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村居孝美氏インタビュー「中身が分かる自動売買で運用と戦略を学びシステムトレーダーとして成長できる環境を」

村居孝美氏インタビュー「中身が分かる自動売買で運用と戦略を学びシステムトレーダーとして成長できる環境を」

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FXでの這い上がりを誓う女子トレーダー&ライターの星村侑希が、新サービス「ロジツク」開発者の村居孝美さんに切実インタビュー!

プログラムの知識は不要、中身が見える自動売買をあえてリリースする意図、システムトレードで成功するための要点などを聞き出してきました。

村居孝美
村居孝美(むらい たかよし)氏プロフィール

海外の成功トレーダーやヘッジファンドのシステムトレード戦略モデルをベースとして、市場独自の「アノマリーと値動きパターンの規則性を捉えた売買戦略の検証・作成」や「複数の売買戦略のポートフォリオ検証・作成」が一括管理できる「KENSHIRO」を開発・運用。【著書】トレードの成功哲学 (パンローリング)

聞き手・本文◉星村侑希

─村居さんがFXに参入した経緯を教えてください。

村居 2022年の12月にFXに参入して、今年の1月から実際に売買を始めました。僕はもともと株のトレーダーで、個別株や先物をメインにトレードしていました。

 25歳のときに起業してから、ずっと起業畑でビジネスをしてきたんですが、米国株のセミナーを受けたのをきっかけに、これからの時代はトレードだと確信しました。それで、投資のスクールを始めるためにそれまで経営していた会社を全部辞めました。

 その後、借金だけが残ったので、知り合いの事務所に寝泊まりしたり、紹介してもらったシェアハウスで暮らしながら、100万円を元手にトレードを始めました。最初は月々10万円くらいを稼いでいて、その成績を見せながらトレード塾を開きたいと知り合いの経営者に出資を募りました。今の会社はそこから始まっています。

 現在は日経先物とETFのシステムトレードができる「KENSHIRO-225」というソフトを提供しています。以前は、個別株の中で取引の条件が揃った銘柄をスクリーニングするソフトもリリースしていて、会社としては18年以上が経ちます。

 最初の株のソフトは自動売買ではないので、パソコンの前に張り付いている必要がありました。ただシステムを使って取引の条件を見ていたので、広い意味ではシステムトレードといえるかもしれません。徐々に月60万円とか100万円くらいを稼げるようになり、投資のスクールを始めました。

 その後に日経平均の先物にも参入し、KENSHIRO-225の先駆けとなるソフトの運用を始めました。2011年に空売りのサインに従ってエントリーしたら、暴落でものすごく儲かったんですよね。そこで儲かったシステムだけを残して他のものを外したら、翌年の2012年に株価が横ばいで動かなくなってしまい、ちゃんとポートフォリオを組まないと駄目だと気づきました。

 当時ちょうど出版の話がきていたので、プロのヘッジファンドの人たちがどういうトレードをしているのか勉強するため、海外に渡ってラリー・ウィリアムズやタートルズなどいろんな投資家に会って、トレードのやり方を聞いて回ったんです。そこで得た知見を個人でも体系化できるように作ったソフトがKENSHIRO-225です。

 一般の人がイメージしているテクニカル分析と、プロが見ているところは少し違っていて、僕のソフトには彼らが使っている方法を取り入れた、四つの取引条件が組み込まれています。その四つとは、「イベント(ファンダメンタルズ)」「アノマリー(季節性)」「時間」「テクニカル」です。まさに僕が本当に欲しかったシステムを作ったというわけです。

─ここまで完璧に株で儲けることができているのに、FXに参入しようと思ったのはなぜなんですか?

村居 ご存じの方もいるかもしれませんが、どの市場にも調子が良いときと悪いときがあるんですよね。しかもそれが1年、2年と続きます。多くの人はその悪い市場の中で利益を出そうと頑張りますが、プロは違うんです。いろんな市場でポートフォリオを組んだり、あるいは市場を切り替えていきます。

 大きく動いた市場はその後動かなくなるので、例えばラリー・ウィリアムズは稼いだ後には市場を切り替えていくタイプの人でした。僕もある市場の調子が悪いときには、調子が良い市場と組み合わせて運用したいので、FXのシストレソフト「ロジツク」を作り、FXに参入しました。

─FX業界に参入して感じた良いところや悪いところはありますか?

