MT5はマルチモニター環境に対応したツールです。MT5について語る第4回のコラムは、MT5の枠外にチャートを表示する方法を紹介します。MT5ならPCの作動が重くならずに、複数チャートを各モニターへ簡単に表示できますよ。
本文◉石井僚一
【1】FXで複数の市場を監視する重要性
為替市場と一言でいっても、ドル円やユーロドルを始めさまざまな通貨ペアがあります。また為替市場は株式市場や商品市場の影響も受けています。日本の株式市場が堅調なときは円安傾向にある、というのが代表的なパターンです。また、カナダドルと原油の関係のように、商品市場に大きな影響を受ける通貨も複数あります。
FXに取り組む際は、国内外の株式市場や債券市場、そしてドルインデックスの状況も把握するのが理想です。特にドルストレート通貨は、ドルインデックスの監視は必須といえるでしょう。関連するさまざまな市場のチャートを確認した上で取引すれば、FXで利益を上げやすくなります。
【2】複数チャートの監視はMT4でも可能だが…
単純に複数のチャートを監視するだけなら、MT4で問題なくできます。MT4の画面に複数のチャートを入れて、利用する際に下のタグ部分から該当の通貨ペアをクリックすれば、すぐに画面いっぱいに選択したチャートが表示されます。
確認するチャートの数が少ない、またはそれほど頻繁にチャートの確認を行わないなら、MT4でも問題なく複数チャートの監視ができます。ただしMT4で画面いっぱいにチャート表示ができるのは1つだけです。同じ画面に複数チャートを同時表示させると、個別のチャートは小さくならざるを得ません。また、マルチモニター環境で複数のモニターに別々のチャートを表示させる際は、モニターの数に応じたMT4を立ち上げる必要があります。
【3】MT5はツールの外側にもチャート表示が可能、さらに複数表示もできる
MT4を始めとする多くのツールは、チャートが表示できるのはツールの内側のみです。近年多くのトレーダーが利用するTradingViewはブラウザ型のチャートツールですが、ブラウザの外側にチャートの表示はできません。マルチモニター環境でTradingViewを各モニターで表示させようとすると、複数のブラウザを立ち上げる必要があります。
しかしMT5ならツールの外側にもチャートの表示ができます。さらに外側に表示できるチャートは複数でも可能です。よって、マルチモニター環境でモニター毎にツールを立ち上げるなどの手間がかかりません。MT5を1つ立ち上げるだけで、複数のモニターに独立したチャート表示ができます。複数のツールやブラウザを立ち上げると、PCの動作が重くなることもありますが、MT5を1つ立ち上げるだけなら動作は重くなりません。
【4】MT5の枠外にチャートを表示させる方法
MT5の枠外にチャートを表示させるのは簡単です。MT5にチャートを展開後、右クリックをすると「ドッキング」という表示があります。
[図1]デフォルトではチャートがMT5にドッキングした状態です。このため「ドッキング」をクリックすると、ドッキング状態が解除されます。すると表示中のチャートが別枠として表示されます。この別枠表示されたチャートはドラッグ&ドロップで移動可能です。マルチモニター環境にあるなら、チャートを表示したいモニターまで移動させれば、チャート部分のみをモニター上に表示でき、また右クリック後の選択で、時間足の変更や背景色の変更などもできます。
[図2]本機能のもう1つの特徴は、複数のチャートを枠外に表示できる部分です。よってモニターが3枚あれば、MT5は1つの立ち上げのみでも、モニター1でドル円、モニター2でドルインデックス、モニター3で日経平均といった表示ができます。モニター3に日経平均とナスダック指数の2つの株価指数(2つ以上も可能)の表示もできます。
[図3]テレビなどで見ることのある、複数のモニターを持つデイトレーダーの取引及びチャート環境が、1つのMT5と複数のモニターがあれば(マルチモニター環境に対応したPCは必要です)、簡単に構築可能です。
【5】MT5ならマルチモニター環境で簡単に複数のチャート監視ができる
為替市場は株式市場などさまざまな市場の影響を受けています。よってFXに取り組む際は、為替市場のみならず株式市場や商品市場も監視することで、優位性のある取引が可能です。ただしMT4で本格的に複数チャートを監視しようとすれば、複数のMT4を立ち上げる必要があるなど手間がかかります。TradingViewも同様です。しかしMT5なら、1つのMT5を立ち上げるだけで簡単に複数のチャート監視ができます。
既にマルチモニター環境でFXに取り組んでいる方はもちろん、今後マルチモニター環境での取引を考えている方も、MT5の枠外チャート表示機能を試してはいかがでしょうか? 複数のチャートを監視するなら、MT5の利用がおすすめです。
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