歴史的な相場となった2022年
2022年を振り返って目に留まるのは、なんといってもボラの高さでしょう。「歴史的な相場」と言っても過言ではなく、確実に教科書に掲載されるレベルです!
ドル円の初動(2022年1月の始まり)は下落でした。
年初からしばらくは横ばいのレンジ相場で推移したため、緩やかな年になるかと思われましたが、3月2週目より円売り・ドル買いが強まり、ドル円はボラを拡大させ上昇を強めレンジブレイク。
3月1日に114.90円だったのが、3月25日には125円台に乗せました。
そこから4円〜5円の下落は全て押し安値となり、必ず高値を更新させていく大きな上昇トレンドを描く展開に。
しかし夏の7月につけた140円手前が天井となり、2週間ほど下落し続け、8月2日には年初来高値から9円ほど乖離することになりました。
コレを受けた投資家は想定上の下落で大きく損失を被り、その後は当然ながらセオリー通りどんどん戻り売りが活発に。
しかし、9円の下落は単なる押し安値となり、2か月後の10月21日には152円手前まで上昇。またもや売っていた投資家を焼き払いました。
それからは日本政府の「為替介入」が強い牽制となり、買い優勢でも買いにくい相場が継続。年初来高値から10円以上の乖離が目視された頃にはドル売りが強まり、わずか2か月弱に21円下落して年末を迎えることになりました。
2022年騰落率ナンバーワンの通貨ペアは?
ドル円が主要通貨ペアの中で「騰落率」ナンバーワンとなり、凄まじいボラティリティの高さを維持してきたことには、「恐怖指数(VIX指数)」が稀に見る高さをキープしていた背景があります。
1年を通してほぼ20以上で推移しており、為替や株価などの相場のボラの高さとしっかり連動していました。
プロのトレーダーやEAを回す人は警戒している指数なので、ご存じない方は覚えておくといいでしょう。2023年も「恐怖指数」には注目していきたいです。
2022年の“材料”を振り返る
ファンダメンタルズ分析では、主要国の「金融政策」「インフレ退治」が注目され、「利上げ」「インフレ率」といった重要指標の発表を受けて活発に動き続けた一年でした。
後半では「インフレ率」がピークアウトし、その結果から「利上げ率」「利上げペース」も鈍化したことから世界の相場は逆転し始めました。
この問題や状況はそう簡単に終わりそうもなく2023年も続くことでしょう。
1月は順張りの月。中国アノマリーにも注目
1月のアノマリーを紹介しましょう。
例年1月は「順張りの月」とされ、第1週目の相場の動きに順張りでトレードしていくのが良いと言われています。
その確率は過去11年間で70%ほどと、かなり強いアノマリーです。
株式市場でも日本では「大発会」から3日間程度、米国では年始から5日間程度の動きが「1年の相場を決める」などと言われます!
市場には縁起を担ぐ投資家が非常に多く、年初の出足が悪いとバイアスがかかるのかしれませんね。
他には「中国アノマリー」をご存知でしょうか。
中国の銀行で販売されている「理財商品」という金融商品の償還期限があるため、(理財商品の)デフォルト懸念が高まり「リスク回避の円買い」が非常に強まりやすい、とされています。
現在の中国では恒大集団の問題などでいつデフォルトが起きてもおかしくない状況ですから、あながち馬鹿にできませんよね。
米ドル/円、ユーロ/ドルの1月データ(過去10年分)
ドル円とユーロドルの1月の平均変動幅を過去10年間振り返ってみました。
2022年の平均変動幅は、直近10年間の各年のそれを大きく上回り驚かされました。
2023年の1月だけの材料で見極めるのは難しいですが、初月から引き続きボラが高いか注目していきたいと思います。
上か下かも重要ですが、トレーダーにとって日々の変動率は「収益率」「資金管理」にも大きく影響してくるので、ぜひ参考にして取り入れてください。
2023年も外国為替オンラインをご覧になっている方々にとって少しでも役に立つ記事を投稿したいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。
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