村居 FXって難しいじゃないですか。参入する前は、どうしてみんな難しいのにFXをやるんだろうって思っていました。ブローカー選びも難しいし、当たり前のことが当たり前じゃない世界です。

 先物とFXで大きく異なるのはスプレッドの存在ですね。先物にはスプレッドがなくて、手数料も安いので利回りは良いです。FXのトレードの検証をしていて、スプレッドがなければ右肩上がりに利益が増えるのに、スプレッドを入れるときれいに右肩下がりになったりするんです。スプレッドがあるから長期売買より短期売買の方が難しいにもかかわらず、多くの人がその難しいことをやっていたりします。

 一方で、FX業界の良いところは、「無料」のものが多い点です。SNS上でも信じられないくらい良質な有料級の情報が無料で見られますよね。ただ、良くない情報と見分けるのが大変だったり、優良な情報発信者が撤退してしまうことがあるのはデメリットかもしれません。

 もう一つFXで僕がびっくりしたのが、自動売買の中身を明かさないことです。この業界ならではですよね。だからこそEAならではの課題というのがあります。ブラックボックスで中身が分からないから、買った人がどこで止めればいいか、マーケットが変化したときにどう戦略を変えたらいいかが全く判断できないんです。

 EA業界のリテラシーを上げようという活動も盛んですが、EAの中身が分からないとリテラシーを上げるのは難しいですよね。裁量トレーダーだと戦略を学べるからリテラシーを上げられるけど、EAではできないので、EAを分析するリテラシーを上げるしかない。これがFX業界の流れだと感じています。僕のロジツクは、売買する自動売買の中身が全部分かるので、EAとは全く違うものになります。

ロジツクのメイン画面
ロジツクのメイン画面。複数の売買戦略をポートフォリオにした際の、総合的な資金管理が表示されている
ポートフォリオの年ごとの成績
ポートフォリオの年ごとの成績。利回り、最大DD、勝率が分かる
個別の売買戦略の成績を確認できる。十分な情報量だ
個別の売買戦略の成績を確認できる。十分な情報量だ

─ロジツクとEAの違いを具体的に教えてください。

村居 EAはファンドみたいなものだと感じていて、EAの開発者がファンドマネージャーです。作った人にお任せで運用するスタイルなので、設定値などは開発者に任せて触らない方がいいです。

 ただ、それだとマーケットの変化に合わせることができないので、ドローダウンのときにEAを止めるくらいしかできません。本来なら、戦略が今のマーケットに合っていないと分かったら、すぐに止めるべきです。

 去年のゴトー日などが分かりやすいですが、成績が良かった後は一般的には悪くなりやすいですよね。利益が出たところで勝ち逃げした人は良かったですが、運用を続けた人はひたすらドローダウンの期間を耐えるしかありません。トータルして5年や10年で利益を上げるんだったら、そんなにリスクを取ってはいけないんです。でもEAにはEAの良いところもあって、ほったらかしで運用できます。

 ロジツクはEAとは全然違うもので、自分が主体となって戦略も学んでいくものです。より裁量に近い自動売買だと思っていて、イメージとしては自分が監督になって、ロジック(戦略)が選手ですよね。選手をどう扱っていくかを考えられるのがロジツクの良いところです。手法を修正することもできれば、ポジションを入れ替えることもできます。全部の戦略で検証もできるし、資金管理や利回りも画面上で全て確認できます。

─ロジツクで検証する流れを教えてください。

村居 まずロジツクは、運用する手法の数によって月々のサブスクリプションで利用できます。でも、運用する手法の数に関係なく、検証はいくらでもできます。実際に運用するにはサイン表示を出す必要があるため、その数に応じた料金プランを契約しなければなりません。

