2008年春から夏にかけて、お世話になっていた編集部がFX雑誌を創刊することになり、自分も編集部の一員として働くことに。そのとき初めて投資の存在をちゃんと知り、書籍やWeb記事などを読みあさって、まず知識をつけていきました。
で、今はずいぶんマシになりましたが、得られる情報はおかしなものが多かったですよ。例えば、「FXはレバレッジをかけられますが、初心者は2倍くらいまでにしておきましょう」みたいな情報。実際にFX口座を作って入金し、取引システムを起動、ポジションを持つと分かりますが、投資家側が主体的にレバレッジを操作するって感覚はFXにありません。現在のレバレッジが画面に表示されるFX会社なら確認できますが、やっている方は「今、レバレッジ3倍で取引しているんだ」なんて、思うことはないんです。これはやってみれば分かることです。
このように、実際にトレードをやっていない人が情報発信するケースが、当時は今以上に多かった。ライターとして別の本の仕事をいただいたとき、編集部側から「取材相手のトレーダーのレバレッジを聞くように」というものがあり、「えっ?」って思ったけど、一応その通りにしましたが、ほとんどの人が「分かりません」「意識していません」という反応でした。
投資全体がたぶんそうですが、FXは非常に特殊な世界で、実際にやってみないと分からないことが多いです。だから僕は、いつもトレーダーとしての自分が知りたい情報を発信したいし、そのためにも身銭を切ってトレードしまくることが信条です。やらんと分からん…。
ただその反面、トレードをしている証ともいえる、成績の公開は割と難しい面があるなとも感じます。数年前に毎週トレードの結果をブログに書いていたことがあるんですが、僕レベルの弱小ブログでさえ、負け続けた時期に結果を出すことはストレスでした。また成績を出しまくる情報発信もしたいけど、もっと自信をつけて、実績を積んでからじゃないと投資成績にマイナスになりかねないと思っています。
だからこそ、成績をバンバン出して、なおかつ勝っている人はかっこいいですね。ただ、SNSとかでトレード成績を見るとき、「●円勝った!」「●円負けた!」みたいな、瞬間的な刺激に踊らされないでください。金額の多寡は重要ではなく、どれくらいの期間、どれくらいのリスクを取り、どれくらいの割合で増やせたかが大切です。一発勝負ではなく、再現性、持続性を見るようにしたいものですね。
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)