ゆかてぃん氏プロフィール
日本テクニカルアナリスト協会、認定テクニカルアナリスト。2019年からFXを開始。 過去にラジオNIKKEIに出演。人気FXYouTubeチャンネル「FXトレードルーム」にてMCを務める。
ハリス、トランプ、優勢なのはどっち?
リアル・クリア・ポリティクス(RCP)によると、9月25日時点でハリス氏がトランプ氏より2ポイント優勢となっています。しかし7つの激戦州の結果に左右される可能性が高く、予想が難しい状況です。
チャートから見る過去2回の大統領選
2016年、トランプ氏が初当選した年は、開票が進む中でトランプ氏の勝利の可能性が高まるにつれて、先行き不透明感からドル円が1日に4円以上下落する局面がありました。その後はトランプ氏への再評価や、積極的な財政政策への期待から、1か月で118円半ばまで大きく上昇しました(図①)。
2020年の大統領選では、バイデン氏が勝利し、結果的にはドル高方向に動きました。しかし、トランプ氏が「不正選挙」と主張し、選挙結果を覆そうと訴訟を連発。2021年1月に連邦議事堂襲撃事件に発展しました。先行き不透明感からドル円の下落が続き、バイデン氏が正式に大統領就任した1月20日ごろ、ようやく落ち着きました(図②)。
今回ハリス氏が勝利した場合、支持率が拮抗しているだけに、トランプ氏が前回同様負けを認めない可能性があり、先行き不透明感でドル円が下げる展開もありえます。どちらの候補になっても、株高トレンドのシナリオには変わりはありませんが、問題は為替です。現在のドル円の水準は高く、過去の大統領選時のドル円は100円から±約20円でした。今回の大統領選後のドル円の値動きは例外的になる可能性があります。
現在のドル円の水準から、150円以上のドル高になれば、間違いなく日本の財務省は円安けん制や為替介入に踏み切るでしょうし、過度な円安が物価高騰を通じて金融政策にも影響する懸念もあります。またアメリカも利下げ局面に入っており、万が一ハードランディングになれば、急激な金利の低下から大きくドル安になる可能性もあり得ます。
そういった現在の金融環境から見ると、ドル円は大統領選のアノマリー通りの値動きよりも、やや円高ドル安になるかもしれません。
今年の大統領選で起こりうる流れ
もしハリス氏が当選した場合は、現バイデン政権を継承する流れでしょうから、相場が大きく荒れるリスクは、トランプ氏の不正選挙の主張以外はないかなと思います。株高かつ、為替に関してはソフトランディングが意識され、来年にかけて緩やかなドル安トレンドをイメージしています。
もしトランプ氏が再選した場合は、まずドル安円高に大きく振れるのではないかと考えています。その後はリバウンドして徐々にドル安方向ですが、ハリス氏当選シナリオよりも早く大きくドル安に進みそうかなとイメージしています。トランプ氏の場合、減税・関税政策もあるので、先のインフレリスクもあり、アメリカのインフレ率がまた上昇する場合に再度利上げを行う思惑から、ドル高になる局面が来年後半以降あるかもしれません。
※2024年9月25日時点の情報で制作しています。
FX雑誌「外国為替」vol.13
発売:2024年10月22日(火)
定価:980円(本体891円)