 検証の際は、検証したい手法のロット数を打ち込み、検証ボタンを押せば、運用資産のグラフやレポートが表示されます。手法の作り方も簡単で、先に述べた四つのトレード条件がロジツクにも既に組み込まれているので、例えばFOMCの日だけのトレードを検証したい場合は、イベントのFOMCのチェックを入れるだけです。反対にそのときだけを外したいならワンクリックで外せます。

 検証ボタンを押して、テスト結果が表示されるまではだいたい数秒です。バックテストの期間は2005年くらいから現在までの結果を見ることができます。検証したい曜日、週、ゴトー日、休場の有無もボタン一つで選べます。そうして出てきた結果を見て、再び条件を変えてすぐにバックテストを行えます。

 またロジツクには、ポートフォリオを組み合わせてのバックテストも標準装備されています。全ての手法を組み合わせた場合の利益も分かるので、複数の手法でお互いを補いつつ、トータルでマイナスにならない組み合わせをひと目で確認できます。

 運用資金の計算も簡単で、全体リスクから自分の許容できるリスク、例えば最大15%と打ち込んで検証ボタンを押すと、最大ドローダウンの金額が15%になるようにシミュレーションしてくれます。そうするといくらの運用資金が必要かが自動で計算されます。これまでEAでの検証が難しかった人にも、ロジツクは向いています。

─ロジツクを開発するまでの経緯と、今後の目標を教えてください。

村居 ロジツクを開発しようと思ったのは、まさに一番に自分が欲しいソフトだったからです。これからFXでトレードをしようと思っても、ソフトがないと僕はトレードできないので、自分で作って運用し始めたんです。

 今後の目標は、たくさんあります。まずは最適なポートフォリオ戦略を構築することです。ロジツクの月間成績ではポートフォリオのバランスを見ることができるので、これが毎月プラスになるようにしたいです。うまく組み合わせれば、全体リスクを増やさずにリターンだけを増やすことができます。

 二つ目は、トレセンプラスというサイトを公開しているのですが、そこでロジツクの開発者を募集して戦略を出品してもらうことです。これまでのEAはプログラマーの人しか作れませんでしたが、ロジツクではプログラミングの知識が不要で自動売買戦略が作れるので、誰でも出品が可能になります。

 あとはロジツクの大会も考えていて、チーム戦で戦略を作って競い合います。日ごとや週ごとなどの成績の管理は全てロジツク内で可能なので、MT4を使わずに競争ができます。

─そもそもよく聞く「自動売買」や「システムトレード」はEAとは違うものなのでしょうか?

村居 よい質問ですね。自動売買とは、自動で売り買いを発注してくれることをいいます。システムトレードは、自動で発注をしなくてもいいです。例えば売買のサインを出して、トレーダーがそれを見て手動で注文を出す場合もあります。株では完全な自動売買はあまりなくて、サインを見て手動で売買するシステムトレードが主流です。

 EAとは、MT4やMT5というソフトの一機能です。MT4やMT5の中でEAを設定することで、そのプログラムに従って自動売買をします。ロジツクはMT4やMT5で自動売買を行うためにEAを使っているので、広い意味ではEA運用ですが、大きく違う点があります。

 普通はEAの中に戦略が入っていて、それをいくつも設定して自動売買を行いますよね。ロジツクでは戦略を全てロジツク内で管理して、そこから出た売買サインをMT4やMT5のEAを介して受発注を行います。設定するEAはそのサインを読みに行くだけで済みます。

 EAはFXという為替の世界だけのものですが、ロジツクはプロと同じように、全部の市場における全部の戦略の検証を個人投資家が行えるのが大きなメリットです。今後、取扱銘柄が増えていけばすごいことになりますよ。

売買戦略の期日設定
売買戦略の期日設定を細かく行える
各売買戦略を、プログラム知識なしで作り込める
各売買戦略を、プログラム知識なしで作り込める

─ちなみに私はEA以前に、自動売買も初心者なのですが、お金持ちになるにはどうすれば良いでしょうか?

