。
ス 僕自身、一人でやるしかないものだと思ってFXに取り組んできたんですが、本当はそんなことなかったんです。
今、自分のメインの活動として、みんなで「軍隊」として相場に取り組むことを真剣にやっています。一人でやるより有利なことがはっきりしているので、この道をもっと早く見つけられたら良かったですね。全力でそのときのベストを選んできたつもりではあるんですけど、やっぱりそんなに甘くなかったと感じています。
チームの率い方、軍団員さんたち、メルマガ会員さんたちの率い方というか、声のかけ方、モチベーションの上げ方についても、FXで力をつけて、一人でブチ抜いてやろうぜっていう方針でやってきました。でも実際には、僕が今までやりたかったこと、やっていたことをそのままお伝えしたことで、かえって遠回りさせてしまいました。
なるべく一人でトレードをしない
─真似させるのが難しかったということですか?
ス 僕はFXを始めて8年以上生き残ってきたので、その年数分だけ苦節も乗り越えてます。だから一人でFXで「ブチ抜ける」ことのいろいろな厳しさがはっきりと見えてくるんですよね。これを一人で受け止めるのは並大抵のことではないと、スタート時点から認識しておけばもっと良かったかなと思います。
─その失敗から得た教訓で現在に生かされていることは何かありますか。
ス 一人でトレードをしないことですかね。仲間とトレードをすることで、嘘はつけないです。自分のポジションもそのときいる人と共有して、一緒にトレーダーとして相場を見て、自分はこんな感じでやってるんですけどって、相談に乗ってもらいます。お互いに相手のトレードや考えを知りたいですよね。
─お互いに情報を共有するけど監視し合うわけじゃなく、緊張感のある関係ということですかね。
ス そうですね。「軍隊」として、緊密な連携を取り合った先にある可能性に大いに期待しています。その魅力が本当に半端じゃないです。人が増えると純粋に目の数と手の数が多くなるので、そこに一貫した手法があれば確実にみんなでやる方が強いですね。
─全員でレベルアップするようなイメージですね。
ス 皆さんが、なぜ一人で「お茶摘み」を続けているのか心配になります。相場には3種類しかなくて、トレンド、レンジ、動かないけどボラティリティが高い危険なとき、の三つです。この「お茶摘み」を5~6割の勝率でやっていくわけです。トレードって期待値をたくさん試すゲームじゃないですか。これを一人でやるか、揺るぎない行動原理の基で100人でやるかって考えた場合、確実に100人の方が強いはずです。
到達した結論とは?
人が増えると純粋に目の数と手の数が多くなるので、そこに一貫した手法があれば確実にみんなでやる方が強い。
ヤケクソのトレードで数千円が10万円に
─おっしゃる通りですね。勝ち組への転換点ということで、収支がプラスに転換し始めたきっかけを教えてください。
ス 僕の場合は、トレンドフォローの単発ポジションで、リスクリワードを決めてコツコツ積み上げるのが無理だったので、ヤケクソのトレードで数千円が10万円になったという最初の衝撃をひたすら追い求めています。それを再現したいという気持ち一本でここまで来れました。
─ちなみにトレードを始めてからどのくらいのタイミングでしたか。
ス 6か月くらいですね。半年くらいでちょっと我慢できなくなって、チマチマとトレードしては仕事の休憩の度にポジションが切られて、また注文を入れての繰り返しで、自由がないと思いまして。
─効果があったトレーニングとか勉強法とかは何かありますか。
ス みんなで「Forex Tester」を囲んで、共通で一致させたい目線などの認識や、トレンド判断のすり合わせをします。仕上げにピボット、N値、フィボナッチのようなスパイスを少し乗せて、手法を完成させている上手なトレーダーが周りにいっぱいいるんです。そういう人とのセッションですね。
─それをやる時間や頻度はどのくらいですか?
ス 「ゴフェルの投資家」という名前のトレーダー集団なんですが、メンバーたちは19人の隊長さんの下について、軍隊の「練兵」として日夜活動してます。朝やってる奴らもいたり、午前10時からくる女性がいたり、夜通しやっちゃうような奴らがいたり、本当に居合わせた人次第です。
分析をした上でどう取りに行くか
─部活みたいで楽しそうですね。時間足はどれを使うんですか。
ス 時間足は用途に応じて月足から1分足まで全部使いますね。時間足ごとに役割ってあるじゃないですか。極端な話、月足ではエントリータイミングを計れないので、となれば短期足ですよね。でもまずは「やりたいこと」が必要です。それを実現できるマルチタイムフレームの用途の選択ですね。
長期チャートも短期チャートも同じようになるという前提で、長期の時間足の見解は遠い未来の絵図、短期の時間足の見解は近い未来の絵図になります。その間を15分足、1時間足、4時間足がつないでくれるわけです。見解のグラデーションですね。長期足の方に短期足が沿うところに乗っていく、これが大まかな勝ち方のイメージです。
─やはり大きな値幅を狙っていく感じですかね?
