
ビットコイン(BTC)は、3月8日に7万ドルを突破し史上最高値を更新。1月11日のビットコイン現物ETF承認時には、SEC(米国証券取引委員会)の公式X(旧Twitter)アカウントの乗っ取りが原因と思われる誤報に市場は翻弄されたが、結局ほとんど押し目を作らずに3月初旬まで上昇を続けた。
ビットコイン現物ETFは、2か月足らずで100億ドル以上の純流入を記録しているようだ。この資金流入は、同じ記録を打ち立てるのに、ゴールドETFが承認から約2年、S&P500は約3年かかったことを考えれば、大方の予想を上回る資金流入があったことが窺える。

ビットコインホルダーがこの高揚感のある相場に浮き足立つ状況には注意が必要であると思うが、現時点ではビットコインの相場に好影響を与える要素が多い。
まずは言わずもがな、ビットコインの半減期だ。これにより、マイニングが成功した際のビットコインの報酬は6.25BTCから3.125BTCへと半減。ビットコインのブロック生成は平均して約10分ごとに行われるため、1440分(1日)÷10分=144個に報酬のビットコインをかけて算出される1日の発行総量は、900BTC弱から450BTC弱に減少する。
マイニング報酬は、21万ブロックが生成される毎に半減するようプログラムされているため、正確な日付はネットワーク上でのブロック生成の速さに依存するが、3月21日執筆時点では、4月20日頃に行われる見込みだ。この仕組みが現在のビットコイン現物ETFの需要と重なると、供給量の不足から価格が押し上げられる要因になり得る。
ビットコインのブロックチェーン上にデジタルアセットを記録した「オーディナルズ」の取引高増加も価格上昇要因になる可能性がある。従来のNFTはイーサリアムやアバランチ、ポリゴン等のブロックチェーン上で作成されていたが、オーディナルズを通じて、ユーザーはビットコイン上でユニークなデジタルアセットを作成・取引が可能になった。3月初旬には、オーディナルズの初期のNFT「NodeMonkes」のフロアプライスが、イーサリアム上で発行された知名度と時価総額で指折りのNFTである「BAYC」に迫り、3月3日の24時間取引高はイーサリアムの1.5倍を記録したという。
ビットコインブロックチェーンの容量を不必要に圧迫し、トランザクション手数料が上昇するという意見もあるが、技術革新とビットコインのブロックチェーンの用途の開拓という意味では新しい取り組みだ。
最後に、各国の年金機構等の運用先としてビットコインが浮上してきていることだ。3月19日、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、運用ポートフォリオへのビットコイン組み込みを検討中であることがわかっている。日本のGPIFは世界最大規模の年金基金とされ、運用資産は220兆円以上と言われている。仮に1%の運用をビットコインで行うと決定がなされたとしても、ビットコイン大量保有で知られる米マイクロストラテジーの保有量200000万枚以上に匹敵するビットコインへの資金流入が起こり得る。
ここまで価格が上昇する要素を述べてきたが、注意点もある。
一つは、マイニング報酬の半減はマイニングによる収益性の一時的な悪化を意味するため、報酬の価値が最大化すると予想されているタイミングで、利確を試みる動きやマイニングオペレーション変更のための資金確保等で利益を確定する一時的な売りが入る可能性があること。

二つ目が、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始時期が遅れネガティブに影響した場合、景気・株価への悪影響と共にビットコインへの売り圧となり得るということ。当面は押し目で現物を集めるのが正攻法となりそうだ。
暗号資産市場はビットコインが牽引しているが、アルトコインにも春が訪れ始めている。日本時間3月13日23時頃、イーサリアムのアップデート「Dencun(デンクン)」が実装完了した。今回実装されたプロトダンクシャーディングは、レイヤー2(L2)からレイヤー1(L1)へのデータ転送コストを削減し、レイヤー2のユーザーにとっての取引手数料を大幅に引き下げる仕組みのようだ。
米国におけるビットコイン現物ETF承認から3か月ほどで、私自身も想像していなかった価格に対するポジティブな影響があった。今年5月にイーサリアムの現物ETF承認が本当にあるのかどうかは30%程度の可能性だと考えているものの、将来的に承認される可能性は高い。
アルトコインの王様とも称されるイーサリアムがビットコインの価格を追いかける形でオーバーパフォームする可能性はあるのか注視しておきたい。

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