村居 まずは資金に対して自分が許容できる最大リスクを決めます。損失が大きくなると通常はそのシステムを稼働し続けるのが難しくなるので、最大でも10%くらいにするといいと思います。

 例えば5万円の損失を許容できるなら、資金は50万円程度にすると気持ちも安定します。バックテスト上の最大ドローダウンは、実際に稼働するとその2倍くらいまで拡大することもあるので、リスクを大きく設定し過ぎると証拠金がすぐ足りなくなってしまいますね。

─少額でスタートしてリスクを小さくすると、リターンも小さくなってしまいます。資金が少ない場合、もう少しリスクを増やして大きなリターン狙うのはどうでしょうか?

村居 その発想は自動売買で勝つための戦略とは異なります。自動売買は「期待値」の売買です。何十回、何百回と数をこなさないと、その期待値通りの結果にはなりません。リスクを取り過ぎてそこにたどり着く前に資金がショートして運用を止めてしまうと、戦略の意味がなくなります。一か八かのギャンブルと変わらないので、戦略の恩恵がないんですね。

 資金が少なくてリスクが取れない場合は、増えた分から最大リスク分の金額をいったん引き出せばいいです。そうすればリスクがゼロの状態で取引できます。そして、次に増えた分を今度は複利で運用すればいいと思いますよ。

 ただ5万円とか10万円を複利で増やそうとしてもしんどいので、やっぱり資金を増やすしかありません。毎月少しずつでも資金を追加するなどして、リスクは固定したままで運用資金を増やすようにするといいでしょう。

 他人が開発したEAでも利回りを増やすことはできますが、やっぱり自作の方が勝ると開発者の方はみんないいますね。でも普通はそこまでできないから他人の開発したEAを使うんですが、それだと利回りが落ちるのは当然の話です。

 ロジツクは他人の手法を買っても、中身が全部公開されているので、それを自分でアレンジして自作することも可能です。一つの例として、エントリー時間をずらすという方法があります。ロジツクでは簡単に取引時間を変えられて、それを行うだけで勝てるようになることもあるんです。

─なるほど、いただいた意見を参考に頑張ります! 最後に読者の方へメッセージをお願いします。

村居 ロジツクは中身が分かって、戦略を学べるという自動売買では初の試みですから、ぜひ普及させたいです。特に今までは、裁量トレーダーの方が自動売買に手を出しにくいという課題がありましたが、これを機にロジツクを体験してもらって、自動売買に参入してほしいです。

 ロジツクでは「戦略を学ぶ」という一番大事なところを誰でも実践できます。戦略が分からないと運用も分からないんですよね。リテラシーを上げるという意味でも、今までなかった戦略と運用のノウハウをロジツクで学んでほしいです。

 また、ロジツクを広く普及させたいのは、多くのトレーダーに今のレベルから脱却してほしいという想いもあります。受け口を広くして多くの人に愛用してもらうことで開発者や出品数が増え、新たな優れた戦略が生まれると期待しています。今は僕が20数年間培ったやり方しかないですが、そうやって仲間が増えていけば、自分以上の開発者も出てくるかもしれないし、それによって僕自身も向上できる。そうすれば業界全体も変わってくるかもしれないですよね。

 個人的に変革というものが好きなので、今はFX界隈に新しい波を起こしていきたいです。ロジツクでスターがたくさん誕生したら嬉しいですね。ロジツクを使った成功者それぞれがセミナーをやったりインフルエンサーになったりすると、すごく世の中が変わって華やかになりそうです。

インタビュー日◎2023年9月20日

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村居孝美
海外の成功トレーダーやヘッジファンドのシステムトレード戦略モデルをベースとして、市場独自の「アノマリーと値動きパターンの規則性を捉えた売買戦略の検証・作成」や「複数の売買戦略のポートフォリオ検証・作成」が一括管理できる「KENSHIRO」を開発・運用。【著書】トレードの成功哲学 (パンローリング)
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