ス 僕個人はそうなんですけど、その値幅の切り取り、イグジット戦略はエントリーと一体です。どう分析するかは別に手法ではなくて、分析した上でどう切り取りに行くか、これが手法だと思っています。僕は大きく抜きに行くので、小さい勝ちでは終われない、だから時間がかかります。
例えば短期足で上を狙う場合、下げないなと思ったら、小さいポジションを入れ続けて、4時間足が狙った絵になったら僕の大勝ちです。それに合わせた資金管理もしているし、メンタルも作っています。この戦略を「一騎打ち」と呼んでいます。
投資家スケーターとしての収入は減っている
─次に、2023年もしくは直近の収支を教えていただけますか。
ス ズボラなので正確には把握してないんですけど、そんなに多くないですね。最近は「数十万~百万円いったらヨッシャ!」ぐらいの規模でやっています。入金した5万円が50万になったら出金して、また5万円を入金する…という感じです。いってしまえば、暮らせるお金があれば別に大丈夫なんです。
─ちなみにサロンの会費っていくらですか?
ス 最初は5000円で、次からシステム管理費500円が乗る形でやらせてもらってます。元々は3万円で売っていたものもあったんですが、勝ち方とかはもういいだろうと思って安めに設定しました。はっきりいって投資家スケーターとしての収入は減っているんですけど、だからこそみんなと足並みが揃うし、僕自身もこの軍で勝つしかないんですね。抜け駆けが一切できないというか、する気もないですし。だから今が最高に楽しいですね。
これだけは覚えておいてほしい知識、技術
ボリンジャーバンドの上下1σより価格が外側にある場合、そこで終わっているローソク足は、バンドの内側に帰ってくるまではずっと外側に行く。
ボラティリティが上がり、上下の1σから2回目の飛び出しでトレンド発生。
STFを利用した勢いとステージの判断方法
─初心者でも実行しやすいテクニックがあれば、教えていただけますか?
ス このページを読んだあなただけの、僕からの特別プレゼントですよ。本当は袋とじにしてほしいくらいなんですが。
─新しいですね、投資雑誌なのに袋とじ(笑)。そこをなんとかお願いします。
ス STFというものがあります。何回もいろんなところで紹介しているんですけど、まだ知らないという人はこの機会に覚えていてほしいですね。
─STFというのは何の略ですか?
ス 必要に迫られてパッとつけたんですけど、MTFの「マルチタイムフレーム」じゃなくて、スケーターの「スケータータイムフレーム」です。あとは元プロレスラーの小川直也の必殺技「STO」を若干イメージしました(笑)。
─STFについて、今号から読み始めた人でも分かるように教えていただけますか。
ス 簡単にいうと二つのルールがあります。一つ目のルールは、ボリンジャーバンドの上下1σより価格が外側にある場合、そこで終わっているローソク足は、バンドの内側に帰ってくるまではずっと外側に行くと考えます。これを「勢い」を読む視点として、持っておいてください。
二つ目のルールは、その1σへの突入回数を見ていきます。レンジになっていて、価格が1σの中を行ったり来たりしている場合、動きがないですよね。ここからボラティリティが上がると、価格が上下どちらかに飛び出します。1回目に飛び出てもそんなに動かないんですよね。
例えば、1回目に下に飛び出してから戻ってきた-1σでは、もちろん落ちるかもしれないですが、大体反発せずに素通りして上昇します。ミドルバンドか、もう少し上のフィボナッチリトレースメント61.8%のわずかに上ぐらいにある+1σのところまで戻ってから再び下落して、-1σの外側に2回目のブレイクをすれば、下降トレンドが発生したと考えます。
この下降トレンドが終了する条件は、トレンドとは反対側の+1σをローソク足が実体で抜けたときです。これを「方向感」を読む視点として持っておいてください。
まとめますと、重要なのは勢いの方向とそのステージ判断、今が第一波なのかです。+1σを一度ドンと突き抜けたら第一波といいます。そこからミドルバンドや-1σまで押してきて、もう一度上に抜けたら第三波で、STFのカウントでも2回目なんで上昇トレンドです。このステージ判断、方向感の判断が、ここで両方合ってくるときを攻めるだけで勝率がグンと上がります。これをマルチタイムフレームでさらに重ねていくんですよ。
戦い続けている人は全員が「本物」
─具体的にありがとうございます。コミュニティを運営されている方で、ここまで一体感を持ってトレードしている人は少ないですよね。
ス 本物か偽物かを分けるとしたら、「どこまで勝ち続けたら本物なのか?」って話になりますし、僕から見れば戦い続けている人はもう全員本物ですね。
─真剣に相場と向き合ってるかどうかっていう問題がまずありますよね。
ス おっしゃる通りで、相場と向き合う姿勢を持ってる人も本物です。たとえ今負けていたとしても、将来的に勝とうとしてるんだから、今の成績だけ見てヤイヤイいうなって思うんですよ。だから僕にとって2023年の獲得金額がどうだとかは大きな問題ではなくて、2024年が始まったら仲間と共に成績を全部晒すから見とけよ、みんなもやろうぜっていう回答ですね。
─素晴らしいですね。最後に頑張る個人投資家に何かメッセージがあればお願いします。
ス 全トレーダーに幸あれ。ありがとうございました!
インタビュー日◎2023年11月21日
投資家スケーター氏のSTFを利用した環境認識例
ボリンジャーバンドの±1σを基準に現在の流れを絞り込み、突入回数で最も動くタイミングを探る考え方を、実際のチャートを見ながらイメージしてみましょう。
さらにチャート例でこの理論を学びたいなら、こちらの記事をチェック!
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